75 / 75
姉妹
しおりを挟む
「アシェル、分かっていると思うけれど、久し振りの2人きりだからと言って、羽目を外したりしないようになさい」
「分かっていますよ、母上。無茶はしません」
「“無茶は”─と、強調する意味は…何かあるのかしら?」
「母上の気にし過ぎなだけでは?」
「エヴィ、このプリンは新作だそうだ。食べなさい」
「お義父様、ありがとうございます。あ、お義父様、このクッキーも美味しかったので、お義父様も食べてみて下さい」
「ありがとう、エヴィ」
はい。ここは、国王両陛下のプライベートルーム。そこで、今日も4人でお茶をしながらお喋りをしている。
これまたいつも通り、本気王妃VS王太子の隣で、国王と私はお菓子を食べている。そして、時折、お義父様が私の頭を撫でてくれたりする。私も子供を生んで一児の母になったけど、お義父様は相変わらず私をヨシヨシしてくれる。
『子供を生もうが、孫ができようが、エヴィが私の可愛い娘である事には変わりないからな。エヴィは……癒しだからな……』
と、お義父様から言われた時は、本当に嬉しかった。実の両親には恵まれなかったけど、こんな素敵な義両親ができて、私は幸せ者だと思う。これは、アシェルには感謝だ。
私が妊娠した時は大変だった。
何故か、1週間毎にお義父様からクッションをプレゼントされるようになり、王太子宮から本殿へ移動するとなれば、アシェルがやって来てお姫様抱っこで移動させられ、城内にいる人達からは微笑ましい目で見送られた。「庭園に行きたい」と言えば、勿論、アシェルのお姫様抱っこで移動し、庭園のガゼボでお茶をしようものなら、「体が冷えてはいけない」と言われ、アシェルの膝の上に座らされた。
ーどんな羞恥プレイなの!?ー
と、恥ずかしさのあまり、顔を隠すようにアシェルの胸に顔を埋めれば、「エヴィが可愛い」と言って、更に構い倒され───
「アシェル、お前は“程々”と言う言葉を覚えなさい。妊娠は病気ではないの。妊婦もね、無理は駄目だけれど、体を動かす事は必要なのよ。恥ずかしがっているエヴィは可愛いけど、エヴィにストレスを掛けるのは止めなさい!」
一部変な発言があったけど、お義母様の言葉はありがたかった。
「それと、あなた、一体エヴィにどれだけクッションを贈るつもりなの?もこもこに囲まれたエヴィは可愛いけれど、エヴィが硬い椅子に座る事になっても、5つぐらいあれば十分よ!」
これまた、一部変な発言があったけど、クッション20個で何とか留める事ができた。5つでも多いけど…。
お義父様からは「エヴィ、すまない」と威厳たっぷりの国王然り─とは違い、普通の父親の様にシュン─とした顔で謝られた。普段のお義父様は、どちらかと言うと可愛らしい人だ。
「そんな事を言う母上も、まだ男の子か女の子かも分からないのに、大量の子供服を作らせてますよね?」
「あら、それは、必ず必要になる物だから、全く問題無い事よ?それに、基本は白で作らせているから、性別なんて関係無いわ」
義母とアシェルは腹黒なので、決してどちらも折れる事はない。いつも、最終的には引き分けたまま終わっている。それでも、険悪にはならない。お互い、言い合ってスッキリしているのだろうと思う。信頼し合っているとも言うのかな?ある意味、羨ましい親子関係だなぁ─と思う。
そんな大変な妊婦生活を過ごし、生まれて来たのは男の子─王子だった。アシェルと同じシルバーブロンドの髪に、私と同じ琥珀色の瞳をしている。
王子の誕生には、国中がお祭りムードに湧き上がり、他国からの観光客も増えた。有り難い事に、友好国からのお祝いの品もたくさん贈られて来た。
その中には──
「あら、これ、多分リンディからですよ」
と、私の専属侍女をしてくれている、闇の精霊ライラが手にしていたのは、ゲルダン王国からの贈答品のうちの一つだった。
リンディ─
私の双子の妹で、光の魔力持ち。今は、ゲルダン王国の子爵夫人で、ゲルダン王国辺境地の鉱山で働く人達に癒やしを施している。そんなリンディも、私よりも1年程早く子供を生んでいる一児の母だ。
ちなみに、私の大好きなジェマお姉様も、1年程前に女の子を生んでいる。これがまた、お姉様に似た可愛い子で、将来は美人になるしかない。
