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73 北の守護竜
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*竜王バージル視点*
「はい。終わりました。後の事は、竜王陛下にお任せしても良いですか?」
「あぁ、勿論だ。後は俺に任せて、ユマはゆっくり休むと良い」
「ありがとうございます。宜しくお願いします」
そう言って地下牢から出て行くユマは、どこかホッとしたような、それでも寂しそうな顔をしていた。そのユマに付き添うレナルド。良い2人だと思うが、お互い自分の事には疎そうだから──
「まだまだ──か?」
ガシャンッ───
「イーデン!どうして!?ユマ!」
「ベレニス=ウィンストン。まだ分からないのか?こうなったのは、自分達のせいだと言う事を。三度目は無いと言っただろう?」
ベレニスのした事は赦されるものではない。ただ、番がかつての恋人に傾いていると言うのは、辛い事なんだろうと言う事も考慮した。結局は、イーデンの曖昧な態度がこの結果をもたらしたのだ。
「イーデン、何か言う事はあるか?」
「………竜王陛下、私は………どこで間違ってしまったのでしょうか?番のベレニスを愛しく思っていたのは確かだったのに。ユマの存在を感じれば、心がざわついて……でも、目にすると憎くもあって………でも、今はただ、失ってしまった事が……辛いのです」
何を失って辛いのか?
「お前は、ベレニスに出会った時にベレニスを選んだのだ。それならば、ベレニスを大切にすべきだったんだ。ユマを追い掛けた事──それがお前の最初の間違いだろうな。その行動が、ベレニスを不安にさせて、魔族と手を組んで攻撃するまでになったんだ。更に、それを止める事も無く、ユマとマシロを攻撃したのだから、お前が全てを失ったとしても、それは自業自得だ」
ユマがイーデンから奪ったのは、番の本能。この2人は番を失ったのだ。番を失った竜が辿る道は最悪でしかない。それでも、この2人にはまだ救いがある。番の本能が無くなっても、お互いが愛し合っていれば狂い竜にはならず、穏やかに余生を過ごす事ができる。ただ、イーデンはかなりの竜力が失われているから、ベレニスよりも早くに死ぬ事にはなるだろう。そうすれば、ベレニスが狂い竜になるのは簡単に予想できる。
「お前達は、俺の領で、俺の管理の元に幽閉する」
「幽閉………」
北の守護竜が管理するのは北の領地。作物よりも鉱山資源での収入がメインだ。魔石も多く採れることから、国内では一番潤っている領地と言える。
だが、北領には知られていない土地がある。その土地が、北の守護竜が管理する土地だ。その土地は浮き島になっている上、結果を張っているから、外部からはその浮き島を目にする事はできないし、許しがなければ出入りする事はできない。狂った竜を閉じ込めておく浮き島─牢獄だ。
狂った竜達は、お互い我を忘れて攻撃し合う。大怪我をしても止まらず動き続け、数日も経てば出血多量で死ぬ──だから、態々手を下さなくとも勝手に処理ができるのだ。それでも──と言う場合は、俺が直接その狂い竜の竜力を奪うが、そんな事は滅多に無い。
西の守護竜の別名は“浄化の守護竜”
北の守護竜の別名は“終焉の守護竜”
「反省して狂い竜にもならなければ、牢獄からは出られるだろう」
これも滅多に無いが、狂い竜から元の竜に戻る事ができれば牢獄からは出る事ができる。
「お前次第だ」
『イーデン=ウィンストン次第よ』
「2人の転送の準備を頼む」
「承知しました」
後ろに控えていたネグロに指示をした後、俺は地下牢から出た。
******
2人の北領への転送が済んでから2日後──
「後は、マシロ達の西の離宮の入宮だけだな」
「あちらの準備は調っているので、後はマシロ様をお迎えするだけです」
「ようやくだな。で、ユマには申し訳無いが、ユマの入宮は翌日になる」
「分かりました」
ユマも、マシロと一緒に西領の離宮で暮らす事になった。母娘なのだから当たり前の事だ。唯一の気掛かりも無くなった。これからは、竜王国で穏やかに過ごしてもらいたい。
「ところで、レナルドはどうするんだ?」
「レナルドさん……ですか?」
『何が?』と言いたげな顔をするユマ。
「ふむ………」
やっぱり、何も分かっていないようだ。それなら、俺が敢えて言う必要はないだろう。
「いや……ユマとマシロの事だから、お世話になったレナルドの事を気にしているのではないか?と思っただけだ」
「あ、それなら、落ち着いたらマシロとお菓子を沢山作って、離宮に招待しようって話をしてます」
ふふっ…と笑うユマの顔は、何とも嬉しそうな顔だ。これで無自覚なのだから、異世界の女性はコレが標準なのか?マシロとカイルスもなかなか進まない。
「もう少し……面白くなっても良いのだがなぁ」
「?」
「竜王陛下、ぶっちゃけ過ぎです」
意味が分からない─と言う顔をするユマと、苦笑するネグロ。これからどうなるのか───
「楽しみだ」
「はい。終わりました。後の事は、竜王陛下にお任せしても良いですか?」
「あぁ、勿論だ。後は俺に任せて、ユマはゆっくり休むと良い」
「ありがとうございます。宜しくお願いします」
そう言って地下牢から出て行くユマは、どこかホッとしたような、それでも寂しそうな顔をしていた。そのユマに付き添うレナルド。良い2人だと思うが、お互い自分の事には疎そうだから──
「まだまだ──か?」
ガシャンッ───
「イーデン!どうして!?ユマ!」
「ベレニス=ウィンストン。まだ分からないのか?こうなったのは、自分達のせいだと言う事を。三度目は無いと言っただろう?」
ベレニスのした事は赦されるものではない。ただ、番がかつての恋人に傾いていると言うのは、辛い事なんだろうと言う事も考慮した。結局は、イーデンの曖昧な態度がこの結果をもたらしたのだ。
「イーデン、何か言う事はあるか?」
「………竜王陛下、私は………どこで間違ってしまったのでしょうか?番のベレニスを愛しく思っていたのは確かだったのに。ユマの存在を感じれば、心がざわついて……でも、目にすると憎くもあって………でも、今はただ、失ってしまった事が……辛いのです」
何を失って辛いのか?
