18 / 22
18 2人の訪問者
しおりを挟む
私が住んでいる部屋は、3階建てアパートメントの2階の一番端の部屋205号室。各フロアに五つの部屋がある。
「あ、ニアさん、おかえりなさい」
「ナーシャさん、こんばんは」
ナーシャさんとは、204号室に住んでいる、私より2つ年上のお姉さんだ。
「今日は、出掛けてたのね。お昼過ぎだったかなぁ?ニアさんの部屋の前に、誰か分からないけど2人居てね。声を掛けたらササッとアパートメントから出て行ってしまったんだけど…誰だか心当たりある?」
「いえ…………」
ー誰だろう?ー
「何か用があるなら、また来るでしょうけど」とナーシャさんに言われて「それもそうですね」と答えて、お互い自分の部屋へと入った。
2人──
誰だろう?私の部屋を知ってて訪ねて来るのは、カリーヌさんとレイさんぐらいだ。後は……可能性としてはモニク。でも、カリーヌさんは悪阻で仕事を休んでいるぐらいだから、ここに来る事はない。モニクも、私が今日と明日はレイさんとお出掛けする事を……何故か知っていたから、モニクが今日ここに来る事はない。レイさんは……言わずもがな。
何となく、その2人が気になりつつも、明日は明日でお出掛けする予定だから、いつもより早目にお風呂に入り、早目に寝る事にした。
ベッドに入って目を瞑ると、レイさんがあの女性に向けていた優しい笑顔を思い出した。
レイさんは…優しい。こんな私にも、会った時からいつも笑顔を向けてくれていた。その笑顔に安心感を覚えて“お父さんみたいだな”と思った──思うようにしたのかもしれない。レイさんとカリーヌさんが仲良く笑い合っていても何も思わなかったのは、カリーヌさんには旦那さんと子供が居るから。
今日、あの女性に微笑みを向けたレイさんを見て、初めて……“嫌だ”と思った。
「今頃気付くなんて……馬鹿だなぁ……」
もとより、レイさんは私の事は、捜査対象者とか、それこそ子供だとかしか見ていないだろうけど。
好きと自覚した翌日にサヨナラか……いっその事笑えるかもしれない。
「………」
うん。そうだ。最後なら、笑って…笑顔でお別れをしよう。お別れをする迄は、めいいっぱい楽しもう。そう意気込んでから布団に潜り込み直し、目を瞑って寝ようとして
カタン──
と音がした。
ーえ?何の…音?ー
ゆっくりと、なるべく音を立てないように身を起こす。すると、寝室のドアが開かれた。
「ようやく…見付けた」
「─っ!?」
寝室のドアを開けて入って来たのは、元会長のギリスと、黒いフード付きのローブを着た男だった。
「お前のせいで……私は全てを失ったのに……お前はのうのうと生きているとは……お前は、一体誰のお陰で生きて来られたのか…忘れてしまったようだな…」
「な……で…」
ー何故…ここにギリスが!?ー
ギリスは捕まったのではなかった?それに…フードを被った人は……魔道士だ。しかも、城付きの魔道士だ。ローブの色は様々あるが、黒色は城付きの魔道士が着る色で胸元に国を象徴する花が刺繍されている。
ー何故…城付きの魔道士が…ギリスと?ー
ギリスはゆっくりと私に近付いてくる。逃げたいのに、体が震えて動かない。
「あのお方も魔力を止められた。お前のせいで……お前もアレを作っていた1人だったと言うのに…」
「ちが…う。私は…、製造禁止されている物を…作ってるなんて…知らなかった……」
禁止された媚薬を作っているなんて知ってたら、あんなにも一生懸命に精製水なんて作らなかった。
「知らなかったとしても、お前も同罪だ。だから……お前にプレゼントを持って来たんだよ……ほら……」
ギリスはニヤリと笑って、一つの小瓶を取り出した。
ーまさか!ー
「自分の作った媚薬の効能を、自分自身で確かめさせてやろう」
ヒュッ─と息を呑む。
禁止された媚薬は、少量でも口にすると直ぐに効果が現れる。性欲が抑えられなくなり、相手の言いなりになってしまうのだ。一度に口にする量が多ければ多い程快楽を求める体になってしまうのだ。
「いや…だ……」
「ははっ…誰も助けに来ないからな?この部屋には結界を張ってるから、大声で叫んだところで、誰も助けには……来てくれない。だから……遠慮なく声を出せば良い」
「────っ!?」
ギリスがベッドに乗り上がり、ベッドがギシッと音を立てた。
「相手は選ばせてはやれないが…存分に楽しめば良い」
「いや──────」
「ゔあ゙─っ」
私が叫ぶのと同時に、バキッ─と、寝室の扉が文字通り吹き飛び、その吹き飛んだ扉が魔道士に直撃して、その魔道士はその場に倒れた。「一体何が─」と、ギリスが魔道士の方へと振り返ると
