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婚約者
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「今日、ジェマの婚約者が来る」
ー…………はい?ー
ジェマ──姉の……婚約者???姉に婚約者が居るなんて、知らなかった……と言うか、今日来るとは?視線だけを動かして、皆の顔を窺うと、誰も驚いている様子がない事から、知らなかったのは私だけだと言う事が分かった。エメリーを見ると、困惑した顔をしていた。
「相手は公爵家の子息だ。皆粗相の無いように、しっかり挨拶をする事。分かったな?」
これにはまた驚いた。姉の婚約者が……公爵の子息とは…。一体どんな人なんだろう?少しわくわくした気持ちで、その婚約者が来るのを待った。
「ブレイン=アンカーソンです。宜しくお願いします」
姉の婚約者は、アンカーソン宰相の子息だった。
肩辺りでキッチリと切り揃えられた金髪に、青空を連想させるような青色の瞳の、とても綺麗な男の子だ。
ーお姉様と並ぶと、とてもお似合いだわー
うっとりと見ていた私は気付かなかった。母とリンディが、どんな顔をして、姉とアンカーソン様を見ていたのかなんて──
その日は、お互い挨拶をして、皆で少し話をした後アンカーソン様は帰っ行き、アンカーソン様を見送った姉もまた、そのまま別邸へと帰って行ってしまった。だから、私も自室へと下がった。
「お嬢様、今日はすみませんでした」
部屋に戻って来ると、エメリーに謝られた。と言うのも、エメリー自身も、姉の婚約者の来訪を今朝知ったそうで、それからは姉の支度や迎えの支度等で、私に伝えるのを忘れていたらしい。確かに、今日は朝からエメリーには会ってなかったし、私の準備をしに来たのは、最近新しく入った侍女だった。その侍女からも何も説明などはされなかった。
「それは…仕方無いなわ」
と、言った後、エメリーは、姉の婚約について色々と教えてくれた。
姉の婚約は、姉の実の母─フリージア様の父であるローアン侯爵と、前アンカーソン公爵とが結んだ婚約なんだそうだ。お互い領地が隣同士の幼馴染みらしく、フリージア様が亡くなった後、孫娘である姉を心配していたところ、アンカーソン前公爵が『では、我が孫のブレインの嫁に──』と言う話になったそうだ。
ジェマに婚約者が居る─と、父は聞かされてはいたが、その時点では正式には婚約が調っていなかった為、誰か迄は知らなかったらしい。そして、つい先頃正式に婚約が調い、早いうちに─と、急遽挨拶をしに来たと言う事だったそうだ。
何故、正式に婚約が調っていなかったのか──。
それは、ジェマの妹が光の魔力持ちだから。
光の魔力持ちは稀なる存在故に、王族やそれに準ずる身分の者と婚姻を結ぶ事が多い。そこで、リンディにも王族や高位貴族との婚約の話が出たのだが、リンディは病弱で、生きるか死ぬかの不安定な状態が続いていた為に、なかなか婚約者を決める事ができなかった。
病弱ならば、王妃、王族に入る事は無理なのでは?
第二、第三王子を婿入りさせては?
王族が無理ならば公爵家から─となった場合、筆頭であるアンカーソン家から選ばれる可能性もあった。その為に、なかなか姉との婚約を進める事ができなかったそうだ。
「お姉様との婚約が調ったと言う事は……リンディの婚約者も……決まったと言う事なの?」
ーそんな話も、私は全く知らなかったけどー
「私も詳しくは知らないのですけど、王太子様ではないと言う事は確かだそうです。ひょっとしたら、第二か第三王子かもしれませんね」
リンディが……王子と……。
そうなれば、父も母も、更にリンディばかりになって、私の事なんて………。エメリーに気付かれないように、軽く溜め息を吐く。
「……ブレイン=アンカーソン様が、優しくてお姉様を大切にしてくれる人だったら良いんだけど…」
*その頃のリンディの部屋にて*
「お母様、ブレイン様って、とっても素敵な方だったわね」
「そうね……」
ーまさか、あの娘の婚約者がアンカーソン公爵の嫡男だったとはー
アンカーソン公爵と言えば、この国の10ある公爵の筆頭で、現当主は宰相を務めている。そんな将来有望な人物の婚約者が…何故あの娘なのか…。
ー私の娘─リンディの方が相応しいでしょう!?ー
可愛い事は勿論のこと、何と言っても光の魔力持ち。あの娘より、リンディの方が───。
ーあぁ、ひょっとして……リンディの相手は…王太子様とか?ー
現国王陛下は賢王と謳われる程、この国を豊かに繁栄させた。その第一王子である王太子様も、まだ10歳程の年齢だが、父王にも負けず劣らずの才能を持ち合わせている─と、専らの噂である。そんな王太子の婚約者は未だに決まっていない。ならば、光の魔力持ちのリンディが、その婚約者になる可能性は十分にある。気掛かりと言えば、健康にはなって来てはいるけど、身体が弱いと言う事。将来、王妃が務まるのか。
ーエヴィと身体が逆だったら良かったのにー
「お母様、どうしたの?」
黙り込んだ私を、心配そうに見上げてくるリンディ。
「少し考え事をしていただけよ。さぁ、時間があるから、今からお茶でもしましょうか?」
「うん!するわ!あ、サイラスも呼びましょう!」
