モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

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第二章ー同棲ー

お見舞いと…

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「ハル!!」

「ぐふぅ──っ」

はい、久し振りの抱き枕なハルです。

から2日目の今日、ミヤさんが私のお見舞いに来てくれた。

「ハル、大丈夫?あぁぁ…何?このほっぺたは!?青くなる位の力でやられたのね!?──どうしてやろうかしら?」

「ミヤさん、落ち着いて下さい。酷く見えるけど、それ程は痛くないんですよ。」

“どうしてやろうかしら?”──とは…一体、誰をどうするつもりなんだろう…とは、訊かない方が良いんだよね?

「本当は、癒しの力ですぐにでも治してあげたいけど、薬とかと同じで、簡単に治し過ぎると、もともとの治癒力とかが低下しちゃうからね。」

「はい、それは分かってるし、痛みも殆ど無いから大丈夫です。」

「痛みがあまりないなら…良かったわ。よし、じゃあ、ハル、着替えるわよ!」

「え?着替える?」

「さっき、ここに来る前にお医者さんに会って訊いたんだけど、邸内の庭なら出ても良いって言われたから、ネージュに会いに行かない?」

「はい!行きたいです!!行きます!!!」

「ふふっ。それじゃあ、着替えましょう!」

リュウがついていてくれてるから心配はしていなかったけど、やっぱりネージュの元気な姿を自分の目で確認したかった。

それに──











「ネージュ!!」

『主!?』

抱き付きたい──のをグッと我慢して、しゃがんでネージュの顔を両手で包み込む。

「ネージュ、大丈夫だった?ごめんね。ネージュを守るって言ったのに…守れなくて…ごめんね。」

どうしても、ネージュに…謝りたかった。

『それは違う。主は、我を…我とお腹の子を助けてくれた。怒りで我を失いかけた時、主が我の意識を戻してくれた。それ故に、我もお腹の子も無事でいられた。我の方こそ…主を守れなかった…。』

そう言って、ネージュの耳がシュンと垂れ下がり、尻尾のフリフリがピタリと止まった。

「ネージュ、それで良かったんだよ。今のネージュは、お腹の子を一番に考えなきゃいけないから。これからもだけど、ネージュは“お母さん”として、子供の事を一番に考えて守ってあげてね。私は…もっと、自分を守れるように…強くなるから。」

『主…』

ワシャワシャとネージュを撫で回すと、ネージュも嬉しそうに目を細めて、尻尾をフリフリさせた。








それから、まだ体調が落ち着いたばかりと言う事で、もう少しネージュを撫で回した後、ミヤさんとリュウと共にサロンに戻り3人でお茶をする事にした。




「リュウ、ネージュを助けてくれて、ありがとう。」

魔力が強くて多いネージュ。あのままの状態だと、お腹の子も危なかっただろう。でも、リュウがすぐに来てくれたお陰で、母子共に元気になっている。

「俺が来る迄に、ノアが魔力を流していたって事が良かったんだと思う。それに、ネージュ自身も頑張ってたからな。このまま順調にいけば、後数日かもしれないぞ?」

「数日!?」

ーえ!?早過ぎない!?ー

驚いてギョッとしてリュウを見ると

「お腹の子、親─ネージュの暴走して溢れた魔力を落ち着かせようとしてか、魔力をたっぷり取り込んだ感じがあってな。結構な早さで成長してるんだ。」

フッ─と、何とも言えない様な目をするリュウ。

「な…なるほど…。えっと…兎に角、子供も元気そうで良かった。やっぱり…黒のモフモフかなぁ?ふふっ」

と、生まれて来る子をニマニマと考えていると

「…ハル、ハルの体調が万全になって、落ち着いてからで良いんだけど……悠介を、日本に還してくれるかしら?」

「え?」

ーと言う事は、ミヤさんにとって、悠兄さんはって事なのかな?結構…早い決断だよね?ー

「ハル、落ち着いて最後迄聞いてね。」

「はい?」

ミヤさんとリュウが一度視線を合わせた後、ミヤさんが口を開いた。

「ネージュが魔獣で妊娠してるって─外部に漏らしたのが悠介だったのよ。」

「え!?」

ー悠兄さんが…漏らした?ー

「悪気があったとか、わざとではなかったのよ。魔獣が珍しいとか、お腹の子の核となる魔石がレアだって事も、悠介は知らなかったの。」

「……」

「侵入していた1人が、パルヴァンに出入りしていた業者の1人だったのよ。そいつが、新人らしき使用人なら、何か面白い情報を得られるんじゃないか─って思って、色々話したりしてたらしくてね。そこで、悠介がポロッと…蒼の邸に魔獣が居て、妊娠してるって言ってしまったらしいのよ。」

「……」

何も言えなくて、ギュッと手に力が入る。

「それで、今、悠介はパルヴァンの邸の自室で軟禁状態なの。夜中の敷地内で起こった事だから、幸い外部にこの事はバレてはいないけど、異世界から来たから知らなかった─では…済まされないから。それでも、悠介は…これから先、パルヴァンは勿論の事、カルザインからの後ろ盾は…得られない。ハルが許したとしてもね。」

ウォーランド王国の“武”を象徴するカルザインとパルヴァンから見放される─と言う事は、もう、この国での普通の生活は難しいだろう。使用人としての規則も違反したと言う事は、転職しようにも推薦状を書いてもらう事もできないなら、それすら難しい。

悠兄さんは、この世界では…生きていく事は…無理だろう。



私は、ソッと目を瞑った。




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