「ニア───!」
と、私の名前を呼ぶ声が響いた。
ーこの声は…レイさんだ!ー
「レイさ────」
「お前はソレを片付けてくれ。私は……アイツを締め上げる!」
「はいはい。あーっと…、程々に生かしてくれると…助かる」
「善処しよう」
倒れている魔道士を拘束している……黒色の髪の魔道士?が1人。
そして、私の名を呼んだであろうレイさんは、ギリスを一瞬のうちに叩き倒してから締め上げて──気を失わせてから拘束した。
「ニア、大丈夫か!?」
「あ……え?」
拘束して放り捨てたギリスを踏み付けて、私の目の前まで来て心配そうな顔をしているのは──ボサッとした茶色の髪と赤色の瞳のレイさんではなく、サラサラと綺麗な金髪の長い髪と赤色の瞳をした──
声だけレイさんだった
「あ、ニアさん、おかえりなさい」
「ナーシャさん、こんばんは」
ナーシャさんとは、204号室に住んでいる、私より2つ年上のお姉さんだ。
「今日は、出掛けてたのね。お昼過ぎだったかなぁ?ニアさんの部屋の前に、誰か分からないけど2人居てね。声を掛けたらササッとアパートメントから出て行ってしまったんだけど…誰だか心当たりある?」
「いえ…………」
ー誰だろう?ー
「何か用があるなら、また来るでしょうけど」とナーシャさんに言われて「それもそうですね」と答えて、お互い自分の部屋へと入った。
2人──
誰だろう?私の部屋を知ってて訪ねて来るのは、カリーヌさんとレイさんぐらいだ。後は……可能性としてはモニク。でも、カリーヌさんは悪阻で仕事を休んでいるぐらいだから、ここに来る事はない。モニクも、私が今日と明日はレイさんとお出掛けする事を……何故か知っていたから、モニクが今日ここに来る事はない。レイさんは……言わずもがな。
何となく、その2人が気になりつつも、明日は明日でお出掛けする予定だから、いつもより早目にお風呂に入り、早目に寝る事にした。
ベッドに入って目を瞑ると、レイさんがあの女性に向けていた優しい笑顔を思い出した。
レイさんは…優しい。こんな私にも、会った時からいつも笑顔を向けてくれていた。その笑顔に安心感を覚えて“お父さんみたいだな”と思った──思うようにしたのかもしれない。レイさんとカリーヌさんが仲良く笑い合っていても何も思わなかったのは、カリーヌさんには旦那さんと子供が居るから。
今日、あの女性に微笑みを向けたレイさんを見て、初めて……“嫌だ”と思った。
「今頃気付くなんて……馬鹿だなぁ……」
もとより、レイさんは私の事は、捜査対象者とか、それこそ子供だとかしか見ていないだろうけど。
好きと自覚した翌日にサヨナラか……いっその事笑えるかもしれない。
「………」
うん。そうだ。最後なら、笑って…笑顔でお別れをしよう。お別れをする迄は、めいいっぱい楽しもう。そう意気込んでから布団に潜り込み直し、目を瞑って寝ようとして
カタン──
と音がした。
ーえ?何の…音?ー
ゆっくりと、なるべく音を立てないように身を起こす。すると、寝室のドアが開かれた。
「ようやく…見付けた」
「─っ!?」
寝室のドアを開けて入って来たのは、元会長のギリスと、黒いフード付きのローブを着た男だった。
「お前のせいで……私は全てを失ったのに……お前はのうのうと生きているとは……お前は、一体誰のお陰で生きて来られたのか…忘れてしまったようだな…」
「な……で…」
ー何故…ここにギリスが!?ー
ギリスは捕まったのではなかった?それに…フードを被った人は……魔道士だ。しかも、城付きの魔道士だ。ローブの色は様々あるが、黒色は城付きの魔道士が着る色で胸元に国を象徴する花が刺繍されている。
ー何故…城付きの魔道士が…ギリスと?ー
ギリスはゆっくりと私に近付いてくる。逃げたいのに、体が震えて動かない。
「あのお方も魔力を止められた。お前のせいで……お前もアレを作っていた1人だったと言うのに…」
「ちが…う。私は…、製造禁止されている物を…作ってるなんて…知らなかった……」
禁止された媚薬を作っているなんて知ってたら、あんなにも一生懸命に精製水なんて作らなかった。
「知らなかったとしても、お前も同罪だ。だから……お前にプレゼントを持って来たんだよ……ほら……」
ギリスはニヤリと笑って、一つの小瓶を取り出した。
ーまさか!ー
「自分の作った媚薬の効能を、自分自身で確かめさせてやろう」
ヒュッ─と息を呑む。
禁止された媚薬は、少量でも口にすると直ぐに効果が現れる。性欲が抑えられなくなり、相手の言いなりになってしまうのだ。一度に口にする量が多ければ多い程快楽を求める体になってしまうのだ。
