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17 最後のお出掛け
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約束の1日目の朝
約束がお昼前にも関わらず、出勤日の朝よりも早くに目が覚めた。お出掛けの準備と言っても、貴族令嬢のように着飾るわけでもないから、数分で終わってしまう。
「クッキーでも作ろうかな…」
パパッと簡単レシピのクッキーで、カリーヌさんとレイさんから「美味しい」と言われて、お昼休みの時間によく食べてもらっていたクッキー。
ー作って行ったら、食べてくれるかな?ー
時間が余裕であったから、プレーン味と紅茶味の2種類を作って、簡単にラッピングもした。
それからゆっくりと準備に入る。いつもは私もカリーヌさんもパンツスタイルでお出掛けをしていたけど、今日はワンピースにしてみた。仕事場でもパンツスタイルだから、ワンピースどころか、スカート自体が久し振りだ。貴族と違って、平民では動きやすさから、パンツスタイルの女性が多い。
今日のワンピースは、以前、カリーヌさんが私に似合うと言ってお勧めしてくれたものだから、似合わない事はないだろう。それに、今日は、似合わない黒色のネックレスは着けず、レイさんから貰ったイヤリングを着ける。後は、モニクからレクチャーされたお化粧を軽くして───準備は早々に終了した。
ー約束の時間までまだあるけど、ゆっくり行って待ってれば良いかー
ラッピングしたクッキーを鞄に入れて、少し早目に家を出た。
今日は良い天気で、風もそよそよと吹いていて心地良い。貴族令嬢だと日傘を差したりもするけど、平民にいたっては殆ど使う事はない。日焼け対策はするけど。両親が生きていた頃、貴族として何不自由する事なく生活をしていたけど…自分の力で生きていく今の生活も……今迄は辛い事でしかなかったけど、レイさんのお陰で好きになれそうな気がする。本当に、レイさんには感謝しかない。
「やっぱり…ちょっと早過ぎたかなぁ?」
約束の場所に到着したのは、約束の時間の20分程前だった。その待ち合わせ場所にあるベンチに座ろうとして視界の隅に入ったのは──
「あ、レイさ─────」
週末で平日よりも人が多く、その多くの人達の隙間にレイさんを見付けて、手を振って名前を呼び掛けて──止まった。
レイさん1人だと思っていたけど、レイさんの横にもう1人……女性らしき人が居た。その女性は私に背を向けてレイさんの方を見ているから、どんな人かは分からないけど、私と同じぐらいの身長で、キレイな銀髪がふわりと風に靡いている。2人の雰囲気からすると、仲の良い関係のように見える。
その女性が人混みに流されそうになると、レイさんがその女性の肩を引いて優しく微笑んだ。
ーレイさんって…あんなに優しく微笑むんだー
それから、レイさんはキョロキョロと辺りを見回した後、その女性に声を掛けてから歩き始め、人混みの中へと消えて行った。
午前中、どうしても外せない用事があると言っていたレイさん。
「………」
そう言えば、レイさんは婚約者や恋人は居ないって言っていたけど、好きな人が居ない─と言うわけでは……ないんだよね……。
ー約束の時間に戻って来てくれるかなぁ?ー
「ニアさん、こんにちは」
「!?レイさん!あ…こんにちは」
人混みの中へと消えて行ってから5分、約束の時間迄後10分と言う時間に、レイさんは待ち合わせ場所にやって来た。時間ギリギリになるかな?と思っていたから、こんなに早く戻って来るとは思っていなかった。けど──嬉しい…と思う自分が居る。
「えっと……午前中の用事は終わったんですか?」
「なんとかギリギリにね。後は、今日も明日もフリーだから、よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ーあの女性の事は気になるけど、今からはレイさんとの時間を楽しもう!ー
ランチは、以前、レイさんが美味しい!と言っていたお店で食べた。以前は魚料理を食べていたけど、今日はチキン料理を食べた。「よく考えたら、ここに来てから、殆ど魚しか食べてなかったんだ」と言う事で、今日と明日はお肉メインの料理を食べる事にしたらしい。
ランチが終わると、「デザートは別のお店で」と言われて、ティータイムの時間迄、街をブラブラした。
アクセサリーショップでは、レイさんが何やら注文していたようで、店員さんと一緒に奥の部屋迄入って行ってしまった。
やっぱり、レイさんは貴族─もしくは、それなりのお金持ちなんだろう。
私も、最近ではそこそこ余裕があるから、レイさんが居ない間に店内を見て回り、目に止まったネックレスを一つ購入した。
それから、数分してから戻って来たレイさんとお店を出てから、カフェへと移動して、レイさんが食べたかったケーキを堪能した。
「これで、甘味に関しては、思い残す事はない」
と、満足気に笑っていたレイさんは、なんだか……可愛かった。
「今日も付き合ってくれて、ありがとう」
「こちらこそ、楽しかったです。ありがとうございました」
「じゃあ……明日は10時に、今日と同じ場所で待ってるから」
「はい、分かりました」
私の住んでいるアパートメントの前で、明日の約束をしてレイさんと別れた後、私はアパートメントの中へ入って行った。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*.゚
