(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん

文字の大きさ
30 / 75

腹黒爽やか殿下

しおりを挟む
「「お……王太子…殿下!」」

そこに現れたのは、アシェルハイド殿下だ。

「さて、どうしようか?」

「すっ──すみませんでした!」

「ん?それは何に対しての謝罪なんだ?あぁ、今、王太子わたしを殴ろうとした事か?」

「そんなっ……王太子殿下を殴ろうなどとは─」
「それじゃあ、伯爵令嬢であるエヴィ嬢に手を上げようとした事?それとも、“魔力無し”と侮辱した事?それとも…………エヴィ嬢の物を取り上げたうえに、放り投げた事か?」

「───ちが──────っ」

ーうわぁ……全部殿下に見られていたと言う事だよね?ー

「それと……リンディ嬢。何故、リンディ嬢がここに居るのか説明してもらえるかな?」

いつもの、人好きのする笑顔をリンディに向ける殿下。でも、その笑顔を向けられて喜ぶだろうと思っていたリンディは、ビクッと体を震わせて、更に顔色を悪くしている。

ふと気が付くと、無礼男子2人は、未だフードを深々と被っている男性2人に拘束されていた。何とも手際が良い─良過ぎる。きっと、“何者?”と、詮索してはいけない人達だ。

ー見なかった、気付かなかった事にしようー

うんうんと小さく頷いている私を、ライラは楽しそうに見ていた。

「リンディ嬢、答えられないのか?」

「あ…私……今日は……調が………」
「あぁ、そうだったよね?『今日は体調が悪いから、訓練は休みたい』と、魔導士に言って訓練を休んだんだよね?そのリンディ嬢が、何故こんな所に居るんだ?」

ーえっ!?リンディ、そんな嘘をついて……何を!?ー

あぁ!そうか!お姉様が登城できないから、代わりにブレイン様とデート~なんて思っていたけど、その予定がバッサリと裏切られて、腹立たしい?気持ちの勢いのまま、無礼男子達と街へとやって来た─と言うところかな?

「リンディ嬢。別に、訓練とは強制ではないから、街に出たい時や遊びたい時は、素直にそう言って休めば良いんだ。嘘をついて遊ぶ事は止めた方が良い」

「はい……すみませんでした」

「その謝罪は、魔導士にするべきであって、私には不要だ」

殿下は爽やかな笑顔のまま、リンディにバッサリと言い放った後、スッと真顔になり

「リンディ嬢は、光の魔力について、ちゃんと理解をしているのか?」

「理解?」

殿下の不意な質問に、問われたリンディも意味が分からないと言うような顔をして、殿下を見上げている。見上げられている殿下も、その視線を逸らす事なく、真っ直ぐにリンディを見ている。そして、先に視線を逸らしたのは……殿下だった。
目を瞑って軽く息を吐いた後「リンディ嬢、今日はもう城に帰った方が良い」と言うと、もう1人フードを被った人が現れて、リンディを連れて行ってしまった。気が付けば、無礼男子達の姿もなかった。

ー“何者?”と訊いてはいけない人は、一体何人居たんだろうかー

フルフルと首を振って、気持ちを落ち着かせる。

「──エヴィ、大丈夫か?」

パッと顔を上げると、目の前に心配そうな顔をした殿下が居た。

「アシェルハイド殿下、助けていただいて、ありがとうございました。私は大丈夫です」

「そうか……なら良かった」

ホッとしたように微笑む殿下。意外だ。腹黒殿下でも、こんなにも柔らかく笑う事もあるんだなぁ─って……そう言えば、殿下に買ったお礼……、カシャンって音がしたよね?多分、アウトだよね………。

「はぁ─────」
「大きい溜め息だな?」

「はっ!失礼しました!別に、他意は無いんです。ちょっと気になる事があっただけなんです」

「気になる事?」
「あっ!!」

馬鹿!そんな事を言ったら……

「あー、やっぱりね。エヴィ、コレ壊れてるわ」

と、いつの間にやら、ライラが私が持っていた紙袋を持ち、中身を確認していた。やっぱり壊れてたか……あの髪撫で男子め!!

