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婚約者候補
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「ケイト、お願いがあるの。」
「何でしょうか?」
「私に…将来、侍女としてやっていけるように…色々教えてくれないかしら?」
「え?侍女として…とは…」
ケイトの顔色が悪くなったのが分かる。
「少し前から考えていたの。魔力の回復が見込めなくて、傷痕もあるから、結婚どころか恋愛だって無理だと思うの。それじゃあ、修道院へ─とも考えたりもしたけど…それは、お祖父様やお父様に反対されるだろうなって思って。」
「勿論です!旦那様達はきっと反対なさいます!勿論、私だって反対ですからね!」
「ふふっ。ありがとう、ケイト。それでね、それじゃあ、どうしようかって考えて…こんな私でも、キリクスの者として、誰かの為に出来る事をしたいなって…。」
「シルフィー様。」
「あ、でも、まだお祖父様やお父様にも言ってないから、今はまだ2人だけの秘密にしてくれる?」
「分かりました。侍女になるならないは…また別として、私ができる限りの事は精一杯させていただきますね。私は、いつでもシルフィー様の味方ですからね!」
「ありがとう。これからも、宜しくね。」
そう、ケイトと話をしてから1週間。その間、マクウェル様がこの邸に来る事はなかった。
そんな時、またお祖父様から話しがある─と言われて、執務室にやって来た。
部屋に入ると、以前と同じようにお祖母様とアヤメさんも居た。
「実は、今回レオがマクウェル殿とこの国に来ていたのは、マクウェル殿をルーラント公爵と養子縁組する為だったんだ。その手続きが昨日終わったらしくてな。」
ールーラント公爵ー
それは、筆頭公爵家の一つだった筈。
「実は、先代のルーラント公爵は、ルーラントに婿入りをしたレオの弟だったんだ。今は、その息子が公爵なのだが、後継ぎに恵まれなくてな。そこで、レオの孫であるマクウェル殿に話しがついたんだ。手続きが終わったから、一旦隣国へ帰るんだが、またこちらに戻って来たら、後はこの国で暮らす事になる。」
「そうなんですね。」
それじゃあ、マクウェル様は、王都にあるルーラント邸で暮らす─と言う事だろう。そうなると…もう、今迄のように一緒にお茶をすると言う事は……なくなるだろう。
「それでだが…シルフィーは、マクウェル殿の事は…どう思っている?」
「…どう…思っている?とは?」
会えなくなるのは少し寂しいなと思う─けど。
「実はな、レオとその息子の現ルーラント公爵から、マクウェル殿とシルフィーに婚約の話しが出ているんだ。」
「「──っ!?」」
ヒュッ─と息を呑む音がする。その音を出したのは、私なのか…叔母だったか…
「こんやく?」
ー傷物の私が…婚約?ー
血の気が引いて、勝手に震える手をギュッと握り締める。
「あぁ、シルフィー、落ち着いて?」
と、横に座っているお祖母様が背中を撫でてくれる。
「すまない、シルフィー。決まった訳ではないから。2人が仲良くやっていると知ったレオと公爵が、どうだろうか?と言って来ただけだ。信頼できるから、レオと公爵には…シルフィーの傷の事を伝えたら、2人はそんな事は気にしないし、マクウェルも気にしないだろう─と言ってくれている。だから、婚約に関してもシルフィーの気持ちを優先すると言ってくれている。」
「私の…気持ち次第…」
勿論、マクウェル様となら…嬉しいなと思う。思うけど…もし、傷があると知られて拒絶されたら?
そう思うと、素直に喜べない。
「今すぐじゃなくて良いから、ゆっくりと考えてみてくれ。」
お祖父様は少し困った様な笑顔で、私の頭を優しく撫でると、次にアヤメさんへと視線を向ける。
「それと、エレーナの事なんだが。」
「エレーナ?が何か?」
アヤメさんも、全く話を聞かされていなかったのか、少し焦っているような感じである。
「貴族に復帰する事を拒んだそうだが…それでも、エレーナも伯爵家の血を継いでいるだろう?だから、マクウェルの相手の候補にも成り得る可能性があると。もしそうなった場合は、カルディアさんの意思は関係無く、貴族席に戻すと…兄君である現伯爵が言っていた。」
「お兄様が…」
アヤメさんも予想外だったのだろう。それ以上は何も言えず…言えないと言った感じで口を噤み、顔色も少し悪くなったように見える。
「まぁ…兎に角、シルフィーにしてもエレーナにしても、候補に上がっただけで、まだ決まった訳ではないから。婚約の話しが上がっているのもここだけの話だからね。」
話しが終わって、アヤメさんと部屋を出ると
「シルフィーちゃん、話があるから、今から私の部屋に来てくれる?」
と言われて、そのままアヤメさんの部屋へと向かった。
「まさか、エレーナがマクウェル様の婚約者の候補になるとは…思わなかったわ。」
確かに、普通に考えれば、平民のエレーナと次期公爵のマクウェル様が結婚する事はほぼ有り得ない。
だけど──
「はぁ─…私、“ハイネル”と“キリクス”を…甘くみ過ぎていたわ。」
アヤメさんが、声を低くして呟く。