「「変な虫がつかないようにしよう(しましょう)!」」
と、ここで初めて、義兄となったブレイン=アンカーソン様と意気投合した──と思う。
話は戻って──
リンディからだと言う贈り物は、レースで編み上げられたブランケットだった。
「このブランケットには、癒しの魔法が掛けられていて、その魔力が、リンディのモノだから…」
闇の精霊のライラが言うなら、そうなんだろう。
「リンディ……」
ーそう言えば、お姉様の時も、これに似たブランケットが贈られて来てなかったっけ?ー
その時は、“フロイド=ブルーム”からの贈り物だった。
「………」
あれもきっと、リンディからだったのだ。
その話を、その日の夜、寝室にやって来たアシェルにだけ伝えていた。
産後1年は、王太子妃の公務も外交の仕事もお休みとなっていた。お陰で、1年は我が子とゆっくり過ごす事ができた。
そして、1年半経った今、外交の仕事として、ゲルダン王国に視察に行く事になった。日程は1週間。
視察に行くのは、王太子と王太子妃の2人と外交官2人。我が子であるクラウスはお留守番だ。王族のルールとして、国外に出る時は、余程の理由がない限り、王位第一継承者と第二継承者が同行する事は禁止されているそうだ。
初めて長期間離れる事になり、心配や不安もあったけど、ライラと義父母が居てくれると言う事で、安心して行く事ができそうだ。
そして、その同行者の中には、ゲルダン王国の魔石の輸入を取り仕切っているハザルバート商会の嫡子であり私の親友のメリッサも居る。勿論、私の護衛には、私の親友のルイーズも居る。
「視察と言っても、友好の為の挨拶周りみたいなものだから、気楽に行ってらっしゃい」
とお義母様に言われた事もあり、久し振りの外交を兼ねた公務ではあったけど、あまり緊張し過ぎる事なくその日を迎える事ができた。
久し振りのゲルダン王国は、以前来た時よりも国中が活気に溢れていた。
我が国と貿易を行っている事で、国中に食物が行き渡り、お金も回るようになり、平民の貧富の差が少なくなっているとの事だった。
そうして、観光を兼ねた視察も残すところ1か所となった。最後に向かったのは───
「アラバスティア王国王太子様、王太子妃様、この様な辺境地迄来ていただき、ありがとうございます。」
リンディの旦那であるネルソンが治めている領にある鉱山だった。
ネルソンに案内されながら鉱山を見て回り、その最後に案内されたのは休憩室兼救護室だった。勿論、そこには
「王太子様、王太子妃様……お久し振りでございます。」
以前よりも柔らかい雰囲気のリンディが居た。
この日は、そのまま子爵邸に泊まる事になっていた為、リンディと一緒に邸に戻り、ゲルダン国王からの差し入れもあり、結構な豪華な食事が出された。それから、アシェルをはじめ男性陣はアルコールを飲み始め、私達女性陣はサロンへと移動した─と言っても、そこに移動したのは、私とリンディと──
「遅れてしまったわね」
と、転移魔法でやって来たジェマお姉様だけだった。
「可愛い…リンディにそっくりだから、エヴィにも似てるわね。名前は何て言うの?」
「エリーよ」
すやすやとベッドに眠っているのは、リンディの子で、エリー。
ジェマお姉様の子はレティシア。
我が子はクラウス。
レティシアもクラウスも連れて来る事はできなかったけど、これから先、いつか会えたらなぁ─と思う。
姉妹3人だけでお茶をする─なんて初めてじゃないだろうか?因みに、これは、アシェルの計らいだ。
『一度、姉妹3人でゆっくり話してみたら?ブランケットのお礼もしたいだろう?』
ーアシェルにはまた、お礼をしないとねー
「リンディ、ブランケットありがとう。あのブランケットのお陰で、クラウスも病気知らずで元気に育ってるの」
「私からも…リンディ、ありがとう。あのブランケット、レティのお気に入りで、ずっと使っているの。勿論、レティも病気知らずで元気に育てるわ」
「──なっ……私じゃ…」
「『私じゃない』なんて言わせないわよ?アラバスティアの優秀な魔道士が、ブランケットに掛けられた魔力はリンディのモノだって認めているんだから」