「お前は、ベレニスに出会った時にベレニスを選んだのだ。それならば、ベレニスを大切にすべきだったんだ。ユマを追い掛けた事──それがお前の最初の間違いだろうな。その行動が、ベレニスを不安にさせて、魔族と手を組んで攻撃するまでになったんだ。更に、それを止める事も無く、ユマとマシロを攻撃したのだから、お前が全てを失ったとしても、それは自業自得だ」
ユマがイーデンから奪ったのは、番の本能。この2人は番を失ったのだ。番を失った竜が辿る道は最悪でしかない。それでも、この2人にはまだ救いがある。番の本能が無くなっても、お互いが愛し合っていれば狂い竜にはならず、穏やかに余生を過ごす事ができる。ただ、イーデンはかなりの竜力が失われているから、ベレニスよりも早くに死ぬ事にはなるだろう。そうすれば、ベレニスが狂い竜になるのは簡単に予想できる。
「お前達は、俺の領で、俺の管理の元に幽閉する」
「幽閉………」
北の守護竜が管理するのは北の領地。作物よりも鉱山資源での収入がメインだ。魔石も多く採れることから、国内では一番潤っている領地と言える。
だが、北領には知られていない土地がある。その土地が、北の守護竜が管理する土地だ。その土地は浮き島になっている上、結果を張っているから、外部からはその浮き島を目にする事はできないし、許しがなければ出入りする事はできない。狂った竜を閉じ込めておく浮き島─牢獄だ。
狂った竜達は、お互い我を忘れて攻撃し合う。大怪我をしても止まらず動き続け、数日も経てば出血多量で死ぬ──だから、態々手を下さなくとも勝手に処理ができるのだ。それでも──と言う場合は、俺が直接その狂い竜の竜力を奪うが、そんな事は滅多に無い。
西の守護竜の別名は“浄化の守護竜”
北の守護竜の別名は“終焉の守護竜”
「反省して狂い竜にもならなければ、牢獄からは出られるだろう」
これも滅多に無いが、狂い竜から元の竜に戻る事ができれば牢獄からは出る事ができる。
「お前次第だ」
『イーデン=ウィンストン次第よ』
「2人の転送の準備を頼む」
「承知しました」
後ろに控えていたネグロに指示をした後、俺は地下牢から出た。
******
2人の北領への転送が済んでから2日後──
「後は、マシロ達の西の離宮の入宮だけだな」
「あちらの準備は調っているので、後はマシロ様をお迎えするだけです」
「ようやくだな。で、ユマには申し訳無いが、ユマの入宮は翌日になる」
「分かりました」
ユマも、マシロと一緒に西領の離宮で暮らす事になった。母娘なのだから当たり前の事だ。唯一の気掛かりも無くなった。これからは、竜王国で穏やかに過ごしてもらいたい。
「ところで、レナルドはどうするんだ?」
「レナルドさん……ですか?」
『何が?』と言いたげな顔をするユマ。
「ふむ………」
やっぱり、何も分かっていないようだ。それなら、俺が敢えて言う必要はないだろう。
「いや……ユマとマシロの事だから、お世話になったレナルドの事を気にしているのではないか?と思っただけだ」
「あ、それなら、落ち着いたらマシロとお菓子を沢山作って、離宮に招待しようって話をしてます」
ふふっ…と笑うユマの顔は、何とも嬉しそうな顔だ。これで無自覚なのだから、異世界の女性はコレが標準なのか?マシロとカイルスもなかなか進まない。
「もう少し……面白くなっても良いのだがなぁ」
「?」
「竜王陛下、ぶっちゃけ過ぎです」
意味が分からない─と言う顔をするユマと、苦笑するネグロ。これからどうなるのか───
「楽しみだ」
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