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24 竜王様
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朝起きると、そこは竜王国でした。
「何で?」
「やっぱり覚えてないのね」
と、クスクスと笑いながらリタさんが説明してくれた。やっぱり王女様が動いたそうで、少しでも早く竜王国に移動した方が良いと言う事で、夜のうちに魔法を使って転移して来たそうだ。それは別に構わない。これで平和に過ごせるなら有り難い事だ。ただ、サリアスさんに寝たまま抱っこされた状態で運ばれたと言う事が恥ずかしい。サリアスさんには、本当に色々とお世話になっている。私と同じ黒色の髪と瞳だから、サリアスさんの側が安心すると言う事もあって、知らず知らずのうちに甘えてしまっていたりする。
「リオナさん達にお礼とか挨拶ができなかったなぁ」
「それなら大丈夫よ。また、改めて竜王国に招待してくれると言っていたから」
「それなら良かった」
結局、その日はサリアスさんとも会えず、翌日にようやく会う事ができた。
「会いに来るのが遅くなってしまって申し訳無い」
「いえ、こちらこそ、色々と配慮していただいて、ありがとうございます」
まだ1日しか経っていないし、部屋からは出ていないけど、私のお世話をしてくれるここの人達はとても優しい。どこの誰だか分からない私なのに、嫌な顔をするどころか満面の笑顔で色々と気を使ってくれた。なんでも、黒色と言うのは、竜人にとっては憧れの色でもあるらしい。
『サリアス様のお連れになった女性ですし!』
とは一体どう言う意味なのかは分からないけど。
それから、サリアスさんから聞いた話によると、やはり、王女様に直接処罰を問う事はできないけど、報いは受けさせると王太子様が約束してくれたそうだ。そして、私に二度と近付かないようにするとも。
「それと、申し訳無いが、今から竜王陛下に会う事になった」
「「えっ!?」」
竜王は、文字通り竜王国の王様だ。この世界には人間と魔族と獣人と竜人が居て、その中でも色んな意味で頂点に立つのが竜王と言われている──と、つい最近勉強して知ったところだ。勿論、これから竜王国でお世話になるのだから、いつか会って受け入れてくれた事のお礼を言わなければいけないと思っていたけど、まさかこんなにも早く会う日が来るとは思わなかった。もう少し心の準備を整える時間が欲しかった。
「それで、2日後になるが、リオナ様とルパート様を竜王国に招待したんだが、その時に一緒に魔道士が1人来る事になった。あ、勿論あの男ではない魔道士だ」
“あの男”とは、フィンの事だろう。
「アルマン曰く、マシロの召喚に関して何か知っているそうで、話を聞く事になった」
「そうなんですね…分かりました」
それなら、私も知りたい事や訊きたい事がある。
それから、あれやこれやと身なりを整えられ、急遽竜王様に会いに行く事になった。
******
「カイルスとアルマンから聞いていたが、本当に綺麗な黒色なのだな」
竜王─バージル様
私と同じ黒色の髪と瞳をしていて、見た目は自分の親ぐらいだけど年齢は不明。竜人は長寿の種族だから、見た目と年齢が釣り合っていないらしい。結婚はしていないそうで、王妃や王子は居ないそうだ。
「竜王様、私を竜王国に受け入れていただいて、ありがとうございます」
「黒色であれば、人間の国よりも竜王国の方が安心して過ごせるだろう。それに、渡り人に我が国を救ってくれた事もあるから、その恩返しにもなる」
過去に、渡り人だあった聖女に、竜王国の“綻び”を浄化してもらった事があったそうだ。その綻びが酷くなると竜人達にも影響が出るそうで、最悪の場合、竜が狂って暴れ出し世界中に被害が出る事もあるそうだ。竜は3m程の体長で、最強な生き物だ。それが狂って暴れればどうなるのか?簡単に想像がつく。
その綻びを浄化したのもまた、私と同じ黒色の髪と瞳をした聖女だった。ひょっとしたら、同じ日本人だったのかもしれない。
その聖女は、竜人と恋仲になったそうだけど、ある日居なくなってしまったそうで──
元の世界に帰った
とは、その場の誰も、口にはしなかった。帰ったのかもしれないし、そうではないかもしれない。“帰れるかもしれない”と言う不確かな希望は持たない方が良い。だから、私も敢えて帰れるのかどうかを訊く事はしない。
「色々大変だっただろうから、暫くの間は王城で過ごしながらこれからの事を考えれば良い。困った事があれば、カイルスやアルマンを使えば良い」
「陛下、言い方……」
注意をしたのは、竜王様の側近のネグロ様。ジャガーの獣人なんだそうだ。
