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腹黒爽やか殿下
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「「お……王太子…殿下!」」
そこに現れたのは、アシェルハイド殿下だ。
「さて、どうしようか?」
「すっ──すみませんでした!」
「ん?それは何に対しての謝罪なんだ?あぁ、今、王太子を殴ろうとした事か?」
「そんなっ……王太子殿下を殴ろうなどとは─」
「それじゃあ、伯爵令嬢であるエヴィ嬢に手を上げようとした事?それとも、“魔力無し”と侮辱した事?それとも…………エヴィ嬢の物を取り上げたうえに、放り投げた事か?」
「───ちが──────っ」
ーうわぁ……全部殿下に見られていたと言う事だよね?ー
「それと……リンディ嬢。何故、リンディ嬢がここに居るのか説明してもらえるかな?」
いつもの、人好きのする笑顔をリンディに向ける殿下。でも、その笑顔を向けられて喜ぶだろうと思っていたリンディは、ビクッと体を震わせて、更に顔色を悪くしている。
ふと気が付くと、無礼男子2人は、未だフードを深々と被っている男性2人に拘束されていた。何とも手際が良い─良過ぎる。きっと、“何者?”と、詮索してはいけない人達だ。
ー見なかった、気付かなかった事にしようー
うんうんと小さく頷いている私を、ライラは楽しそうに見ていた。
「リンディ嬢、答えられないのか?」
「あ…私……今日は……体調が………」
「あぁ、そうだったよね?『今日は体調が悪いから、訓練は休みたい』と、魔導士に言って訓練を休んだんだよね?そのリンディ嬢が、何故こんな所に居るんだ?」
ーえっ!?リンディ、そんな嘘をついて……何を!?ー
あぁ!そうか!お姉様が登城できないから、代わりにブレイン様とデート~なんて思っていたけど、その予定がバッサリと裏切られて、腹立たしい?気持ちの勢いのまま、無礼男子達と街へとやって来た─と言うところかな?
「リンディ嬢。別に、訓練とは強制ではないから、街に出たい時や遊びたい時は、素直にそう言って休めば良いんだ。嘘をついて遊ぶ事は止めた方が良い」
「はい……すみませんでした」
「その謝罪は、魔導士にするべきであって、私には不要だ」
殿下は爽やかな笑顔のまま、リンディにバッサリと言い放った後、スッと真顔になり
「リンディ嬢は、光の魔力について、ちゃんと理解をしているのか?」
「理解?」
殿下の不意な質問に、問われたリンディも意味が分からないと言うような顔をして、殿下を見上げている。見上げられている殿下も、その視線を逸らす事なく、真っ直ぐにリンディを見ている。そして、先に視線を逸らしたのは……殿下だった。
目を瞑って軽く息を吐いた後「リンディ嬢、今日はもう城に帰った方が良い」と言うと、もう1人フードを被った人が現れて、リンディを連れて行ってしまった。気が付けば、無礼男子達の姿もなかった。
ー“何者?”と訊いてはいけない人は、一体何人居たんだろうかー
フルフルと首を振って、気持ちを落ち着かせる。
「──エヴィ、大丈夫か?」
パッと顔を上げると、目の前に心配そうな顔をした殿下が居た。
「アシェルハイド殿下、助けていただいて、ありがとうございました。私は大丈夫です」
「そうか……なら良かった」
ホッとしたように微笑む殿下。意外だ。腹黒殿下でも、こんなにも柔らかく笑う事もあるんだなぁ─って……そう言えば、殿下に買ったお礼……あの時、カシャンって音がしたよね?多分、アウトだよね………。
「はぁ─────」
「大きい溜め息だな?」
「はっ!失礼しました!別に、他意は無いんです。ちょっと気になる事があっただけなんです」
「気になる事?」
「あっ!!」
馬鹿!そんな事を言ったら……
「あー、やっぱりね。エヴィ、コレ壊れてるわ」
と、いつの間にやら、ライラが私が持っていた紙袋を持ち、中身を確認していた。やっぱり壊れてたか……あの髪撫で男子め!!