「壊れていた?何がだ?」

ほら!やっぱり殿下が食い付いて来た!きっと、ライラはワザと言ったのだ。顔がとっても楽しそうだ。軽くライラを睨んだところで、ライラは更に笑っただけだった。

「あー……買った物が……その……床に放り投げられた時に壊れてしまったようです。硝子細工のペンだったので……」

そう。殿下へのお礼として、硝子でできたペンを買っていたのだ。ペン先が透き通るようなグレーで、ペン尻は黒色のグラデーションになっていて、まるで殿下を表す色だなぁ─と思って、一目惚れ?したように迷う事もなく購入したのだ。硝子でできている為、普通のペンよりも比較的お手軽でもあったから、重たいお礼にもならないだろうと……。
あまりにも私が落ち込んでいるように見えたのか……

「そんなに気に入っていた物だったのか?なら、俺が買ってプレゼントでもしようか?」
「プレっ!?意味が無いんです!」
「意味がない?」

ーふわー!また口が滑った!!ー

「──お気になさらずに……。私はこれで失れ──」
「─失礼させる訳ないだろう?」

一刻も早く立ち去ろうとした私の肩を、腹黒爽やか笑顔の殿下にガッツリと掴まれてしまった。

そんな私達を、ライラはやっぱり楽しそうに見ているだけだった。







❋補足❋

フードを被った人(影)は、アシェルハイドに3人、リンディに1人、エヴィに2人の合計6人。リンディを連れ帰ったのは、リンディ付きの影です。エヴィとリンディは、自分に影が付いている事は知りませんが、ライラは気付いています。

しおりを挟む
感想 188

あなたにおすすめの小説

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

わたしを嫌う妹の企みで追放されそうになりました。だけど、保護してくれた公爵様から溺愛されて、すごく幸せです。

バナナマヨネーズ
恋愛
山田華火は、妹と共に異世界に召喚されたが、妹の浅はかな企みの所為で追放されそうになる。 そんな華火を救ったのは、若くしてシグルド公爵となったウェインだった。 ウェインに保護された華火だったが、この世界の言葉を一切理解できないでいた。 言葉が分からない華火と、華火に一目で心を奪われたウェインのじりじりするほどゆっくりと進む関係性に、二人の周囲の人間はやきもきするばかり。 この物語は、理不尽に異世界に召喚された少女とその少女を保護した青年の呆れるくらいゆっくりと進む恋の物語である。 3/4 タイトルを変更しました。 旧タイトル「どうして異世界に召喚されたのかがわかりません。だけど、わたしを保護してくれたイケメンが超過保護っぽいことはわかります。」 3/10 翻訳版を公開しました。本編では異世界語で進んでいた会話を日本語表記にしています。なお、翻訳箇所がない話数には、タイトルに 〃 をつけてますので、本編既読の場合は飛ばしてもらって大丈夫です ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜

ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。 しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。 生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。 それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。 幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。 「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」 初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。 そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。 これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。 これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。 ☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆

愛し子は自由のために、愛され妹の嘘を放置する

紅子
恋愛
あなたは私の連理の枝。今世こそは比翼の鳥となりましょう。 私は、女神様のお願いで、愛し子として転生した。でも、そのことを誰にも告げる気はない。可愛らしくも美しい双子の妹の影で、いない子と扱われても特別な何かにはならない。私を愛してくれる人とこの世界でささやかな幸せを築ければそれで満足だ。 その希望を打ち砕くことが起こるとき、私は全力でそれに抗うだろう。 完結済み。毎日00:00に更新予定です。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。 この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。 そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。 ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。 なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。 ※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。

【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。 ※本編完結しました。 ※後日談を更新中です。

病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで

あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。 怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。 ……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。 *** 『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』  

処理中です...