今更ですか?結構です。

みん

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穏やかな日々は何処へ?



「本当に、辺り一面真っ白なんだね。」

「寒さは大丈夫ですか?」

「シリル殿に言われて、防寒対策はしっかりして来たからね。」


翌朝。

昨日から降り出した雪が、朝には止んでいたが、雪はしっかりと積もっていた。

「これ位の積雪なら、街の店も開いていると思いますけど、どうされますか?」

「雪の中を歩いてみたいから、案内を頼んでも良いかな?」

「分かりました。それでは、お昼を──」
「そうだね、お昼を食べがてらに出掛けよう。」
「…………ワカリマシタ。」

カレイラ様は、またまた被せ気味に答えた。

ー“お昼を”って、言おうとしたんですけどね!?ー

本当に、カレイラ様は一体何を考えてるのか…。相変わらず、笑顔は胡散臭いし…。

「その案内に、私も付いて行きますからね。」

ーはい?何故…兄が?ー

「フェリシティは、第一王子の婚約者候補の1人ですからね。例え、侍女のココも連れて行くとしても、やっぱりディラン様とフェリシティだけで行かせて、変な噂でも流れると困りますからね。」

いつもは無表情な兄が、気のせいかな?位に少しだけ困ったような顔をしている。
それもそうか。第一王子の婚約者候補の私と、第一王子の側近候補の醜聞なんて、我が家の恥にしかならないからね。
それに、私もカレイラ様と2人で─なんて…まっぴらごめんだし。

「それは勿論構わないよ。本当に、シリル殿は妹思いだね。」

と、ニッコリ笑うカレイラ様と、それを無表情で受け止める兄。

ー勘弁して欲しいー

私の心穏やかに過ごせる筈だった、領地での冬休みは……何処にいってしまったんだろうか……。






「はぁ───。雪景色と言うのは、本当に綺麗だけど、手足が冷たくなるのは辛いね。でも、このグラタンを食べると体が温まったよ。それに、すごく美味しかった。流石は、エルダイン嬢のお勧めだね。」

「気に入っていただけて良かったです。寒さに慣れていないと、体にも負担が掛かりますから、この後は観光しながら滞在先のホテル迄お送りしますね。」

「もう少し街を歩きたい気持ちもあるが、確かに寒さには勝てないからね。残念だけど、その通りにするよ。」

カレイラ様は、本当に残念だ─みたいな顔をしている。

ーうーん…カレイラ様は、今回は本当に観光だけをしに来たのかなぁ?ー

第一王子の側近で公爵家の嫡男が、こんな辺境地迄来るなんて─てっきり第一王子に何か言われたのか?とも思っていたけど…勘違いだった?かと言って、丸っと信じる事はできないけど。

「あ、それじゃあ、明日はお礼として、泊まっている部屋にお茶でもしに来てくれるかな?勿論、シリルと一緒にね。」

ー何でそうなるかなぁ!?放っといてもらえませんか!?ー

なんて叫びたくなるのをグッと我慢して、チラリと兄に視線を向ける。

「──お礼なんて要りませんけど、ディラン様に誘われて…断れる訳がないですよね?」

ーですよね!?分かってましたよ!ー

「ははっ。シリル殿は意外とハッキリ物を言う人だったんだね。私の気持ちだから、何も気にせず来てくれ。明日の昼前に、迎えの馬車を寄こすよ。」

ーはぁ──本当に…勘弁して欲しいー






そんな感じで、カレイラ様の観光案内とお礼のお誘いとを繰り返し、私に穏やかな時間が訪れる事は…なかった。しかも、兄も嫌な顔をする事なく一緒に行動していた。
まぁ、兄に関しては、エルダイン辺境伯のデメリットにならないように─と言う事があるんだろうけど。

「後3日しかないなんて…。」

学園の新学期が始まる迄、後1週間となった昨日。カレイラ様は一足先に王都へと帰って行った。
私は、3日後に王都へと向かう予定である。そう。穏やかに過ごせるのが……3日だけなのだ。

「本当に…どんな嫌がらせなの!?」

「嫌がらせ?」

「ひやぁっ!?」

誰も居ないと思って声に出して愚痴れば、急に声を掛けられて思わず変な声が出てしまった。

「なっ!だ…誰────って………」

ピシリッ─と、体が固まる。

「───へ?」

「“─へ?”って……くくっ……」

今、私の目の前には、銀色の短髪の髪に、透き通るような赤色の瞳をした長身の男性が、笑いを耐えるようにして立っている。

「何で───。」

「うん?あれ?フェリシティの父上─エルダイン辺境伯から、何も聞いていない?」

目の前に居る彼は、コテンと首を傾げる。

「聞いてない?って………何…を?」

「俺、新学期から、フェリシティ達と同じ学園に通う事になったんだ。留学生としてね。」

と、目の前の彼は、と同じように笑っている。
その変わらない笑顔にホッとする。

「何も…聞いていなかったわ。」

「──そっか。」

と、彼は少し困ったような顔をしたが、それ以上は何も言わなかった。


「──それで?私に何か言う事はないの?」

今度は私が彼を問い詰める。

「えー?何かあったかなぁ?」

「有りよ!大有りだからね!どうして─突然何も言わずに、私達の前から居なくなったの?」

今、私の目の前に居る男性は、私の幼馴染みでもある

“エスタリオン=チェスター”だった。

















❋お気に入り登録、ありがとうございます。昨日から急に増えまして、何が起こったか全く分からずドキドキしていましたが、仕事上がりにホットランキングに自分の名前があって、ビックリしました。三度見しました(笑)。
Σ(๑0ω0๑)
チキンハートなので、手は震えたままですが…。
:(´◦ω◦`):
それでも、本当に嬉しいです。読んでいただき、ありがとうございます。❋
*.+゚★☆感d(≧▽≦)b謝☆★゚+.*



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