ー本当は闇の精霊だけどー
「なっ………バレないと思ったのに……私からだと分かったら、受け取ってくれないと思って……でも、使ってくれて嬉しいありがとう」
「「………」」
本当に、リンディは変わった。
こうやって、姉妹3人で穏やかに向き合う日が来るとは思わなかった。
「使わない訳ないでしょう?リンディは、私の妹なんだから」
「そうよ、リンディ。住んでいる国は違うけど、いつでも遊びに来てね?」
「………ありがとう……エヴィ、ジェマお姉様………」
3人でちょっぴり泣いた後、育児の話やお互いの子供自慢をした後………軽ーく旦那の愚痴をこぼし合った事は、3人だけの秘密だ。
一頻り語り合った後、ジェマお姉様はアシェルの計らいで極秘で来ていた為、また、極秘のうちに転移魔法でアラバスティアへと帰って行き、私は今夜泊まる部屋へと戻って来た。
「姉妹3人でのお茶は、楽しめたか?」
「アシェル!」
その部屋には、既に入浴も終えたアシェルが、ソファーに座ってお茶を飲んでいた。
「アシェル、本当にありがとう。」
アシェルにギュウッと抱きついてお礼を言う。
「こんな日が来るなんて思わなかった。本当に嬉しい。ありがとう、アシェル!アラバスティアに帰ったら、何かお礼を───」
と、アシェルの顔を見上げてハッとする。
ーヤバいー
アシェルが、久し振りに腹黒爽やか笑顔になっている。そろそろと、アシェルの胸に両手をついて距離をとろうとして───できなかった。
「何処に行くんだ?」
「えっと……お風呂?かな?」
「お風呂は、後で良いんじゃないか?」
ー“何の後ですか!?”とは訊いてはいけないー
「アシェル、ここは───」
「大丈夫だ。ネルソンに、このフロアから人払いをさせているから。」
“フロアから人払い”
ー準備が……完璧過ぎませんか?腹黒過ぎませんか?“いかにも”で、恥ずかし過ぎませんか?ー
『アシェル、分かっていると思うけれど、久し振りの2人きりだからと言って、羽目を外したりしないようになさい』
ーお義母様が言っていた事は……この事だったのかー
そう気付いたのは、アシェルに散々攻め立てられて意識を失う直前だった。
❋リクエストからの、姉妹再会編でした。ありがとうございました。他のリクエストも、可能な限り頑張ります。気長に待っていただけると幸いです❋
✧*。(๑•̀д•́๑)و✧*。
「分かっていますよ、母上。無茶はしません」
「“無茶は”─と、強調する意味は…何かあるのかしら?」
「母上の気にし過ぎなだけでは?」
「エヴィ、このプリンは新作だそうだ。食べなさい」
「お義父様、ありがとうございます。あ、お義父様、このクッキーも美味しかったので、お義父様も食べてみて下さい」
「ありがとう、エヴィ」
はい。ここは、国王両陛下のプライベートルーム。そこで、今日も4人でお茶をしながらお喋りをしている。
これまたいつも通り、本気王妃VS王太子の隣で、国王と私はお菓子を食べている。そして、時折、お義父様が私の頭を撫でてくれたりする。私も子供を生んで一児の母になったけど、お義父様は相変わらず私をヨシヨシしてくれる。
『子供を生もうが、孫ができようが、エヴィが私の可愛い娘である事には変わりないからな。エヴィは……癒しだからな……』
と、お義父様から言われた時は、本当に嬉しかった。実の両親には恵まれなかったけど、こんな素敵な義両親ができて、私は幸せ者だと思う。これは、アシェルには感謝だ。
私が妊娠した時は大変だった。
何故か、1週間毎にお義父様からクッションをプレゼントされるようになり、王太子宮から本殿へ移動するとなれば、アシェルがやって来てお姫様抱っこで移動させられ、城内にいる人達からは微笑ましい目で見送られた。「庭園に行きたい」と言えば、勿論、アシェルのお姫様抱っこで移動し、庭園のガゼボでお茶をしようものなら、「体が冷えてはいけない」と言われ、アシェルの膝の上に座らされた。
ーどんな羞恥プレイなの!?ー
と、恥ずかしさのあまり、顔を隠すようにアシェルの胸に顔を埋めれば、「エヴィが可愛い」と言って、更に構い倒され───
