召喚先は、誰も居ない森でした

みん

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4 ここは何処?

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あれから何日経ったのか──

地下牢に居るから、ハッキリとは分からないけど、1日2食与えられているようだから、1週間は経っている。食事と言っても、フランスパンの様な硬いパンと具のないスープだけで、お米が出た事は無い。相変わらず、食事を持って来る人や監視の人達の言葉は分からないけど、繰り返し耳にするいくつかの単語から、意味が分かった言葉もあった。兎に角、私が知っている国の言葉ではないと言う事は確定した。

閉じ込められた後、一体どうなるのか?何かの実験台にされたり殺されたりするかもしれない──と思っていたけど、今のところ痛い思いをする事はあっても、殺される程の恐怖はない。ただ、同じ部屋にいる女性の1人が、あまり食事を食べる事ができず、日に日に弱っていくのを目にするのが辛い。生きる事に諦めたような目をしている。声は相変わらず出ないけど、「頑張って食べて」と言う思いで、私や他の2人の女性が食事をするように勧めるけど、彼女は一口二口で食べる事を止めてしまうのだ。
時々、動物の唸り声や人の叫び声が聞こえる時もあり、そんな時は4人で身を寄せ合って堪えている。こんな日々が、いつ迄続くのか───




********


その日は突然訪れた。

その日は朝からずっと騒がしかった。人の話し声や鉄格子が開く音がひっきりなしにしていた。
そうして、何時間かした後、私達の部屋に女の人が4人入って来たと思えば、私達をそれなりに着飾らせた。
それでも、ここに来てから1週間程はお風呂には入っていなくて、体をタオルで拭くだけだったから、彼女達の綺麗だった髪はパサパサで、肌荒れもしている。
そうして身支度を整え終えると、私達は部屋から連れ出されて、1週間ぶりに地下牢から出る事ができた。そして、連れて来られた部屋で目にしたのは、私達の様な女性と、男性や子供だった。

「❋❋❋❋❋❋❋────」

暫くしてから、仮面のような物を着けてスーツを着ている男がやって来て何かを話し出すと、顔を青褪める人や泣き崩れる人、気を失う人が続出した。これから何が起こるのか分からない事が恐ろしくてたまらない。フルフルと手が震え出す。

ーお母さん………ー

もう一度、会いたかった。恐怖と寂しさで体が震えても、涙は出ない。

キュッ──

ーん?ー

そんな時、私の手が何かに掴まれた。その手を見ると、小さな子供が私の手を握っていた。

ーえ?ー

よく見ると、ポロポロと涙を流して泣いていて、震えている。そして、髪の毛の色は真っ白。

ーアルビノ?ー

あまりにもジッと見ていたからか、その子供が私へと視線を向けて来て──その目は銀色で、涙でキラキラと輝いていた。そんな子にどうして良いか分からず、頭を優しく撫でてあげると、その子は更に涙を溢れさせて、私の足にギュッとしがみついて来た。

ーせめて、この子だけでも……ー

なんて思ったところで、私にできる事は、出来る限りこの子と一緒に居てあげる事だけだ。これから、自分がどうなるのかさえ分からないのだから。








私達が居る部屋から、一人ずつ呼び出されて行き、呼び出された人がこの部屋に戻って来る事はなかった。
そして、この部屋には何枚かの絵が張り出されていて、そこには数字が書かれている。幸い、言語は初めて目にするような文字で全く読む事はできないけど、数字は日本と同じで読む事ができた。それらから推測できるのは──

人身売買

何が目的地なのか分からない。きっと、買っても何のメリットも無い私なんて、買われたら最後。命の保証すらないだろう。この子は………珍しい容姿だから、観賞用とかなら………これが夢物語なら、助けに来てくれるヒーローが居て、ヒロインは幸せになるんだろうけど。夢物語は夢物語だ。

ーまさか、母娘揃って行方不明になるなんて思わなかったなぁー

「❋❋❋❋❋!」
「「──っ!!」」

そんな事を考えていると、ついにはその子供が連れて行かれてしまった。私に精一杯伸ばして来るその手を、私は掴む事ができなかった。




気が付けば、一緒に過ごした女性3人も居なくなっていた。残っているのは、数人の男性と年配の女性と私と、部屋の隅に置かれている檻に入っている何か。その檻には布が掛けられていて、中に何が入っているのかは分からない。それからまた、男性が一人ずつ連れ出された後、その檻が布を掛けられた状態で運び出されて行き、部屋には私と年配の女性の2人だけになった。

ーひょっとしたら、買い手が付かずに逃げられる?ー

なんて、少し楽観的な思考に傾き掛けた時、ドーンッと大きな音がして、部屋が大きく揺れた。

「───っ!?」

地震の揺れとは違う大きな揺れで、何が起こったのかは分からないけど、その揺れのお陰か、鍵の掛かっていた筈の扉が開いていた。

ー逃げられる!?ー

と、一拍置いて走り出そうとすると、年配の女性が私よりも早く走りだし、部屋から飛び出した。年配の女性にしては足が早いな──と思いながら、私も慌てて後を追うように部屋から飛び出した。

そして、次の瞬間、足を動かす事ができなくなった。

ーな……何?ー

ヒュッと息を呑む。
ついさっき、目の前を走っていた年配の女性が、血を流してグッタリしている。何故なら─

人の何倍もの大きさのある蛇に……咥えられているから






ここは、一体、どこなの!?───







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