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じわじわと
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街に買い物に行き、トラブルに見舞われてから3ヶ月が過ぎた。この3ヶ月の間は、本当に穏やかな日々だった。と言うのも、リンディがおとなしいままなのだ。以前は、光の魔力の訓練をサボリ気味だったようだけと、今では学校が終わると直ぐに王城へと帰り、週に4日は訓練を受けているとの事だった。
そして、その頃から噂されるようになった事は──
『光の魔力持ちが、王太子妃教育を始めたらしい』
だった。ようやく、殿下とリンディの婚約が調うのか─と思ったりもしたけど、殿下の側近でもあるアンカーソン様をはじめ、ロドヴィック様にもミリウス様にも、『アシェルの婚約者はまだ決まっていない』と言われた。
確かに、あんなトラブルを起こしたんだ。いくら光の魔力持ちとは言え、リンディが王太子妃に───とは少し………全く考えられないと言うのが本音だ。
あの時の無礼男子2人がどうなったのか……一度だけ殿下に訊いてはみたけど、物凄い笑顔を向けられたから、それ以降は訊くのを諦めた。
そして、外交に関するお手伝いも週に1、2回程するようにもなった。その度に、殿下とランチをする事が……当たり前になっているのは気のせいじゃないよね?
「おかしい………」
勿論、呼び出されたら登城して、他国の人達との交渉の場に同席し、通訳の仕事をキッチリとしている。確かに、国によって些細なニュアンスの違いがあったりする為、前もってその相手の国を調べたりもしている。まだ学生である私にとっては、毎日が大変だけど、他国の事を知る事もでき、将来の視野も広がる為、毎日充実した日々を送れていると思っている。でも─
何故か、登城すると必ず殿下が城門で待ち構えているのだ。その日のお手伝いが終わると、これまた殿下が私を迎えに来て、そのままランチやお茶へと誘導されるのだ。しかも、殿下を止める人が誰も居ない。居ないどころか、皆が温かい眼差しをもって私達を見ているのだ。
「おかしい!」
「何がおかしいんだ?」
「ひぃ─っ!ア、アシェルハイド殿下!?」
ここは、学校の生徒会室。早い時間に来ていて、部屋には私1人だけだったから、油断して独り言が大きくなっていたみたいで、殿下が来ていた事にも全く気付いていなかった。
「殿下……こんにちは。えっと……何もありません。お気になさらずに……」
「気にするなと言われると、逆に気になるが?」
「それでは、気にしたまま放っておいて下さい」
「くくっ…エヴィは…ホントにブレないな」
更にくくっ─と笑った後、私の頭をポンポンと叩いてから、殿下は会長席に座った。
「………」
これもそうだ。
殿下はよく、私の頭をポンポンするようになった。私に向ける笑顔も、優しいモノが増えた。
ー腹黒はそのままだけどー
「あぁ、そうだ。エヴィ、来月の話なんだが、レイラーン国から外交官がやって来るんだが、それに合わせて夕食会をする事になったんだ。そこに、エヴィも─と言う話になった」
「え!?私がですか!?」
「まだ学生だからと、宰相が一度は断りを入れたんだが、『直接お礼がしたいから』と言われて、断り切れなかったらしい」
「あぁ……そう言う事でしたら……って……私なんかが参加して大丈夫ですか!?と言うか、もう既にお礼は頂きましたけど」
あれから、レイラーン国との契約を見直し、今ではお互い問題なくやり取りができるようになったと、とある商家の人からはお礼として、レイラーン国のフルーツをたくさん貰った。
「それは、我が国の商家からだろう?今回は、レイラーン国側からのお礼だから」
「ゔっ……」
ーそう言われると断れないですよね!?ー
殿下はニコニコと笑っている。最近、このパターンが多いのは……気のせいじゃない。気が付いた時には、いつも殿下の思い通りになっている。
「分かりました……」
と言いつつも、そんな時に着るような服?ドレス?なんて持っていない。私は、まだ社交界デビューもしていない学生だ。しかも、リンディ主義者の親だったから、私は一般的なお茶会にも参加した事はない。
「あ、ドレスはこっちで用意するから気にしなくて良いから」
「────はい!?」
「夕食会と言っても、ある意味これも仕事の一環だから、こっちでドレスを用意しておくよ。それに……まだエヴィの親には言っていないからな」
そう。私が外交のお手伝いをしていると言う事は、まだ父も母もリンディも知らない。『今はまだ、伝える時ではないから─』と、殿下に黒い笑顔で言われたのだ。
私としても、父や母がこの事を知り、何か言ったりして来るかも知れないと思っていたから、まだ伝えていないと言うのは、本当のところ助かっている。
「そこまで良くしてもらっても良いんでしょうか?」
「これ位、大したことではないよ。外交官達も、エヴィには助けられてると言っていたから、妥当な対価だと思っておけば良いよ」
そう言われてしまえば、これもまた断れない訳で、有り難く用意していただく事にした。
そして、その頃から噂されるようになった事は──
『光の魔力持ちが、王太子妃教育を始めたらしい』
だった。ようやく、殿下とリンディの婚約が調うのか─と思ったりもしたけど、殿下の側近でもあるアンカーソン様をはじめ、ロドヴィック様にもミリウス様にも、『アシェルの婚約者はまだ決まっていない』と言われた。
確かに、あんなトラブルを起こしたんだ。いくら光の魔力持ちとは言え、リンディが王太子妃に───とは少し………全く考えられないと言うのが本音だ。
あの時の無礼男子2人がどうなったのか……一度だけ殿下に訊いてはみたけど、物凄い笑顔を向けられたから、それ以降は訊くのを諦めた。
そして、外交に関するお手伝いも週に1、2回程するようにもなった。その度に、殿下とランチをする事が……当たり前になっているのは気のせいじゃないよね?
