モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

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第一章ー婚約ー

証として

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*エディオル視点*



“聖女”とは、もっと儚げで…守らなければいけない存在─だと思っていた。過去の文献に置いてもそうだった。浄化の旅を共にし、聖女を守った騎士や王子と恋に落ちる─。如何にも、ご令嬢が夢見るような恋物語のようだった。






ー隣国に浄化に来た聖女─ミヤ様の同行者として、ハルと俺は…来た筈…だよな?ー

何故か、ティモス殿達に“手を出すな”と言われて、ハルと2人で…パルヴァン劇場を見せられている。ミヤ様を筆頭に、5人ともがキラッキラな笑顔をしている。

「エディオルさん…私、ここで見ているだけで良いんですかね?防御の魔法でも掛けた方が良いんですかね?」

「…いや…何もしない方が…良いと思う。」

ここは、“防御”であっても、手は出さない方が良いだろう。

ネージュ殿とノアも、のんびりと2頭寄り添って座っている。

何だろう…ピクニックにでも来たような錯覚に陥る─のは、気のせいでは…無いよな?




「はっ─また会えて嬉しいなぁ…」

バジリスクが現れた時のゼン殿は…今迄で一番恐ろしかった。隣に居たハルが、息を呑んで一瞬固まったのが分かった。



結局、俺とハルは、何もすること無く全てが終わった。

ー何だろう…近衛としての誇りを…少し見失い掛けた─のは、気のせいだよな?ー







それから、隣国でご馳走を食べた後、その日のうちにパルヴァン辺境地へと戻った。




「ふふっ」

と、1人で笑うハルを、後ろから抱き締める。いつも、俺の腕の中に閉じ込めると、可愛い抵抗をして来るのだが、どうやらは無駄な抵抗だ─と気付いているようで、俺の腕をペシペシと叩くだけになっている。

ーいや、その“ペシペシ”と叩くのも…可愛いしかないからな?ー


ハルが笑った理由を訊けば、ネージュ殿とノアが仲が良い事が嬉しくて─と言う。ネージュが大好きです!と言いながら俺を振り返るハルと、目が合った。

ーあぁ…本当に…可愛いなー

そう思うと、自然とハルのオデコにキスをしていた。

気持ちを落ち着かせようと、ギュッとハルを抱き締める。すると、ハルはこうやって、俺に抱き締められるのは、恥ずかしいけど、嬉しいんだと言う。こんな状態の時にそんな事を言われると…我慢なんて、できない─よな?


「文句なんて…無いですよ?私、ディにされて、嫌な事なんて……」



ー言質は…取ったからな?ー



ハルの頬に手を寄せて、触れるか触れないか─分からない位の軽いキスをする。

ほんの一瞬だけ。唇が離れた後目を開けると、キョトンとした顔のハルと目が合った。

「…嫌…じゃない?」

と訊けば

「……い…嫌な訳…ないじゃないですか…。私…ディの事、好きなんですよ?」

ー足りない。全然足りないー

「ハル…」

名前を呼んで、今度はしっかり唇をくっつけて、少し長めにキスをした。


結局、初めてキスをしたその日に…3回もキスをしてしまった。

「……どんだけ浮かれてるんだ………」

3回目の時、ハルが先に目を伏せた。その時の顔が…頭から離れない。

ー本当に、色々とヤバかったー

翌朝の、ネージュ殿とノアと一緒に寝ていたハルも、本当にヤバかった。きっと、あれから落ち着かなくて、朝早くにネージュ殿の元に行ったんだろう。そんな事が簡単に想像できてしまい、思わず笑みが溢れた。












一度触れたら、どんどん欲が出て来る。それに…俺の側に居たいから、自信を持って居たいから─とか。あのハルの、“えっへん”みたいな顔なんて─

ー可愛い過ぎるだろ!ー

あんなに真っ直ぐに言われて、誰が我慢できる?今すぐにでも結婚したいけど!?でも、この5年…本当に…本当に色々あったから、ハルの為にも結婚は急がなくても良い─と思っているのも本心だ。自然に、これからも俺と一緒に居たいと思ってくれたように、俺と結婚したいと、自然に思ってくれた時で良いと思っている。ただ、誰かにかっ拐われるのも手を出されるのも嫌だし、ハルは俺のだ─と言う証が欲しいから…婚約はしておきたかった。



「これからも…ディの側に…居ても良いですか?」

「勿論、良いに決まってる。と言うか─本当は、俺が……」

本当は、俺から言うつもりだったのに。

ハルの体から離れてハルの手を持ち上げる。

「俺は…どうしても…ハルが良い。ハルだけしか…要らない。ハル、今すぐ結婚じゃなくても良いから、俺の婚約者になって欲しい。」

そう言うと、ハルは目を大きく見開いて─固まった。

そんなハルも可愛いなぁ─と思いながら、ハルが動き出すのを待つ。ハルを見てるだけで…いつまでも待てる気がする。

「………婚約?……私と?」

「そう。俺とハル。」

ーん?やっぱり、少し…早かったか?ー

「ハル、もし嫌なら──」

「こんな私で良ければ……宜しくお願いします…」

と、顔を真っ赤にしながら答えるハル。受け入れてくれた事が嬉しくて、また、ハルの掌にキスをする。

「ハル、受け入れてくれて、ありがとう。」

「うぅっ─私の方こそ…ありがとうございます。」



ようやく、ハルが俺の処に落ちて来た。











ー俺はまた、ゼン殿の手合わせに…付き合わされるんだろうなー

と、一人、心の中で気合いを入れた。








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