召喚から外れたら、もふもふになりました?

みん

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アシーナさんと

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“聖女”と呼ばれる人はこの国には10人程居るらしいが、1人1人の能力やレベルは違うらしい。それを、浄化巡礼迄に訓練をして、誰がどの程度のモノに対応するのか、今回の巡礼に対応できるのかを判断するらしい。
訓練を指導するのは、基本は魔導士と呼ばれる人達で、聖女達が訓練をしている間は、東西南北の魔女達は普段通り、穢れを払ったりしながら過ごし、要請があれば訓練に参加すると言った感じなんだそうだ。
その為、アシーナさんもたまに王城に行く事もあるが、時間のある時は私の魔法の訓練に付き合ってくれている。



そんな日々を3ヶ月程過ごしたある日。


「今回の巡礼について、国王陛下から招集が掛かったから王都に行く事になったわ。ルーナは、またアリスタ邸で待っててね」

と言われて、再びアリスタ邸へとやって来た。

リナティアさんは学園に行っていて、リュークレインさんも登城していて居なかったけど、代わりに公爵夫人であるクラリス様が出迎えてくれた。

「お義姉様、ルーナの事、宜しくお願いします」

と、アシーナさんは挨拶をすると、そのまま王城へと行ってしまった。

ーそろそろ準備が整って、巡礼が始まるのかなぁー

と、その時はそう思っていた。




********


『巡礼が…延期?』

「そうらしいわ…。早くても……半年以上は先になるわ」

穢れや魔獣、魔物の増加については、2、3年で更に悪化すると言う事はないらしい。
ただ……今回集められた聖女達の能力とレベルが、巡礼に出れるレベルではなかったそうだ。

「はぁ…あそこまでレベルが低かったなんて…」

と、アシーナさんは困り顔でため息を吐く。

『それじゃあ、その聖女さん達のレベルを上げる為に訓練を続けると言うことですか?』

「それもある………わね」

ー?何だか変な間があったけど…ー

『と言う事は、やっぱり私は……このままアリスタ邸ここに居た方が良いんですか?』

「ルーナ……ごめんなさいね」

『アシーナさんが居ないのは寂しいけど……ここにはリナティアさんとリュークレインさんが居るから大丈夫です』

「あ、そうだわ!ルーナ、私、明日は1日休みをもらったから、王都の街にお出掛けしない?」

『行きたいです!!』

と、明日は久し振りにアシーナさんとお出掛けをする事になった。




*翌日*


「ここまで来れば大丈夫ね。ルーナ、やってみて?」

アリスタ邸から街迄は歩いて10分。私とアシーナさんは歩いて街に向かい、その途中にある公園の人気の少ない場所に来ている。
そこで、周りに人が居ない事を確認し、更にアシーナさんが目隠しのような結界を張った後、私は白狼から杏子へと姿を変えた。

そう。今日はアシーナさんの提案で、私は杏子としてお出掛けをする事にしたのだ。

「本当に、自分の意思で変化できるようになったのね。これで、今日は大好きなデザートも食べられるわね?」

「デザート!!!!!」

そうなんです!白狼で何が辛い?と訊かれたら、アリスタ邸ではデザートが食べられない─食べさせてもらえない事。

「動物に、人間ひと用のデザートは体によくないから」

と、砂糖未使用の野菜系?のデザートが用意されるのだ。美味しくないこともないけど……甘味の無いデザートはデザートじゃないよね?“甘味欠乏症”と言う病気になっている。

「ふふっ。それじゃあ、行くわよ──

「はいっ!」






「美味しいーっ!」

この世界のデザートは美味しい。日本と同じ様なモノもあれば、未知のモノまで色々あるけど、アシーナさんのお勧めはどれも美味しかった。

ーやっぱり、人には甘味が必要だよね!?ー

「ふふっ。キョウコは、いつも美味しそうに食べるから、見てる私も嬉しくなるわ」

「“美味しそう”じゃなくて、“美味しい”んです。特に、アシーナさんが作ってくれる食事は、本当に美味しいんですよ?」

アシーナさんが作ってくれる食事は、食べるとホッコリする。“お母さんの味”だなぁ─なんて思っている。

「ありがとう、キョウ……」
「ルーナ……??」

ふと、後ろから声を描けられた。

ーあ、この声は……ー

と、私が振り向くより先に「レイン」と、アシーナさんがニッコリ微笑んだ。
そのまま私も振り向けば、騎士服姿のリュークレインさんが居た。

「今日は……姿なんだな………」

「はい!今日は、アシーナさんとデザートを食べに来たんです!」

素直に笑顔で答えれば、リュークレインさんは少しだけ眉間に皺を寄せて口をグッと引き締めた後

「─────っ…そ…そうか……ルーナは、甘い物が好きなのか?」

と訊かれたから、これまた素直に「白狼姿だと食べられないから」と答えると「──」と、これまた一段と低い声で言われた。

ー“分かった”とは…何が?ー

と、首を傾げてリュークレインさんを見る──私を、アシーナさんが優しい笑顔で私を見ていた事には気付かなかった。


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