「おかしい………」
勿論、呼び出されたら登城して、他国の人達との交渉の場に同席し、通訳の仕事をキッチリとしている。確かに、国によって些細なニュアンスの違いがあったりする為、前もってその相手の国を調べたりもしている。まだ学生である私にとっては、毎日が大変だけど、他国の事を知る事もでき、将来の視野も広がる為、毎日充実した日々を送れていると思っている。でも─
何故か、登城すると必ず殿下が城門で待ち構えているのだ。その日のお手伝いが終わると、これまた殿下が私を迎えに来て、そのままランチやお茶へと誘導されるのだ。しかも、殿下を止める人が誰も居ない。居ないどころか、皆が温かい眼差しをもって私達を見ているのだ。
「おかしい!」
「何がおかしいんだ?」
「ひぃ─っ!ア、アシェルハイド殿下!?」
ここは、学校の生徒会室。早い時間に来ていて、部屋には私1人だけだったから、油断して独り言が大きくなっていたみたいで、殿下が来ていた事にも全く気付いていなかった。
「殿下……こんにちは。えっと……何もありません。お気になさらずに……」
「気にするなと言われると、逆に気になるが?」
「それでは、気にしたまま放っておいて下さい」
「くくっ…エヴィは…ホントにブレないな」
更にくくっ─と笑った後、私の頭をポンポンと叩いてから、殿下は会長席に座った。
「………」
これもそうだ。
殿下はよく、私の頭をポンポンするようになった。私に向ける笑顔も、優しいモノが増えた。
ー腹黒はそのままだけどー
「あぁ、そうだ。エヴィ、来月の話なんだが、レイラーン国から外交官がやって来るんだが、それに合わせて夕食会をする事になったんだ。そこに、エヴィも─と言う話になった」
「え!?私がですか!?」
「まだ学生だからと、宰相が一度は断りを入れたんだが、『直接お礼がしたいから』と言われて、断り切れなかったらしい」
「あぁ……そう言う事でしたら……って……私なんかが参加して大丈夫ですか!?と言うか、もう既にお礼は頂きましたけど」
あれから、レイラーン国との契約を見直し、今ではお互い問題なくやり取りができるようになったと、とある商家の人からはお礼として、レイラーン国のフルーツをたくさん貰った。
「それは、我が国の商家からだろう?今回は、レイラーン国側からのお礼だから」
「ゔっ……」
ーそう言われると断れないですよね!?ー
殿下はニコニコと笑っている。最近、このパターンが多いのは……気のせいじゃない。気が付いた時には、いつも殿下の思い通りになっている。
「分かりました……」
と言いつつも、そんな時に着るような服?ドレス?なんて持っていない。私は、まだ社交界デビューもしていない学生だ。しかも、リンディ主義者の親だったから、私は一般的なお茶会にも参加した事はない。
「あ、ドレスはこっちで用意するから気にしなくて良いから」
「────はい!?」
「夕食会と言っても、ある意味これも仕事の一環だから、こっちでドレスを用意しておくよ。それに……まだエヴィの親には言っていないからな」
そう。私が外交のお手伝いをしていると言う事は、まだ父も母もリンディも知らない。『今はまだ、伝える時ではないから─』と、殿下に黒い笑顔で言われたのだ。
私としても、父や母がこの事を知り、何か言ったりして来るかも知れないと思っていたから、まだ伝えていないと言うのは、本当のところ助かっている。
「そこまで良くしてもらっても良いんでしょうか?」
「これ位、大したことではないよ。外交官達も、エヴィには助けられてると言っていたから、妥当な対価だと思っておけば良いよ」
そう言われてしまえば、これもまた断れない訳で、有り難く用意していただく事にした。
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