そう。母とカルディア叔母さまの実家である“ハイネル伯爵家”と、我が“キリクス伯爵家”は、少し…特殊な立ち位置にあるのだ。
「何でしょうか?」
「私に…将来、侍女としてやっていけるように…色々教えてくれないかしら?」
「え?侍女として…とは…」
ケイトの顔色が悪くなったのが分かる。
「少し前から考えていたの。魔力の回復が見込めなくて、傷痕もあるから、結婚どころか恋愛だって無理だと思うの。それじゃあ、修道院へ─とも考えたりもしたけど…それは、お祖父様やお父様に反対されるだろうなって思って。」
「勿論です!旦那様達はきっと反対なさいます!勿論、私だって反対ですからね!」
「ふふっ。ありがとう、ケイト。それでね、それじゃあ、どうしようかって考えて…こんな私でも、キリクスの者として、誰かの為に出来る事をしたいなって…。」
「シルフィー様。」
「あ、でも、まだお祖父様やお父様にも言ってないから、今はまだ2人だけの秘密にしてくれる?」
「分かりました。侍女になるならないは…また別として、私ができる限りの事は精一杯させていただきますね。私は、いつでもシルフィー様の味方ですからね!」
「ありがとう。これからも、宜しくね。」
そう、ケイトと話をしてから1週間。その間、マクウェル様がこの邸に来る事はなかった。
そんな時、またお祖父様から話しがある─と言われて、執務室にやって来た。
部屋に入ると、以前と同じようにお祖母様とアヤメさんも居た。
「実は、今回レオがマクウェル殿とこの国に来ていたのは、マクウェル殿をルーラント公爵と養子縁組する為だったんだ。その手続きが昨日終わったらしくてな。」
ールーラント公爵ー
それは、筆頭公爵家の一つだった筈。
「実は、先代のルーラント公爵は、ルーラントに婿入りをしたレオの弟だったんだ。今は、その息子が公爵なのだが、後継ぎに恵まれなくてな。そこで、レオの孫であるマクウェル殿に話しがついたんだ。手続きが終わったから、一旦隣国へ帰るんだが、またこちらに戻って来たら、後はこの国で暮らす事になる。」
「そうなんですね。」
それじゃあ、マクウェル様は、王都にあるルーラント邸で暮らす─と言う事だろう。そうなると…もう、今迄のように一緒にお茶をすると言う事は……なくなるだろう。
「それでだが…シルフィーは、マクウェル殿の事は…どう思っている?」
「…どう…思っている?とは?」
会えなくなるのは少し寂しいなと思う─けど。
「実はな、レオとその息子の現ルーラント公爵から、マクウェル殿とシルフィーに婚約の話しが出ているんだ。」
「「──っ!?」」
ヒュッ─と息を呑む音がする。その音を出したのは、私なのか…叔母だったか…
「こんやく?」
ー傷物の私が…婚約?ー
血の気が引いて、勝手に震える手をギュッと握り締める。
「あぁ、シルフィー、落ち着いて?」
と、横に座っているお祖母様が背中を撫でてくれる。
「すまない、シルフィー。決まった訳ではないから。2人が仲良くやっていると知ったレオと公爵が、どうだろうか?と言って来ただけだ。信頼できるから、レオと公爵には…シルフィーの傷の事を伝えたら、2人はそんな事は気にしないし、マクウェルも気にしないだろう─と言ってくれている。だから、婚約に関してもシルフィーの気持ちを優先すると言ってくれている。」
「私の…気持ち次第…」
勿論、マクウェル様となら…嬉しいなと思う。思うけど…もし、傷があると知られて拒絶されたら?
そう思うと、素直に喜べない。
「今すぐじゃなくて良いから、ゆっくりと考えてみてくれ。」
お祖父様は少し困った様な笑顔で、私の頭を優しく撫でると、次にアヤメさんへと視線を向ける。
「それと、エレーナの事なんだが。」
「エレーナ?が何か?」
アヤメさんも、全く話を聞かされていなかったのか、少し焦っているような感じである。
「貴族に復帰する事を拒んだそうだが…それでも、エレーナも伯爵家の血を継いでいるだろう?だから、マクウェルの相手の候補にも成り得る可能性があると。もしそうなった場合は、カルディアさんの意思は関係無く、貴族席に戻すと…兄君である現伯爵が言っていた。」
「お兄様が…」
アヤメさんも予想外だったのだろう。それ以上は何も言えず…言えないと言った感じで口を噤み、顔色も少し悪くなったように見える。
「まぁ…兎に角、シルフィーにしてもエレーナにしても、候補に上がっただけで、まだ決まった訳ではないから。婚約の話しが上がっているのもここだけの話だからね。」
話しが終わって、アヤメさんと部屋を出ると
「シルフィーちゃん、話があるから、今から私の部屋に来てくれる?」
と言われて、そのままアヤメさんの部屋へと向かった。
「まさか、エレーナがマクウェル様の婚約者の候補になるとは…思わなかったわ。」
確かに、普通に考えれば、平民のエレーナと次期公爵のマクウェル様が結婚する事はほぼ有り得ない。
だけど──
「はぁ─…私、“ハイネル”と“キリクス”を…甘くみ過ぎていたわ。」
アヤメさんが、声を低くして呟く。
そう。母とカルディア叔母さまの実家である“ハイネル伯爵家”と、我が“キリクス伯爵家”は、少し…特殊な立ち位置にあるのだ。
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