リンディの髪を撫でて微笑めば、リンディも嬉しそうに笑った。
ー…………はい?ー
ジェマ──姉の……婚約者???姉に婚約者が居るなんて、知らなかった……と言うか、今日来るとは?視線だけを動かして、皆の顔を窺うと、誰も驚いている様子がない事から、知らなかったのは私だけだと言う事が分かった。エメリーを見ると、困惑した顔をしていた。
「相手は公爵家の子息だ。皆粗相の無いように、しっかり挨拶をする事。分かったな?」
これにはまた驚いた。姉の婚約者が……公爵の子息とは…。一体どんな人なんだろう?少しわくわくした気持ちで、その婚約者が来るのを待った。
「ブレイン=アンカーソンです。宜しくお願いします」
姉の婚約者は、アンカーソン宰相の子息だった。
肩辺りでキッチリと切り揃えられた金髪に、青空を連想させるような青色の瞳の、とても綺麗な男の子だ。
ーお姉様と並ぶと、とてもお似合いだわー
うっとりと見ていた私は気付かなかった。母とリンディが、どんな顔をして、姉とアンカーソン様を見ていたのかなんて──
その日は、お互い挨拶をして、皆で少し話をした後アンカーソン様は帰っ行き、アンカーソン様を見送った姉もまた、そのまま別邸へと帰って行ってしまった。だから、私も自室へと下がった。
「お嬢様、今日はすみませんでした」
部屋に戻って来ると、エメリーに謝られた。と言うのも、エメリー自身も、姉の婚約者の来訪を今朝知ったそうで、それからは姉の支度や迎えの支度等で、私に伝えるのを忘れていたらしい。確かに、今日は朝からエメリーには会ってなかったし、私の準備をしに来たのは、最近新しく入った侍女だった。その侍女からも何も説明などはされなかった。
「それは…仕方無いなわ」
と、言った後、エメリーは、姉の婚約について色々と教えてくれた。
姉の婚約は、姉の実の母─フリージア様の父であるローアン侯爵と、前アンカーソン公爵とが結んだ婚約なんだそうだ。お互い領地が隣同士の幼馴染みらしく、フリージア様が亡くなった後、孫娘である姉を心配していたところ、アンカーソン前公爵が『では、我が孫のブレインの嫁に──』と言う話になったそうだ。
ジェマに婚約者が居る─と、父は聞かされてはいたが、その時点では正式には婚約が調っていなかった為、誰か迄は知らなかったらしい。そして、つい先頃正式に婚約が調い、早いうちに─と、急遽挨拶をしに来たと言う事だったそうだ。
何故、正式に婚約が調っていなかったのか──。
それは、ジェマの妹が光の魔力持ちだから。
光の魔力持ちは稀なる存在故に、王族やそれに準ずる身分の者と婚姻を結ぶ事が多い。そこで、リンディにも王族や高位貴族との婚約の話が出たのだが、リンディは病弱で、生きるか死ぬかの不安定な状態が続いていた為に、なかなか婚約者を決める事ができなかった。
病弱ならば、王妃、王族に入る事は無理なのでは?
第二、第三王子を婿入りさせては?
王族が無理ならば公爵家から─となった場合、筆頭であるアンカーソン家から選ばれる可能性もあった。その為に、なかなか姉との婚約を進める事ができなかったそうだ。
「お姉様との婚約が調ったと言う事は……リンディの婚約者も……決まったと言う事なの?」
ーそんな話も、私は全く知らなかったけどー
「私も詳しくは知らないのですけど、王太子様ではないと言う事は確かだそうです。ひょっとしたら、第二か第三王子かもしれませんね」
リンディが……王子と……。
そうなれば、父も母も、更にリンディばかりになって、私の事なんて………。エメリーに気付かれないように、軽く溜め息を吐く。
「……ブレイン=アンカーソン様が、優しくてお姉様を大切にしてくれる人だったら良いんだけど…」
*その頃のリンディの部屋にて*
「お母様、ブレイン様って、とっても素敵な方だったわね」
「そうね……」
ーまさか、あの娘の婚約者がアンカーソン公爵の嫡男だったとはー
アンカーソン公爵と言えば、この国の10ある公爵の筆頭で、現当主は宰相を務めている。そんな将来有望な人物の婚約者が…何故あの娘なのか…。
ー私の娘─リンディの方が相応しいでしょう!?ー
可愛い事は勿論のこと、何と言っても光の魔力持ち。あの娘より、リンディの方が───。
ーあぁ、ひょっとして……リンディの相手は…王太子様とか?ー
現国王陛下は賢王と謳われる程、この国を豊かに繁栄させた。その第一王子である王太子様も、まだ10歳程の年齢だが、父王にも負けず劣らずの才能を持ち合わせている─と、専らの噂である。そんな王太子の婚約者は未だに決まっていない。ならば、光の魔力持ちのリンディが、その婚約者になる可能性は十分にある。気掛かりと言えば、健康にはなって来てはいるけど、身体が弱いと言う事。将来、王妃が務まるのか。
ーエヴィと身体が逆だったら良かったのにー
「お母様、どうしたの?」
黙り込んだ私を、心配そうに見上げてくるリンディ。
「少し考え事をしていただけよ。さぁ、時間があるから、今からお茶でもしましょうか?」
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リンディの髪を撫でて微笑めば、リンディも嬉しそうに笑った。
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