モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

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第二章ー同棲ー

SIDEゼン&リュウ

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††ゼン††




バサバサバサッ

「──すみません。」

「そんなに気になるなら、見舞いにでも行って来たらどうだ?」

ここは、パルヴァン辺境地パルヴァン邸の、グレンの執務室。

2日前に、ハルが体調を崩して寝込んでいる─とリディから報告を受けたゼン。タイミングが悪く、こなさなければならない執務が多く、グレンもゼンも毎日朝から夜遅く迄領地を駆け巡ったり、書類整理と忙しい毎日を過ごしていた。その為、ハルの事は気にしつつも、見舞いにも行けていなかったのだ。

それでも、ゼンは気になり過ぎて─

今も、机の上に積んでいた書類をばら蒔いてしまったのである。

「後少しでキリがつきますから、それから…蒼の邸に行かせてもらいます。」

「そうか。なら、今日はもう少し頑張るか。」

と、グレンも苦笑しながら書類へと視線を戻した。




その翌日

“ハル様が寝込んでから、3日経っても治る気配すらないので、パルヴァンで保管しているポーションを使用させて下さい”

「これは心配だな。ゼン、今すぐポーションを持って蒼の邸に行ってくれ。」

ルナからの便りに、返事を送るよりも先に、ゼンがポーションを持って王都のパルヴァン邸へと転移した。











急いで蒼の邸までやって来ると、何故か違和感を感じた。その違和感は、邸の奥の方にあった。

ー何だ?それに…静か過ぎないか?ー

ハル様の事は気になるが…少し…覗いて行くか─と、その違和感の方へと足を向けると─

「何故…庭に結界が張られている?防音か?」

その結界は脆い物で、魔力を纏って軽く触れると、その結界が解けて


「あああああああああーっ!」

と、男の悲鳴が響き渡った。

ー何だ?ー

と思いながら歩みを進めると

片腕を切られた男に、剣の切っ先を向けて立っているエディオルが居た。

左腕でハル様を抱えたまま。

エディオルが、更にその男のもう片方の腕や足を切り落とすと言う。殺気も尋常ではない。
それでも、ハル様はエディオルにしがみついたままで何も言わない。

ーあの男…ハル様に…手を出したのかー

ギリッ─と、自然と身体中に力が入る。少し自分を落ち着かせる様に深呼吸をしてから、更に歩みを進めた。



「おやおや…。私は…ハル様が病気だ─としか聞いていなかったのですが…。」

俺が声を掛けても、ハル様は動かない。余程の事があった、もしくは…された─と言う事だろう。顔が見えないから分からないが…

「エディオル殿。これ、頼まれていたポーションです。部屋に戻って…ハル様に飲ませて頂けますか?後の事は────俺に任せてくれるよな?」

素の俺を出せば、逆にエディオルから殺気が収まり、少し安心した様な顔になった。

「あぁ、勿論、ゼン殿に任せますよ。今の俺は、ハルが第一優先なので…。ポーション、ありがとうございます。後は…宜しくお願いします。」

そうして、エディオルは邸へと戻って行った。

それと入れ違うように、ルナとリディが邸から出て来て、ハル様の様子を見て、何やらエディオルと言葉を交わしてから俺の方に走って来た。

「ゼンさん、詳しくは後でお話しします。兎に角、その男が、ハル様をひ練り上げたり、突き飛ばしたりした後、あっちの男に…頬を叩かれたそうです。」

「────へぇ…」

「どっちにか?」

と、ルナに訊かれて、俺は迷わずに

「俺は、こいつを締め上げるから、ルナはあっちの細身の男を頼む。リディ、お前は、取り敢えず隣国の魔法使いを呼び寄せろ。ネージュ殿が心配だし、魔道具について…聞きたい事もあると─。」

「「分かりました。」」

それから直ぐにリディは邸へと戻り、ルナは愉し気な微笑みを湛えながら細身の男の元へと向かう。

「さぁ…お前は…覚悟ができているか?」

俺は目の前でガタガタ震えている男に問い掛けた。














††リュウ††





“ハル様が病気で動けない上に、侵入者によって怪我をされました。ネージュの魔力も不安定になっている為、直ぐに来て欲しい。それと、魔道具が、またハル様に使われた─ので、今すぐ来て欲しい。いや──来い。拒否権は無い”











ルナからの魔術による手紙を受けて、一も二もなく蒼の邸に転移して、リディの案内でネージュの元へと駆け付けた。

「ネージュは…大丈夫か!?」

『体内の魔力が乱れていますが、少しずつは落ち着いて来ています。』

ノアが、落ち着いて答える。

「そうか。あーっと…俺が…ネージュを診ても…大丈夫か?ネージュに何かあったら…ハルがな…」

俺がネージュに嫌われている事は分かっている。分かっているが、ネージュに何かあれば、きっとハルが悲しむし自分を責めるだろう。だから、ネージュには元気になってもらわないと…。

『後で、ネージュからは怒られそうですが、お願いしても良いでしょうか?』

「怒られる事には慣れているから大丈夫だ。ノア、ありがとう。」

どうやら、ノアには嫌われてはいないようだ。
その事にホッとして、俺はネージュの魔力の乱れを整えて、お腹の子の無事も確認した。








『クズ魔法使いに助けられるとは…』

元気になったネージュが、開口一番にそう呟いた。

「くくっ。やっぱり、ネージュはじゃないとな。」

予想通りの反応で、思わず笑ってしまう。

『ふん。仕方無い故、“クズ”はやろう。魔法使い、助かった…ありがとう。』

フンッと、そっぽを向きながらもお礼を言うネージュに、更に笑ってしまった。











また、ハルに使われてしまった、拘束の魔道具。どうやら、まだ裏の世界などでは残ってしまっているようだ。
チラリと、目の前でボコボコにされて伸されている男を見やる。

「お前も…魔力持ちだよな?この先自由はないだろうから、魔力も必要ないよな?」

「…なっ…魔力っ…吸い取られたらっ…死ぬっ…止めて…くれ!」

ガタガタ震えながら懇願する男に、ニッコリと笑って

「大丈夫。死なない程度に……残してあげるから。」

と、耳元で囁いた。

















*繰り返しくどい話の連続投稿、失礼しました💦サイドストーリーは、以上で終わりです。お付き合い頂いた方、ありがとうございました*

(;A´▽`A







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