「アシェル、お前は“程々”と言う言葉を覚えなさい。妊娠は病気ではないの。妊婦もね、無理は駄目だけれど、体を動かす事は必要なのよ。恥ずかしがっているエヴィは可愛いけど、エヴィにストレスを掛けるのは止めなさい!」
一部変な発言があったけど、お義母様の言葉はありがたかった。
「それと、あなた、一体エヴィにどれだけクッションを贈るつもりなの?もこもこに囲まれたエヴィは可愛いけれど、エヴィが硬い椅子に座る事になっても、5つぐらいあれば十分よ!」
これまた、一部変な発言があったけど、クッション20個で何とか留める事ができた。5つでも多いけど…。
お義父様からは「エヴィ、すまない」と威厳たっぷりの国王然り─とは違い、普通の父親の様にシュン─とした顔で謝られた。普段のお義父様は、どちらかと言うと可愛らしい人だ。
「そんな事を言う母上も、まだ男の子か女の子かも分からないのに、大量の子供服を作らせてますよね?」
「あら、それは、必ず必要になる物だから、全く問題無い事よ?それに、基本は白で作らせているから、性別なんて関係無いわ」
義母とアシェルは腹黒なので、決してどちらも折れる事はない。いつも、最終的には引き分けたまま終わっている。それでも、険悪にはならない。お互い、言い合ってスッキリしているのだろうと思う。信頼し合っているとも言うのかな?ある意味、羨ましい親子関係だなぁ─と思う。
そんな大変な妊婦生活を過ごし、生まれて来たのは男の子─王子だった。アシェルと同じシルバーブロンドの髪に、私と同じ琥珀色の瞳をしている。
王子の誕生には、国中がお祭りムードに湧き上がり、他国からの観光客も増えた。有り難い事に、友好国からのお祝いの品もたくさん贈られて来た。
その中には──
「あら、これ、多分リンディからですよ」
と、私の専属侍女をしてくれている、闇の精霊ライラが手にしていたのは、ゲルダン王国からの贈答品のうちの一つだった。
リンディ─
私の双子の妹で、光の魔力持ち。今は、ゲルダン王国の子爵夫人で、ゲルダン王国辺境地の鉱山で働く人達に癒やしを施している。そんなリンディも、私よりも1年程早く子供を生んでいる一児の母だ。
ちなみに、私の大好きなジェマお姉様も、1年程前に女の子を生んでいる。これがまた、お姉様に似た可愛い子で、将来は美人になるしかない。
「「変な虫がつかないようにしよう(しましょう)!」」
と、ここで初めて、義兄となったブレイン=アンカーソン様と意気投合した──と思う。
話は戻って──
リンディからだと言う贈り物は、レースで編み上げられたブランケットだった。
「このブランケットには、癒しの魔法が掛けられていて、その魔力が、リンディのモノだから…」
闇の精霊のライラが言うなら、そうなんだろう。
「リンディ……」
ーそう言えば、お姉様の時も、これに似たブランケットが贈られて来てなかったっけ?ー
その時は、“フロイド=ブルーム”からの贈り物だった。
「………」
あれもきっと、リンディからだったのだ。
その話を、その日の夜、寝室にやって来たアシェルにだけ伝えていた。
産後1年は、王太子妃の公務も外交の仕事もお休みとなっていた。お陰で、1年は我が子とゆっくり過ごす事ができた。
そして、1年半経った今、外交の仕事として、ゲルダン王国に視察に行く事になった。日程は1週間。
視察に行くのは、王太子と王太子妃の2人と外交官2人。我が子であるクラウスはお留守番だ。王族のルールとして、国外に出る時は、余程の理由がない限り、王位第一継承者と第二継承者が同行する事は禁止されているそうだ。
初めて長期間離れる事になり、心配や不安もあったけど、ライラと義父母が居てくれると言う事で、安心して行く事ができそうだ。
そして、その同行者の中には、ゲルダン王国の魔石の輸入を取り仕切っているハザルバート商会の嫡子であり私の親友のメリッサも居る。勿論、私の護衛には、私の親友のルイーズも居る。
「視察と言っても、友好の為の挨拶周りみたいなものだから、気楽に行ってらっしゃい」
とお義母様に言われた事もあり、久し振りの外交を兼ねた公務ではあったけど、あまり緊張し過ぎる事なくその日を迎える事ができた。
久し振りのゲルダン王国は、以前来た時よりも国中が活気に溢れていた。