❋明日で完結編予定です。最後迄お付き合いいただければ幸いです❋
(ꕤ ˊᵕˋㅅˊᵕˋ ୨୧)
約束がお昼前にも関わらず、出勤日の朝よりも早くに目が覚めた。お出掛けの準備と言っても、貴族令嬢のように着飾るわけでもないから、数分で終わってしまう。
「クッキーでも作ろうかな…」
パパッと簡単レシピのクッキーで、カリーヌさんとレイさんから「美味しい」と言われて、お昼休みの時間によく食べてもらっていたクッキー。
ー作って行ったら、食べてくれるかな?ー
時間が余裕であったから、プレーン味と紅茶味の2種類を作って、簡単にラッピングもした。
それからゆっくりと準備に入る。いつもは私もカリーヌさんもパンツスタイルでお出掛けをしていたけど、今日はワンピースにしてみた。仕事場でもパンツスタイルだから、ワンピースどころか、スカート自体が久し振りだ。貴族と違って、平民では動きやすさから、パンツスタイルの女性が多い。
今日のワンピースは、以前、カリーヌさんが私に似合うと言ってお勧めしてくれたものだから、似合わない事はないだろう。それに、今日は、似合わない黒色のネックレスは着けず、レイさんから貰ったイヤリングを着ける。後は、モニクからレクチャーされたお化粧を軽くして───準備は早々に終了した。
ー約束の時間までまだあるけど、ゆっくり行って待ってれば良いかー
ラッピングしたクッキーを鞄に入れて、少し早目に家を出た。
今日は良い天気で、風もそよそよと吹いていて心地良い。貴族令嬢だと日傘を差したりもするけど、平民にいたっては殆ど使う事はない。日焼け対策はするけど。両親が生きていた頃、貴族として何不自由する事なく生活をしていたけど…自分の力で生きていく今の生活も……今迄は辛い事でしかなかったけど、レイさんのお陰で好きになれそうな気がする。本当に、レイさんには感謝しかない。
「やっぱり…ちょっと早過ぎたかなぁ?」
約束の場所に到着したのは、約束の時間の20分程前だった。その待ち合わせ場所にあるベンチに座ろうとして視界の隅に入ったのは──
「あ、レイさ─────」
週末で平日よりも人が多く、その多くの人達の隙間にレイさんを見付けて、手を振って名前を呼び掛けて──止まった。
レイさん1人だと思っていたけど、レイさんの横にもう1人……女性らしき人が居た。その女性は私に背を向けてレイさんの方を見ているから、どんな人かは分からないけど、私と同じぐらいの身長で、キレイな銀髪がふわりと風に靡いている。2人の雰囲気からすると、仲の良い関係のように見える。
その女性が人混みに流されそうになると、レイさんがその女性の肩を引いて優しく微笑んだ。
ーレイさんって…あんなに優しく微笑むんだー
それから、レイさんはキョロキョロと辺りを見回した後、その女性に声を掛けてから歩き始め、人混みの中へと消えて行った。
午前中、どうしても外せない用事があると言っていたレイさん。
「………」
そう言えば、レイさんは婚約者や恋人は居ないって言っていたけど、好きな人が居ない─と言うわけでは……ないんだよね……。
ー約束の時間に戻って来てくれるかなぁ?ー
「ニアさん、こんにちは」
「!?レイさん!あ…こんにちは」
人混みの中へと消えて行ってから5分、約束の時間迄後10分と言う時間に、レイさんは待ち合わせ場所にやって来た。時間ギリギリになるかな?と思っていたから、こんなに早く戻って来るとは思っていなかった。けど──嬉しい…と思う自分が居る。
「えっと……午前中の用事は終わったんですか?」
「なんとかギリギリにね。後は、今日も明日もフリーだから、よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
ーあの女性の事は気になるけど、今からはレイさんとの時間を楽しもう!ー
ランチは、以前、レイさんが美味しい!と言っていたお店で食べた。以前は魚料理を食べていたけど、今日はチキン料理を食べた。「よく考えたら、ここに来てから、殆ど魚しか食べてなかったんだ」と言う事で、今日と明日はお肉メインの料理を食べる事にしたらしい。
ランチが終わると、「デザートは別のお店で」と言われて、ティータイムの時間迄、街をブラブラした。
アクセサリーショップでは、レイさんが何やら注文していたようで、店員さんと一緒に奥の部屋迄入って行ってしまった。
やっぱり、レイさんは貴族─もしくは、それなりのお金持ちなんだろう。
私も、最近ではそこそこ余裕があるから、レイさんが居ない間に店内を見て回り、目に止まったネックレスを一つ購入した。
それから、数分してから戻って来たレイさんとお店を出てから、カフェへと移動して、レイさんが食べたかったケーキを堪能した。
「これで、甘味に関しては、思い残す事はない」
と、満足気に笑っていたレイさんは、なんだか……可愛かった。
「今日も付き合ってくれて、ありがとう」
「こちらこそ、楽しかったです。ありがとうございました」
「じゃあ……明日は10時に、今日と同じ場所で待ってるから」
「はい、分かりました」
私の住んでいるアパートメントの前で、明日の約束をしてレイさんと別れた後、私はアパートメントの中へ入って行った。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(*ᴗ͈ˬᴗ͈)ꕤ*.゚
❋明日で完結編予定です。最後迄お付き合いいただければ幸いです❋
(ꕤ ˊᵕˋㅅˊᵕˋ ୨୧)
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