義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子

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「つ、つかれたー…」
 レイナードはふらふらしながらベッドに突っ伏した。異国の貴族の生活は、やはりレイナードにとっては慣れないことばかりで疲れてしまう。
「それに……」
 はふー…とため息をついて枕に頭を埋める。家とは違い、気疲れがひどい。一番の原因は、あのヴィルヘルムだ。
「仲良くなりたいんだけど……」
 レイナードは枕をぎゅっと抱きしめて呟いた。まるで値踏みするような視線と、彼が自分に差し向けてくる感情の棘が痛い。
(めちゃめちゃ警戒されている…)
 とはいえ、じっと見てくるだけで、それ以外は屋敷の中を案内してくれたり、ちょっとしたことなどは惜しみなく教えてくれる。
「でも……」
 あの冷たい視線を思い出して、レイナードはまた枕に顔を埋める。
(なに、考えてるんだろ…)
 そんなことを考えているとそのまま睡魔に襲われてしまい、レイナードは眠りに落ちたのだった。
***
「……ん」
 次に目を開くと、日はとっくに暮れていて、辺りは月明かりだけで、そしてすぐ目の前にヴィルヘルムの顔があった。思わず声を上げそうになったがなんとか堪えることができた。だが心臓の音は相変わらずどくどくと音を立てている。
「…起きたのか」
「な、なに?どうして…?」
 寝てる自分のすぐ横に手が置かれ、覆いかぶさるように見下ろしてくる。
(ここ僕の部屋だよね…!?なんでここに……)
 混乱するレイナードに、ヴィルヘルムは低い声で言った。
「もう少しだったのに…」 
(な、何が…!?)
 ヴィルヘルムはそのままゆっくりとレイナードに顔を近づけてくる。まるで獲物を狙う肉食獣のように鋭い視線、でもどこか切なげなその瞳からは目を離せなかった。そのまま彼の唇が近づいてきて、そして―……
「って、何するのぉおお!!!」
「チッ」
 思わず叫ぶとヴィルヘルムは舌打ちをして体を引いた。その隙に慌てて起き上がると彼は不満そうにこちらを睨んでいる。
「な、なんで…」
「……別に」
(こ、怖いぃいいい!!わけがわかんないよぉおお!!)
 ぷるぷる震えながらレイナードは考えた。考えて考えて、朝にヴィルヘルムが口にした言葉を思い出した。
『…しかも、男か女か分からないような容姿の奴を』
(も、もしかして、ヴィルヘルム様は僕のこと女の子だと思ってたり…する…?)
 確かに、レイナードは中性的な容姿をしている。だが、それはあくまで『男の子』の範疇だと思っていた。それなのに。
(で、でも、分からないはずがない…男として分かって、連れてこられたはず…じゃあなんで…?)
「あの……その……」
「なんだよ」
「ぼ、僕、男ですよ……?」
 恐る恐るそう言うと、ヴィルヘルムはきょとんとした表情を浮かべた後、すぐに不機嫌そうな顔に戻った。
「……知ってるよそんなこと」
「あ、そうなんだ…」
「でも、僕はちゃんと自分で確認する。大人は嘘をつく。だから僕は自分の目で見たものだけを信じる」
「ええ……」
(…ってことは…?)
「ひゃああ!!ど、どこ触ってるんですか!?」
 レイナードが考えている間にもヴィルヘルムの手は不埒な動きを続けており、服の裾から手を突っ込んで背中をなぞるように撫でられる。
「ひゃあ!わ、脇はダメぇ!!」
「うるさい」
「んひぃいいい!」
 じたばた暴れるが、ヴィルヘルムの力が強く抜け出せない。そのままベッドに押し倒されて馬乗りにされる。
「ちょ……ま……」
(こ、これはまずい気がする……!)
 慌てて逃げようとするものの、体格差に体重をかけられてレイナードは動けない。その間にもヴィルヘルムの手はどんどんと服の中に侵入してくる。
「ひゃあ!だ、だめ、ダメです!」
 目を潤ませて、レイナードは自分にのしかかる領主の息子を見上げる。
「ぼ、僕、おとこのこです!嘘、ついてないです…!」
「…っ!」
 そっと足を広げて見せる。レイナードは降伏したような気持ちになって、震える声で問いかけた。するとヴィルヘルムの喉がごくりと鳴る音が聞こえた気がした。
「さ、触っても、いいです…から…その……」
「……」
「無理やりとか、そ、そんな怖い目で見ないで……」
 ヴィルヘルムはじっとこちらを見下ろしたまま動かない。レイナードは居た堪れなくなって顔を逸らした。
(怖い…それにこんな…恥ずかしいよぉ…)
 口に手を当て上目遣いで見つめると、ごくりと再び喉が鳴る音がした。
「…僕は、なにを…」
「え…?」
 ヴィルヘルムは我に返ったように目を見開くとすぐに鋭くさせ「言ったな?」と呟いた。そしてそのままレイナードのズボンに手を触れる。
「ちょ、ちょっと……!」
(あ、あれ……?)
 いつもみたいにヴィルヘルムは不機嫌そうな顔で舌打ちをするのかと思っていたのに、思いの外余裕のないその表情に戸惑う。それに心なしか彼の顔が赤いような……
「……っ」
 するりと中に入り込んできた手にびくりと体を跳ねさせると、彼は少し驚いたように手を止めた。だがすぐに動きを再開する。柔らかい手が直接性器に触れそうになり、その感触にレイナードはハッとした。
「や、やっぱりダメぇえ!」
 慌てて叫ぶとヴィルヘルムの手が止まった。ほっと息をつくと、ヴィルヘルムはぱっと身体を引き離す。
「…悪かった」
「え…?」
「…ちゃんと男なんだな、お前」
 なんだか元気のないような声色に、レイナードは困惑した。だが、すぐにいつもの表情に戻ると「…おやすみ」と言って部屋を出ていってしまったのだった。
***
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