それから少し話をした後、私はまたサリアスさん達と一緒に謁見室から退出して、サリアスさんに王城を案内してもらう事になった。
「何で?」
「やっぱり覚えてないのね」
と、クスクスと笑いながらリタさんが説明してくれた。やっぱり王女様が動いたそうで、少しでも早く竜王国に移動した方が良いと言う事で、夜のうちに魔法を使って転移して来たそうだ。それは別に構わない。これで平和に過ごせるなら有り難い事だ。ただ、サリアスさんに寝たまま抱っこされた状態で運ばれたと言う事が恥ずかしい。サリアスさんには、本当に色々とお世話になっている。私と同じ黒色の髪と瞳だから、サリアスさんの側が安心すると言う事もあって、知らず知らずのうちに甘えてしまっていたりする。
「リオナさん達にお礼とか挨拶ができなかったなぁ」
「それなら大丈夫よ。また、改めて竜王国に招待してくれると言っていたから」
「それなら良かった」
結局、その日はサリアスさんとも会えず、翌日にようやく会う事ができた。
「会いに来るのが遅くなってしまって申し訳無い」
「いえ、こちらこそ、色々と配慮していただいて、ありがとうございます」
まだ1日しか経っていないし、部屋からは出ていないけど、私のお世話をしてくれるここの人達はとても優しい。どこの誰だか分からない私なのに、嫌な顔をするどころか満面の笑顔で色々と気を使ってくれた。なんでも、黒色と言うのは、竜人にとっては憧れの色でもあるらしい。
『サリアス様のお連れになった女性ですし!』
とは一体どう言う意味なのかは分からないけど。
それから、サリアスさんから聞いた話によると、やはり、王女様に直接処罰を問う事はできないけど、報いは受けさせると王太子様が約束してくれたそうだ。そして、私に二度と近付かないようにするとも。
「それと、申し訳無いが、今から竜王陛下に会う事になった」
「「えっ!?」」
竜王は、文字通り竜王国の王様だ。この世界には人間と魔族と獣人と竜人が居て、その中でも色んな意味で頂点に立つのが竜王と言われている──と、つい最近勉強して知ったところだ。勿論、これから竜王国でお世話になるのだから、いつか会って受け入れてくれた事のお礼を言わなければいけないと思っていたけど、まさかこんなにも早く会う日が来るとは思わなかった。もう少し心の準備を整える時間が欲しかった。
「それで、2日後になるが、リオナ様とルパート様を竜王国に招待したんだが、その時に一緒に魔道士が1人来る事になった。あ、勿論あの男ではない魔道士だ」
“あの男”とは、フィンの事だろう。
「アルマン曰く、マシロの召喚に関して何か知っているそうで、話を聞く事になった」
「そうなんですね…分かりました」
それなら、私も知りたい事や訊きたい事がある。
それから、あれやこれやと身なりを整えられ、急遽竜王様に会いに行く事になった。
******
「カイルスとアルマンから聞いていたが、本当に綺麗な黒色なのだな」
竜王─バージル様
私と同じ黒色の髪と瞳をしていて、見た目は自分の親ぐらいだけど年齢は不明。竜人は長寿の種族だから、見た目と年齢が釣り合っていないらしい。結婚はしていないそうで、王妃や王子は居ないそうだ。
「竜王様、私を竜王国に受け入れていただいて、ありがとうございます」
「黒色であれば、人間の国よりも竜王国の方が安心して過ごせるだろう。それに、渡り人に我が国を救ってくれた事もあるから、その恩返しにもなる」
過去に、渡り人だあった聖女に、竜王国の“綻び”を浄化してもらった事があったそうだ。その綻びが酷くなると竜人達にも影響が出るそうで、最悪の場合、竜が狂って暴れ出し世界中に被害が出る事もあるそうだ。竜は3m程の体長で、最強な生き物だ。それが狂って暴れればどうなるのか?簡単に想像がつく。
その綻びを浄化したのもまた、私と同じ黒色の髪と瞳をした聖女だった。ひょっとしたら、同じ日本人だったのかもしれない。
その聖女は、竜人と恋仲になったそうだけど、ある日居なくなってしまったそうで──
元の世界に帰った
とは、その場の誰も、口にはしなかった。帰ったのかもしれないし、そうではないかもしれない。“帰れるかもしれない”と言う不確かな希望は持たない方が良い。だから、私も敢えて帰れるのかどうかを訊く事はしない。
「色々大変だっただろうから、暫くの間は王城で過ごしながらこれからの事を考えれば良い。困った事があれば、カイルスやアルマンを使えば良い」
「陛下、言い方……」
注意をしたのは、竜王様の側近のネグロ様。ジャガーの獣人なんだそうだ。
それから少し話をした後、私はまたサリアスさん達と一緒に謁見室から退出して、サリアスさんに王城を案内してもらう事になった。
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