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第六章
不当な投票1
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「賛成しましょう」
「ワシもだ」
「なんで!」
「おや、あなたは反対のようですね」
「違う! 賛成だが……なぜお主らが賛成なのか……」
ドゥルビョの協力も得られてから数日後に再び話し合いは行われた。
リュードの提案の賛否をまずは四人のドワーフが決める。
反応の感じから最初はデルデとドゥルビョ、サッテとゾドリアズムで賛成反対半々になると思われていた。
蓋を開けてみると反対すると思われたサッテとゾドリアズムもサラッと賛成してしまった。
説得してやると大見得を切ったドゥルビョは説得する相手を失い、まさかの展開に呆気に取られてしまった。
「正直、賛成してくださるとは思ってませんでした」
ドワーフにだって色々な人がいる。
酒に勝ったからとリュードを信じるあっけらかんとした性格のものばかりではない。
他種族に対する拒否感もあるし、当然魔物に対する強い拒否感もある。
信用できなくて当然。
だから反対されることも予想していた。
「デルデ、あんただよ」
「ワシ?」
一度大きくため息をついたサッテが優しい目でデルデを見た。
「あんたが前に言った言葉はワタシの心に響いたよ。ワタシらは変わらなきゃならない。確かに変わるにしては噴火のような劇的な変化になるかもしれないけど、恐れてちゃ結局全て変わらなくなっちまう。それにあの子が悪い魔物ではないのは目を見ていれば分かるよ」
サッテはデルデの次に大人しくしているハチに視線を向けた。
リュードを性的に襲いかけた事件はあったが、この話し合いが設けられるまでの数日間、ハチが起こした事件は他になかった。
むしろドワーフの酒飲みに参加してよく酒を飲んでいつの間にかドワーフたちも普通の距離でハチと接していた。
大キラービーの方も実は穏やかな性格をしていて、今ではドワーフの子供を背中に乗せて軽く飛んで遊んであげたりしていた。
「……まあよく考えてみるとすごい対応力だよな」
真人族ならこうはいかなかった。
長い時間をかけて固まった偏見があるだけで、ドワーフには他種族を受け入れる広い度量と、しかと他者を見極める目があるのだ。
サッテも何回かハチを自分の目で確かめた。
大キラービーの方も見て、共に生きるにふさわしいかを考えた。
将来のことは誰にも分からないが新しい風にはなってくれる。
デルデの言うように守るべきは若い者の未来だ。
この風が新しいドワーフの歴史を作る一歩となってくれると思った。
あとは自身の勘である。
ここでこれを逃せば一生後悔する。
そんな気がしたのである。
「ワシはな、実はドゥルビョとリュード君の戦いを見ておった」
リュードがドゥルビョと酒飲み対決をしている時、周りで酒を飲む観客の一人にゾドリアズムがいた。
「若い時のワシを見ているような良い飲みっぷりじゃった。そちらの子もな」
髭を撫でながらゾドリアズムが愉快そうに笑う。
ドワーフの中でも最年長になるゾドリアズムは温厚ではあるが最もドワーフな性格をしているといってもいい。
今は年を取ったので最盛期ほどではなく控えてもいるけど、もう少し若ければゾドリアズムが酒を持ってリュードに挑んでいた。
「まっすぐないい戦いだった。ワシだったら勝ってたかもしれんがな」
リュードは正面からドゥルビョを倒した。
誰にも文句のつけられない良い酒飲み勝負であった。
そして同時に年を重ねた冷静な目も持っていた。
確かに偏見もあるが、変化を受け入れられる丸さも持ち合わせている。
真っ直ぐにドゥルビョと戦うリュードは信頼できる。
酔って、それでも献身的に酒を注いでいたハチもそれほど悪くはなかった。
さらに一度冒険者を受け入れたことで完全に変化を受け入れる覚悟もしていたのだ。