「いや…だ……」
「ははっ…誰も助けに来ないからな?この部屋には結界を張ってるから、大声で叫んだところで、誰も助けには……来てくれない。だから……遠慮なく声を出せば良い」
「────っ!?」
ギリスがベッドに乗り上がり、ベッドがギシッと音を立てた。
「相手は選ばせてはやれないが…存分に楽しめば良い」
「いや──────」
「ゔあ゙─っ」
私が叫ぶのと同時に、バキッ─と、寝室の扉が文字通り吹き飛び、その吹き飛んだ扉が魔道士に直撃して、その魔道士はその場に倒れた。「一体何が─」と、ギリスが魔道士の方へと振り返ると
「ニア───!」
と、私の名前を呼ぶ声が響いた。
ーこの声は…レイさんだ!ー
「レイさ────」
「お前はソレを片付けてくれ。私は……アイツを締め上げる!」
「はいはい。あーっと…、程々に生かしてくれると…助かる」
「善処しよう」
倒れている魔道士を拘束している……黒色の髪の魔道士?が1人。
そして、私の名を呼んだであろうレイさんは、ギリスを一瞬のうちに叩き倒してから締め上げて──気を失わせてから拘束した。
「ニア、大丈夫か!?」
「あ……え?」
拘束して放り捨てたギリスを踏み付けて、私の目の前まで来て心配そうな顔をしているのは──ボサッとした茶色の髪と赤色の瞳のレイさんではなく、サラサラと綺麗な金髪の長い髪と赤色の瞳をした──
声だけレイさんだった
47
あなたにおすすめの小説
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?
3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。
相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。
あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。
それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。
だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。
その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。
その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。
だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。
貴方だけが私に優しくしてくれた
バンブー竹田
恋愛
人質として隣国の皇帝に嫁がされた王女フィリアは宮殿の端っこの部屋をあてがわれ、お飾りの側妃として空虚な日々をやり過ごすことになった。
そんなフィリアを気遣い、優しくしてくれたのは年下の少年騎士アベルだけだった。
いつの間にかアベルに想いを寄せるようになっていくフィリア。
しかし、ある時、皇帝とアベルの会話を漏れ聞いたフィリアはアベルの優しさの裏の真実を知ってしまってーーー
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
婚約者が聖女を選ぶことくらい分かっていたので、先に婚約破棄します。
黒蜜きな粉
恋愛
魔王討伐を終え、王都に凱旋した英雄たち。
その中心には、異世界から来た聖女と、彼女に寄り添う王太子の姿があった。
王太子の婚約者として壇上に立ちながらも、私は自分が選ばれない側だと理解していた。
だから、泣かない。縋らない。
私は自分から婚約破棄を願い出る。
選ばれなかった人生を終わらせるために。
そして、私自身の人生を始めるために。
短いお話です。
※第19回恋愛小説大賞にエントリーしております。
新婚初夜に『白い結婚にしてほしい』と言われたので論理的に詰めたら夫が泣きました
ささい
恋愛
「愛人がいるから、白い結婚にしてほしい」
政略結婚の初夜にそう告げた夫ルーファス。
妻カレンの反応は——
「それ、契約不履行ですよね?」
「あなたの感情論、論理的に破綻してますよ?」
泣き落としは通じない。
そして初夜の翌朝、夫は泣いていた。
逃げ道は全部塞がれ、気づけば毎日論破されていた。
これは、論破され続けた夫がなぜか幸せになる話。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる