今更ですか?結構です。

みん

文字の大きさ
14 / 55

エスタリオン=チェスター

しおりを挟む
グレイシー=オルコット
フェリシティ=エルダイン
エスタリオン=チェスター


この3人は母親同士が仲が良く、物心がつく前からの付き合い─幼馴染みである。この3人の中に、数年してから第一王子であるメルヴィルが加わったのだ。

このエスタリオンは、エルダイン辺境地の隣の領─隣国カルディーナ国の辺境伯の嫡男である。そして、そのチェスター辺境地もエルダイン辺境地と同じように観光地として栄えている。お互い同じような土地、気候なので、国は違うがお互い助け合いながら発展してきた。


まだ実の母が存命で、3人プラス第一王子の4人で遊び回っていた日々。それがある日、エスタリオンは隣国に帰ったと聞かされた。本当に急な帰国だった。その前日迄普通に遊んでいた。それに、それ迄だって隣国に帰る事はあったから、帰る前には必ず挨拶をして、4人でお別れ会のような小さな小さなお茶会?お菓子大会?のような事をしていたのに、あの時だけは、挨拶もなく帰ってしまったのだ。

それから手紙を出しても、返事は来なかった。グレイシーも、手紙を出しても返事は来ないと言っていた。何度出しても返事が来ないから、そのうち手紙を出すのも、エスタリオンの話をする事もなくなり…。母が儚くなってからは、正直……エスタリオンの事は忘れてしまっていた。
いや─母の思い出と共に、封印?していたようなものだったのかもしれない。幸せだった頃の思い出だから──。


それが、何故、今頃?また会えて嬉しいのか…腹立たしいのか……。



「私もグレイシーも、手紙を出したのよ。」

「うん。」

「返事は来なかったわ。」

「──ごめん。」

「──言えない…事なの?」

「──本当に、ごめん。」

「─────っ」

私よりも長身の男前が、シュンと項垂れていて……可愛くないこともない。

ー頭に垂れ下がった耳が見えるのは…気のせいだよね?ー

お互い、辺境伯で貴族だ。言えない事や知らない事もあるだろう。エスタリオンだって、言いたいけど言えないのかもしれない。今、目の前に居るエスタリオンは、後悔しているような顔をしている。
だからと言って、「仕方無いわね!許すわ!」なんて、女神様のような事は言わないけどね!?

「仕方無い事もないけど…エスタリオン、は、私とグレイシーへのにしておくわね。」

ニッコリ笑って告げると、エスタリオンはキョトンとした後「あぁ、分かった。」と言って微笑んだ。





******

その日、いつもよりも早く領地視察から帰って来た父に、兄と共にまた呼び出されて執務室へと行くと、そこには既にエスタリオンも座って待っていた。その為、私と兄は、エスタリオンの座っている椅子の、テーブルを挟んだ反対側の椅子に並んで座った。

「もう聞いていると思うが、エスタリオン殿も新学期からお前達と同じ学園に通う事になった。学園の寮に入る予定だったが、手続きが間に合わないと言う事で、1週間だけエルダイン邸ウチに泊まる事になった。フェリシティと同じ学年だから、学園ではお前が案内をしなさい。その場合は、念の為2人きりにはならない事。まぁ…オルコットの娘が一緒に居れば問題は無いだろう。」

「父上、この事は殿下はご存知なのですか?」

「基本、留学生はお互いの国の王の許可が必要となるからな。エスタリオン殿の事も国王様はご存知だ。だから、エスタリオン殿とフェリシティが一緒に居ても、醜聞にはならんだろう。」

ー“醜聞”ねぇ…何なら、第一王子と私の不仲って言う醜聞はあるんじゃないの?ー

とは、口に出して言わないけど、父と言い兄と言い…本当に私本人の意思は無視して話を進めるのね。まぁ…相手がエスタリオンだから…良いのかな?

「──フェリシティ、少し…迷惑を掛けてしまうかもしれないけど、宜しく頼むよ。」

向かい側に座っているエスタリオンが、少し困ったように呟く。その、少し困ったように笑う顔も、幼い頃のままだなぁ─と、微笑ましくなる。

「ふふっ。何を言っているの?幼馴染みじゃないの。迷惑ではないわ。何か困った事があったら、いつでも頼ってちょうだい。グレイシーもいるしね。」

「ありがとう、フェリシティ。学園に行って、グレイシーに会うのも楽しみだ。」

お互い、素直に笑い合う。

ーこうやって、素直に笑ったのは…いつぶりだろうか?ー

王都の本邸で1週間。義母妹がどんな態度に出るかは少し──かなり心配だけど…。きっと、父は義母妹と使用人達の行いを知らないからこそ、エスタリオンを受け入れたんだろう。
義母は、脳内お花畑ではないから、エスタリオンには完璧に対応する筈。問題は…あの妹か…。あの子には…特に注意をはらうしかないよね…。

ー何事も起こらず、1週間を過ごせれば良いけどー

と、父と兄とエスタリオンが話し合っている横で、私は妹の事を考えていた。


しおりを挟む
感想 373

あなたにおすすめの小説

はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」 「……あぁ、君がアグリア、か」 「それで……、離縁はいつになさいます?」  領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。  両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。  帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。  形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。 ★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます! ※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。

【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った

冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。 「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。 ※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。

【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~

猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」 王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。 王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。 しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。 迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。 かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。 故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり── “冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。 皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。 冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」 一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。 追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、 ようやく正当に愛され、報われる物語。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

どうして私にこだわるんですか!?

風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。 それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから! 婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。 え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!? おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。 ※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。

やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。 落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。 毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。 様子がおかしい青年に気づく。 ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。 ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 最終話まで予約投稿済です。 次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。 ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。 楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

処理中です...