「壊れていた?何がだ?」
ほら!やっぱり殿下が食い付いて来た!きっと、ライラはワザと言ったのだ。顔がとっても楽しそうだ。軽くライラを睨んだところで、ライラは更に笑っただけだった。
「あー……買った物が……その……床に放り投げられた時に壊れてしまったようです。硝子細工のペンだったので……」
そう。殿下へのお礼として、硝子でできたペンを買っていたのだ。ペン先が透き通るようなグレーで、ペン尻は黒色のグラデーションになっていて、まるで殿下を表す色だなぁ─と思って、一目惚れ?したように迷う事もなく購入したのだ。硝子でできている為、普通のペンよりも比較的お手軽でもあったから、重たいお礼にもならないだろうと……。
あまりにも私が落ち込んでいるように見えたのか……
「そんなに気に入っていた物だったのか?なら、俺が買ってプレゼントでもしようか?」
「プレっ!?それでは意味が無いんです!」
「意味がない?」
ーふわー!また口が滑った!!ー
「──お気になさらずに……。私はこれで失れ──」
「─失礼させる訳ないだろう?」
一刻も早く立ち去ろうとした私の肩を、腹黒爽やか笑顔の殿下にガッツリと掴まれてしまった。
そんな私達を、ライラはやっぱり楽しそうに見ているだけだった。
❋補足❋
フードを被った人(影)は、アシェルハイドに3人、リンディに1人、エヴィに2人の合計6人。リンディを連れ帰ったのは、リンディ付きの影です。エヴィとリンディは、自分に影が付いている事は知りませんが、ライラは気付いています。
そこに現れたのは、アシェルハイド殿下だ。
「さて、どうしようか?」
「すっ──すみませんでした!」
「ん?それは何に対しての謝罪なんだ?あぁ、今、王太子を殴ろうとした事か?」
「そんなっ……王太子殿下を殴ろうなどとは─」
「それじゃあ、伯爵令嬢であるエヴィ嬢に手を上げようとした事?それとも、“魔力無し”と侮辱した事?それとも…………エヴィ嬢の物を取り上げたうえに、放り投げた事か?」
「───ちが──────っ」
ーうわぁ……全部殿下に見られていたと言う事だよね?ー
「それと……リンディ嬢。何故、リンディ嬢がここに居るのか説明してもらえるかな?」
いつもの、人好きのする笑顔をリンディに向ける殿下。でも、その笑顔を向けられて喜ぶだろうと思っていたリンディは、ビクッと体を震わせて、更に顔色を悪くしている。
ふと気が付くと、無礼男子2人は、未だフードを深々と被っている男性2人に拘束されていた。何とも手際が良い─良過ぎる。きっと、“何者?”と、詮索してはいけない人達だ。
ー見なかった、気付かなかった事にしようー
うんうんと小さく頷いている私を、ライラは楽しそうに見ていた。
「リンディ嬢、答えられないのか?」
「あ…私……今日は……体調が………」
「あぁ、そうだったよね?『今日は体調が悪いから、訓練は休みたい』と、魔導士に言って訓練を休んだんだよね?そのリンディ嬢が、何故こんな所に居るんだ?」
ーえっ!?リンディ、そんな嘘をついて……何を!?ー
あぁ!そうか!お姉様が登城できないから、代わりにブレイン様とデート~なんて思っていたけど、その予定がバッサリと裏切られて、腹立たしい?気持ちの勢いのまま、無礼男子達と街へとやって来た─と言うところかな?
「リンディ嬢。別に、訓練とは強制ではないから、街に出たい時や遊びたい時は、素直にそう言って休めば良いんだ。嘘をついて遊ぶ事は止めた方が良い」
「はい……すみませんでした」
「その謝罪は、魔導士にするべきであって、私には不要だ」
殿下は爽やかな笑顔のまま、リンディにバッサリと言い放った後、スッと真顔になり
「リンディ嬢は、光の魔力について、ちゃんと理解をしているのか?」
「理解?」
殿下の不意な質問に、問われたリンディも意味が分からないと言うような顔をして、殿下を見上げている。見上げられている殿下も、その視線を逸らす事なく、真っ直ぐにリンディを見ている。そして、先に視線を逸らしたのは……殿下だった。
目を瞑って軽く息を吐いた後「リンディ嬢、今日はもう城に帰った方が良い」と言うと、もう1人フードを被った人が現れて、リンディを連れて行ってしまった。気が付けば、無礼男子達の姿もなかった。
ー“何者?”と訊いてはいけない人は、一体何人居たんだろうかー
フルフルと首を振って、気持ちを落ち着かせる。
「──エヴィ、大丈夫か?」
パッと顔を上げると、目の前に心配そうな顔をした殿下が居た。
「アシェルハイド殿下、助けていただいて、ありがとうございました。私は大丈夫です」
「そうか……なら良かった」
ホッとしたように微笑む殿下。意外だ。腹黒殿下でも、こんなにも柔らかく笑う事もあるんだなぁ─って……そう言えば、殿下に買ったお礼……あの時、カシャンって音がしたよね?多分、アウトだよね………。
「はぁ─────」
「大きい溜め息だな?」
「はっ!失礼しました!別に、他意は無いんです。ちょっと気になる事があっただけなんです」
「気になる事?」
「あっ!!」
馬鹿!そんな事を言ったら……
「あー、やっぱりね。エヴィ、コレ壊れてるわ」
と、いつの間にやら、ライラが私が持っていた紙袋を持ち、中身を確認していた。やっぱり壊れてたか……あの髪撫で男子め!!
「壊れていた?何がだ?」
ほら!やっぱり殿下が食い付いて来た!きっと、ライラはワザと言ったのだ。顔がとっても楽しそうだ。軽くライラを睨んだところで、ライラは更に笑っただけだった。
「あー……買った物が……その……床に放り投げられた時に壊れてしまったようです。硝子細工のペンだったので……」
そう。殿下へのお礼として、硝子でできたペンを買っていたのだ。ペン先が透き通るようなグレーで、ペン尻は黒色のグラデーションになっていて、まるで殿下を表す色だなぁ─と思って、一目惚れ?したように迷う事もなく購入したのだ。硝子でできている為、普通のペンよりも比較的お手軽でもあったから、重たいお礼にもならないだろうと……。
あまりにも私が落ち込んでいるように見えたのか……
「そんなに気に入っていた物だったのか?なら、俺が買ってプレゼントでもしようか?」
「プレっ!?それでは意味が無いんです!」
「意味がない?」
ーふわー!また口が滑った!!ー
「──お気になさらずに……。私はこれで失れ──」
「─失礼させる訳ないだろう?」
一刻も早く立ち去ろうとした私の肩を、腹黒爽やか笑顔の殿下にガッツリと掴まれてしまった。
そんな私達を、ライラはやっぱり楽しそうに見ているだけだった。
❋補足❋
フードを被った人(影)は、アシェルハイドに3人、リンディに1人、エヴィに2人の合計6人。リンディを連れ帰ったのは、リンディ付きの影です。エヴィとリンディは、自分に影が付いている事は知りませんが、ライラは気付いています。
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