我が国と貿易を行っている事で、国中に食物が行き渡り、お金も回るようになり、平民の貧富の差が少なくなっているとの事だった。
そうして、観光を兼ねた視察も残すところ1か所となった。最後に向かったのは───
「アラバスティア王国王太子様、王太子妃様、この様な辺境地迄来ていただき、ありがとうございます。」
リンディの旦那であるネルソンが治めている領にある鉱山だった。
ネルソンに案内されながら鉱山を見て回り、その最後に案内されたのは休憩室兼救護室だった。勿論、そこには
「王太子様、王太子妃様……お久し振りでございます。」
以前よりも柔らかい雰囲気のリンディが居た。
この日は、そのまま子爵邸に泊まる事になっていた為、リンディと一緒に邸に戻り、ゲルダン国王からの差し入れもあり、結構な豪華な食事が出された。それから、アシェルをはじめ男性陣はアルコールを飲み始め、私達女性陣はサロンへと移動した─と言っても、そこに移動したのは、私とリンディと──
「遅れてしまったわね」
と、転移魔法でやって来たジェマお姉様だけだった。
「可愛い…リンディにそっくりだから、エヴィにも似てるわね。名前は何て言うの?」
「エリーよ」
すやすやとベッドに眠っているのは、リンディの子で、エリー。
ジェマお姉様の子はレティシア。
我が子はクラウス。
レティシアもクラウスも連れて来る事はできなかったけど、これから先、いつか会えたらなぁ─と思う。
姉妹3人だけでお茶をする─なんて初めてじゃないだろうか?因みに、これは、アシェルの計らいだ。
『一度、姉妹3人でゆっくり話してみたら?ブランケットのお礼もしたいだろう?』
ーアシェルにはまた、お礼をしないとねー
「リンディ、ブランケットありがとう。あのブランケットのお陰で、クラウスも病気知らずで元気に育ってるの」
「私からも…リンディ、ありがとう。あのブランケット、レティのお気に入りで、ずっと使っているの。勿論、レティも病気知らずで元気に育てるわ」
「──なっ……私じゃ…」
「『私じゃない』なんて言わせないわよ?アラバスティアの優秀な魔道士が、ブランケットに掛けられた魔力はリンディのモノだって認めているんだから」
ー本当は闇の精霊だけどー
「なっ………バレないと思ったのに……私からだと分かったら、受け取ってくれないと思って……でも、使ってくれて嬉しいありがとう」
「「………」」
本当に、リンディは変わった。
こうやって、姉妹3人で穏やかに向き合う日が来るとは思わなかった。
「使わない訳ないでしょう?リンディは、私の妹なんだから」
「そうよ、リンディ。住んでいる国は違うけど、いつでも遊びに来てね?」
「………ありがとう……エヴィ、ジェマお姉様………」
3人でちょっぴり泣いた後、育児の話やお互いの子供自慢をした後………軽ーく旦那の愚痴をこぼし合った事は、3人だけの秘密だ。
一頻り語り合った後、ジェマお姉様はアシェルの計らいで極秘で来ていた為、また、極秘のうちに転移魔法でアラバスティアへと帰って行き、私は今夜泊まる部屋へと戻って来た。
「姉妹3人でのお茶は、楽しめたか?」
「アシェル!」
その部屋には、既に入浴も終えたアシェルが、ソファーに座ってお茶を飲んでいた。
「アシェル、本当にありがとう。」
アシェルにギュウッと抱きついてお礼を言う。
「こんな日が来るなんて思わなかった。本当に嬉しい。ありがとう、アシェル!アラバスティアに帰ったら、何かお礼を───」
と、アシェルの顔を見上げてハッとする。
ーヤバいー
アシェルが、久し振りに腹黒爽やか笑顔になっている。そろそろと、アシェルの胸に両手をついて距離をとろうとして───できなかった。
「何処に行くんだ?」
「えっと……お風呂?かな?」
「お風呂は、後で良いんじゃないか?」
ー“何の後ですか!?”とは訊いてはいけないー
「アシェル、ここは───」
「大丈夫だ。ネルソンに、このフロアから人払いをさせているから。」
“フロアから人払い”
ー準備が……完璧過ぎませんか?腹黒過ぎませんか?“いかにも”で、恥ずかし過ぎませんか?ー
『アシェル、分かっていると思うけれど、久し振りの2人きりだからと言って、羽目を外したりしないようになさい』