「それに命を奪う魔物ではないことも分かった」
もう一つもあって、ゾドリアズムはハチがリュードを性的に襲おうとしているのを見ていた。
それが良いか悪いかは置いておいて、狙ったのは命ではなくリュードの子種。
命だって狙えたのにそうしなかった。
そしてリュードに強烈に想いを寄せている。
今やドワーフの女性でもリュードに想いを持つものがいくらかいると聞くのでリュードに直接負けたハチならしょうがないだろうと思えた。
愛する者がいるならハチもリュードのためにと努力をしてくれるはずだとゾドリアズムは考えた。
「では四人の総意は確認できた。次は皆の言葉に耳を傾けよう」
何を思って賛成したかはそれぞれ違うけれど、ともあれドワーフ四人は満場一致で賛成となった。
しかし四人の意見がドワーフ全ての総意とは流石に言えない。
このことをドワガルに公布して意見を募り、最後には投票を通じてちゃんと決めることになった。
町中に今回のキラービーとの共生についてのことが書かれた立て看板が設置されてドワーフの間でハチのことが完全に周知された。
大きな反対も予想されていたけれど、ドワーフから起こった反対は思いの外に小さかった。
むしろ若いドワーフを中心とした賛成の声も聞かれて、ハチを推してくれるドワーフもいた。
こうしてドワーフの間で議論が起こっている間に冒険者たちは問題を片付けることにした。
鉱山はまだ取り戻しきっていないのである。
リュードのハチミツ入り解毒薬は思いの外に効果があって、キラービーたちにやられた冒険者たちの毒も抜けてリザーセツたちも完全復活した。
ハチたちのいた鉱山を除いた他の鉱山の討伐を再開することになって冒険者たちは戦った。
しかし相手としてはハチたちキラービーに勝る魔物はいない。
時間をかけてしっかりと戦っていったので怪我人もなく鉱山を取り戻すことに成功した。
鉱山を取り戻した。
このことはドワーフに喜びをもたらし、良い雰囲気を生み出す結果となったのである。
「ワシもだ」
「なんで!」
「おや、あなたは反対のようですね」
「違う! 賛成だが……なぜお主らが賛成なのか……」
ドゥルビョの協力も得られてから数日後に再び話し合いは行われた。
リュードの提案の賛否をまずは四人のドワーフが決める。
反応の感じから最初はデルデとドゥルビョ、サッテとゾドリアズムで賛成反対半々になると思われていた。
蓋を開けてみると反対すると思われたサッテとゾドリアズムもサラッと賛成してしまった。
説得してやると大見得を切ったドゥルビョは説得する相手を失い、まさかの展開に呆気に取られてしまった。
「正直、賛成してくださるとは思ってませんでした」
ドワーフにだって色々な人がいる。
酒に勝ったからとリュードを信じるあっけらかんとした性格のものばかりではない。
他種族に対する拒否感もあるし、当然魔物に対する強い拒否感もある。
信用できなくて当然。
だから反対されることも予想していた。
「デルデ、あんただよ」
「ワシ?」
一度大きくため息をついたサッテが優しい目でデルデを見た。
「あんたが前に言った言葉はワタシの心に響いたよ。ワタシらは変わらなきゃならない。確かに変わるにしては噴火のような劇的な変化になるかもしれないけど、恐れてちゃ結局全て変わらなくなっちまう。それにあの子が悪い魔物ではないのは目を見ていれば分かるよ」
サッテはデルデの次に大人しくしているハチに視線を向けた。
リュードを性的に襲いかけた事件はあったが、この話し合いが設けられるまでの数日間、ハチが起こした事件は他になかった。
むしろドワーフの酒飲みに参加してよく酒を飲んでいつの間にかドワーフたちも普通の距離でハチと接していた。
大キラービーの方も実は穏やかな性格をしていて、今ではドワーフの子供を背中に乗せて軽く飛んで遊んであげたりしていた。
