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3章 王都救出絵巻
第71話 決闘
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彼女―エレイシアはどうやら、俺が宝石箱を出したことで彼女の逆鱗に触れたらしい。
そうか、あの宝箱はこの家ゆかりの物。
ただのコボルトの魔石をそんな一点物に仕舞って俺に返してきたのか…… 。
感傷に浸る時間はない、剣を抜き去った彼女に
「待ってください、婚約目前に彼女を訪ねた男を屋敷の前で手討ちにしたとあっては彼女の名誉に傷がつきます。場所を変えませんか?」
と提案した。
この際だ。こちらの実力を見てもらったほうが説得しやすい。今のままでは話し合いもろくにできないだろう。
「ふん、命乞いをするかと思えば、その場しのぎにしかならない提案だな。小賢しい言い分だがララ様を持ち出されては仕方ない。いいぞ、乗ってやる」
よし、これで手討ちから決闘くらいには格上げしたな、何の格かは知らないが。
彼女にアテがあるのか、屋敷から移動するのでついていく。道すがらに確認だ。
「あなたの私を手討ちにかける道理はわかりました。ですが、私にはまだ名誉を挽回する機会が与えられていません。
あなたが勝てばそのまま斬り殺して結構、私が勝ったときには私の言い分、話をすべて聞いてもらいます。そういう決闘でよろしいですか?」
「ほう、私と闘うつもりか? 若い娘と侮っているのかもしれんが、私は『剣士』のジョブを持つ正式な騎士だ。幼少の頃より鍛錬を怠らず、『剣術』は勿論他のスキルも所持している。
キサマが長年あのギルドの職員だったことは調べてある。文官風情が舐めるなよ」
と睨みつけてくるエレイシア。愚直な性格のようだ、自ら手の内を明かしてくれるとは。
着いていった先は冒険者ギルド本部に併設されている練武場だ。
こちらのギルドは流石の大きさで、酒場が隣に引っついているような田舎街のギルドと違い、前世でいう所の野球グラウンドほどの広場があり、パーティーの勧誘や力を見せたりするのは主にここで行われる。
王都には他の街と違って飲み屋街が存在するしな。
「ここならギルドに先に申請しておけば、練武の際の事故は互いに不問とできる。今回は表沙汰にしたくはないからこれを決闘代わりとする、いいな?」
「私は構いません、エレイシアさんの方こそ先ほどの私の提案を承諾ということでいいのですね」
本当はこの決闘で「強制証文」を使い、協力関係を取りつけることも考えたいがそれは止めておく。
「強制証文」による強制は不自然さが出る可能性もある、俺に代わって貴族たちへの対応を頼むときにそれでは困る。
何よりそんな不誠実なことをすればその後が続かない。彼女が本心からララのことを思う騎士だと思ったから行動に出たのだ、信頼は自力で勝ち取ってみせる。
「あくまで勝つつもりか、いいだろう私が負けたら全面的にキサマの言い分を信じよう、勝てたらな」
練武場の一角で対峙する俺とエレイシア。
みすみすやられる気はない、俺も着替え鎧姿となっている。
「ふん、魔道具袋を持っているようだがそれがどうした。長く生きてるからといって、その間に研鑽を積んでいないものなど相手になるか。その侮り、後悔させてやる!」
両手で大剣を握り突っ込んでくるエレイシア。
対してこちらは片手にワイバーンソードを持ち、もう片方の手には小盾を持った。
――決闘の幕が上がる。
そうか、あの宝箱はこの家ゆかりの物。
ただのコボルトの魔石をそんな一点物に仕舞って俺に返してきたのか…… 。
感傷に浸る時間はない、剣を抜き去った彼女に
「待ってください、婚約目前に彼女を訪ねた男を屋敷の前で手討ちにしたとあっては彼女の名誉に傷がつきます。場所を変えませんか?」
と提案した。
この際だ。こちらの実力を見てもらったほうが説得しやすい。今のままでは話し合いもろくにできないだろう。
「ふん、命乞いをするかと思えば、その場しのぎにしかならない提案だな。小賢しい言い分だがララ様を持ち出されては仕方ない。いいぞ、乗ってやる」
よし、これで手討ちから決闘くらいには格上げしたな、何の格かは知らないが。
彼女にアテがあるのか、屋敷から移動するのでついていく。道すがらに確認だ。
「あなたの私を手討ちにかける道理はわかりました。ですが、私にはまだ名誉を挽回する機会が与えられていません。
あなたが勝てばそのまま斬り殺して結構、私が勝ったときには私の言い分、話をすべて聞いてもらいます。そういう決闘でよろしいですか?」
「ほう、私と闘うつもりか? 若い娘と侮っているのかもしれんが、私は『剣士』のジョブを持つ正式な騎士だ。幼少の頃より鍛錬を怠らず、『剣術』は勿論他のスキルも所持している。
キサマが長年あのギルドの職員だったことは調べてある。文官風情が舐めるなよ」
と睨みつけてくるエレイシア。愚直な性格のようだ、自ら手の内を明かしてくれるとは。
着いていった先は冒険者ギルド本部に併設されている練武場だ。
こちらのギルドは流石の大きさで、酒場が隣に引っついているような田舎街のギルドと違い、前世でいう所の野球グラウンドほどの広場があり、パーティーの勧誘や力を見せたりするのは主にここで行われる。
王都には他の街と違って飲み屋街が存在するしな。
「ここならギルドに先に申請しておけば、練武の際の事故は互いに不問とできる。今回は表沙汰にしたくはないからこれを決闘代わりとする、いいな?」
「私は構いません、エレイシアさんの方こそ先ほどの私の提案を承諾ということでいいのですね」
本当はこの決闘で「強制証文」を使い、協力関係を取りつけることも考えたいがそれは止めておく。
「強制証文」による強制は不自然さが出る可能性もある、俺に代わって貴族たちへの対応を頼むときにそれでは困る。
何よりそんな不誠実なことをすればその後が続かない。彼女が本心からララのことを思う騎士だと思ったから行動に出たのだ、信頼は自力で勝ち取ってみせる。
「あくまで勝つつもりか、いいだろう私が負けたら全面的にキサマの言い分を信じよう、勝てたらな」
練武場の一角で対峙する俺とエレイシア。
みすみすやられる気はない、俺も着替え鎧姿となっている。
「ふん、魔道具袋を持っているようだがそれがどうした。長く生きてるからといって、その間に研鑽を積んでいないものなど相手になるか。その侮り、後悔させてやる!」
両手で大剣を握り突っ込んでくるエレイシア。
対してこちらは片手にワイバーンソードを持ち、もう片方の手には小盾を持った。
――決闘の幕が上がる。
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