ーお義母様が言っていた事は……この事だったのかー
そう気付いたのは、アシェルに散々攻め立てられて意識を失う直前だった。
❋リクエストからの、姉妹再会編でした。ありがとうございました。他のリクエストも、可能な限り頑張ります。気長に待っていただけると幸いです❋
✧*。(๑•̀д•́๑)و✧*。
251
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(188件)
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
わたしを嫌う妹の企みで追放されそうになりました。だけど、保護してくれた公爵様から溺愛されて、すごく幸せです。
バナナマヨネーズ
恋愛
山田華火は、妹と共に異世界に召喚されたが、妹の浅はかな企みの所為で追放されそうになる。
そんな華火を救ったのは、若くしてシグルド公爵となったウェインだった。
ウェインに保護された華火だったが、この世界の言葉を一切理解できないでいた。
言葉が分からない華火と、華火に一目で心を奪われたウェインのじりじりするほどゆっくりと進む関係性に、二人の周囲の人間はやきもきするばかり。
この物語は、理不尽に異世界に召喚された少女とその少女を保護した青年の呆れるくらいゆっくりと進む恋の物語である。
3/4 タイトルを変更しました。
旧タイトル「どうして異世界に召喚されたのかがわかりません。だけど、わたしを保護してくれたイケメンが超過保護っぽいことはわかります。」
3/10 翻訳版を公開しました。本編では異世界語で進んでいた会話を日本語表記にしています。なお、翻訳箇所がない話数には、タイトルに 〃 をつけてますので、本編既読の場合は飛ばしてもらって大丈夫です
※小説家になろう様にも掲載しています。
愛し子は自由のために、愛され妹の嘘を放置する
紅子
恋愛
あなたは私の連理の枝。今世こそは比翼の鳥となりましょう。
私は、女神様のお願いで、愛し子として転生した。でも、そのことを誰にも告げる気はない。可愛らしくも美しい双子の妹の影で、いない子と扱われても特別な何かにはならない。私を愛してくれる人とこの世界でささやかな幸せを築ければそれで満足だ。
その希望を打ち砕くことが起こるとき、私は全力でそれに抗うだろう。
完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。
この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。
そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。
ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。
なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。
※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで
あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。
怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。
……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。
***
『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
二話 もちよんよ× もちろんよ⚪︎
好きな作品です
こりぞう様
誤字報告、ありがとうございます!
(。>д<。)
penpen様
ありがとうございます。
腹黒アシェルなので、エヴィが起きるのを待ってから、ちゃんと意識がある状態で一緒にお風呂へ─ですね。
フフ(´꒳`*)♡
小埜芭様
ありがとうございます。
リクエスト、ありがとうございました。
(* ᵕᴗᵕ)⁾⁾ ꕤ