「……まあよく考えてみるとすごい対応力だよな」
真人族ならこうはいかなかった。
長い時間をかけて固まった偏見があるだけで、ドワーフには他種族を受け入れる広い度量と、しかと他者を見極める目があるのだ。
サッテも何回かハチを自分の目で確かめた。
大キラービーの方も見て、共に生きるにふさわしいかを考えた。
将来のことは誰にも分からないが新しい風にはなってくれる。
デルデの言うように守るべきは若い者の未来だ。
この風が新しいドワーフの歴史を作る一歩となってくれると思った。
あとは自身の勘である。
ここでこれを逃せば一生後悔する。
そんな気がしたのである。
「ワシはな、実はドゥルビョとリュード君の戦いを見ておった」
リュードがドゥルビョと酒飲み対決をしている時、周りで酒を飲む観客の一人にゾドリアズムがいた。
「若い時のワシを見ているような良い飲みっぷりじゃった。そちらの子もな」
髭を撫でながらゾドリアズムが愉快そうに笑う。
ドワーフの中でも最年長になるゾドリアズムは温厚ではあるが最もドワーフな性格をしているといってもいい。
今は年を取ったので最盛期ほどではなく控えてもいるけど、もう少し若ければゾドリアズムが酒を持ってリュードに挑んでいた。
「まっすぐないい戦いだった。ワシだったら勝ってたかもしれんがな」
リュードは正面からドゥルビョを倒した。
誰にも文句のつけられない良い酒飲み勝負であった。
そして同時に年を重ねた冷静な目も持っていた。
確かに偏見もあるが、変化を受け入れられる丸さも持ち合わせている。
真っ直ぐにドゥルビョと戦うリュードは信頼できる。
酔って、それでも献身的に酒を注いでいたハチもそれほど悪くはなかった。
さらに一度冒険者を受け入れたことで完全に変化を受け入れる覚悟もしていたのだ。
「それに命を奪う魔物ではないことも分かった」
もう一つもあって、ゾドリアズムはハチがリュードを性的に襲おうとしているのを見ていた。
それが良いか悪いかは置いておいて、狙ったのは命ではなくリュードの子種。
命だって狙えたのにそうしなかった。
そしてリュードに強烈に想いを寄せている。
今やドワーフの女性でもリュードに想いを持つものがいくらかいると聞くのでリュードに直接負けたハチならしょうがないだろうと思えた。
愛する者がいるならハチもリュードのためにと努力をしてくれるはずだとゾドリアズムは考えた。
「では四人の総意は確認できた。次は皆の言葉に耳を傾けよう」
何を思って賛成したかはそれぞれ違うけれど、ともあれドワーフ四人は満場一致で賛成となった。
しかし四人の意見がドワーフ全ての総意とは流石に言えない。
このことをドワガルに公布して意見を募り、最後には投票を通じてちゃんと決めることになった。
町中に今回のキラービーとの共生についてのことが書かれた立て看板が設置されてドワーフの間でハチのことが完全に周知された。
大きな反対も予想されていたけれど、ドワーフから起こった反対は思いの外に小さかった。
むしろ若いドワーフを中心とした賛成の声も聞かれて、ハチを推してくれるドワーフもいた。
こうしてドワーフの間で議論が起こっている間に冒険者たちは問題を片付けることにした。
鉱山はまだ取り戻しきっていないのである。
リュードのハチミツ入り解毒薬は思いの外に効果があって、キラービーたちにやられた冒険者たちの毒も抜けてリザーセツたちも完全復活した。
ハチたちのいた鉱山を除いた他の鉱山の討伐を再開することになって冒険者たちは戦った。
しかし相手としてはハチたちキラービーに勝る魔物はいない。
時間をかけてしっかりと戦っていったので怪我人もなく鉱山を取り戻すことに成功した。
鉱山を取り戻した。
このことはドワーフに喜びをもたらし、良い雰囲気を生み出す結果となったのである。
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