(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん

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ゲルダン王国

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私が視た“ピンク色のモノ”とは───

「媚薬!?」

リンディは、とんでもないモノをアンカーソン様に飲ませようとしていたのか。でも、何故アンカーソン様?どこをどう見ても、アンカーソン様と姉は相思相愛で、2人の間に割り込む隙なんて無いと思うけど。それに──

「リンディには、他国の王族との縁談の話が上がっていると、アンカーソン様から聞いたんですけど…」

てっきり、他国であっても相手は王族だ。あの親達と共に両手を上げて喜んでいると思っていた。

「どうやら、俺─王太子と結婚できない場合は、公爵家の令息であるブレイン=アンカーソンと結婚できると思っていたようだ。にも関わらず、その相手は自分の異母姉のジェマ嬢で、自分は他国に行かされる─それが気に喰わなかったようで、既成事実を作ろうとしたらしい」

ーえ?あの子はやっぱり馬鹿なの?馬鹿だったのね!ー

ただ、まだ学生で世間知らずでお馬鹿なリンディがそんな事を考えて、尚且つ媚薬を手に入れる事ができるんだろうか?否。そんな事を考える事も、媚薬を手に入れる事もリンディにはできない。なら、のは──

母親であるポーリーン=ブルーム伯爵夫人だ。

ーなんて愚かで馬鹿な人なんだろうかー

「重ね重ね、妹と母が申し訳ありません」

座ったままで頭を下げて謝罪する。そして、殿下が口を開く前に、更に言葉を続ける。

「分かってます。私が悪い訳ではないと。私自身、あの2人の事で、今させてもらっているお手伝いを辞める気もありません。私は、ブルーム伯爵家の籍から抜けて、生きていこうと思っていますから、お手伝いは絶対に辞めたくはありません。でも……“辞めろ”と言われれば…仕方ありませんが……」

シュンと項垂れていると、殿下にポンポンと優しくて頭を叩かれた。

「エヴィを辞めさせる訳がないだろう。この短期間で、かなりの貢献をしているし、そもそも、現場の外交官達がエヴィを手放す筈がないからな。──それはそれで腹立たしいが」

「ん?最後は何て??」

「いや、何も言ってない。兎に角、今している手伝いの事は気にするな。今回の事は、俺達以外には知られていない。“エヴィが、初めての夕食会で体調を崩した”だけだからな。それで、リンディ嬢の処遇なんだが──」



リンディは、前回起こした事を反省せず、また今回のような事を起こしてしまった為、自由にしておく事はできないと判断され、まだ2年生ではあるが、今年度で学校を卒業する事となった。“退学処分”としなかったのは、他国の王族へと輿入れする為、体裁を考えての事だった。リンディは、その卒業と同時にゲルダン王国の王弟の元へと嫁ぐ事になった。

「ゲルダン……王……弟???」

ーあれ?いつだったか……どこかでこの二つのワードを耳にした事があったような??ー

少しずつ記憶を絞り出していく。

ゲルダン王国─現国王は珍しい三つの属性の魔力持ち。
その反面、国民全体で見ると、魔力持ちは3割程しか居ないと言う、この大陸では一番魔力持ちが少ないとされている国だ。それ故に、現国王が即位する時は盛大なパレードや宴が繰り広げられたらしい。それでも、“魔力無し”にとっては、住みやすい国だと言われている。但し──

”である。

貴族社会に於いては、やはり魔力持ち主義者が多く、いくら国王が改めようとしても、魔力無しの貴族は虐げられる存在だと言う。これは、国王により箝口令が敷かれているらしく、他国にはあまり知られていないらしいけど──どこかの商人との交渉のお手伝いをした時、うっかり聞いてしまったのだ。
まぁ、リンディは光の魔力持ちだし、父も母もサイラスも魔力持ちだから、特に問題は無いだろう。

その現国王の弟は──あれ?既に、結婚…していなかったっけ?現国王も王弟も恋愛結婚で、とても仲が良いとか何とか──

「ひょっとして…リンディは側室扱いですか?」

「流石はエヴィ。他国の情報にも明るいな。そう。リンディは、ゲルダン国の王弟の側室として迎えられる事になっている」

やっぱりか。多分、リンディは知らないんだろう。例え王弟とは言え、他国のあまり交流も盛んではない国だから、普通に暮らしていては、そんな情報を耳にする事はないから。きっと、父も母も知らないだろうし、知ろうともしないだろう。ただ、“王弟”と言うだけで喜んでいるだろう。勿論、私から教えてあげる事もしない。

でも、恋愛結婚をしていて、何故側室を迎えるのか……。

「うーん……」

ーそれだけは謎だけど、王族の事だから、色々複雑な事情があるのかもしれないよねー

と、色々考えている私は、殿下とライラが黒い笑顔を浮かべていた事には気付かなかった。



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