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みん

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新学期

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「また来たの?」

「仕方ないだろう?ここに居れば、アナベル嬢に付き纏われる事がないから。」

そう言われると、私はそれ以上何も言えなくなる。

そう。リオは、妹の付き纏い対策として、兄に相談するのではなく、邸の端っこにある私の部屋に避難して来ているのだ。

ー確かに、ここには妹どころか、ココ以外の使用人も近付かないけどねー

それでも、婚約者でもない男女が部屋に2人きりと言うのは良くない為、リオが部屋に居る時は、必ずココも一緒に居てもらっている。

「それにしても、よくバレないわね?」

ーあの妹なら、何が何でもリオを捕まえようとすると思ったけどー

「カーソンに協力してもらってるんだ。流石はカーソンだな。アナベル嬢の動きを把握してるから、本当に上手い具合に避けて動けるんだ。」

チェスターウチから、カーソンに別途お手当を出さないとな”と、リオは愉快そうに笑った。




リオとの時間は、穏やかなものだった。特に何かをする事もなく、お互いがしたい事をして過ごすだけ。話さなくても、その沈黙が苦痛ではなくて──

ー第一王子とのお茶会の時の沈黙は、苦痛でしかないけどー

「フェリ、何してるの?」

「明日の学園の準備よ。リオは、もう終わったの?」

「終わってる。明日から、学園でもよろしくな。」

と、リオはニッコリと笑った。







******

新学期初日─

リオが初登園と言う事もあり、いつもより早目に学園へとやって来た。

「先ずは事務室に行った方が良いのかしら?それとも、職員室?」

「事務室と言われている。」

「それじゃあ、事務室に案内するわね。」

私はリオを事務室迄案内した後、先生にリオを任せて教室に向かった。





「フェリシティ、おはよう。」

「グレイシー、おはよう。」

グレイシーとは、休みの間は会っていなかったから、本当に久し振りだ。そんな訳で、2人で色々と話をしていると─

「グレイシー、フェリシティ嬢、おはよう。」

「エルド、おはよう。」
「おはようございます。」

「あー!やっと、また毎日グレイシーに会える!」

エルド様は私をスルーして、グレイシーの前まで行き、グレイシーの右手を取って軽くキスを落とす。

「「きゃーっ!」」

「──なっ!ちょっ─エルド!?」

教室に居る令嬢達が黄色い声をあげ、令息達は“やれやれ”と言った顔で見ている。
勿論、グレイシーの顔は真っ赤だ。相変わらず仲の良い2人で何よりだ。


「殿下、ディラン様、おはようございます。」

「あぁ、おはよう。」
「おはよう。」

グレイシーとエルド様を、ほのぼのとした気持ちで見ていると、私の背後で、誰かが第一王子とカレイラ様に挨拶をしている声が聞こえた。

ーうん。私はこのまま振り返らず、グレイシーとエルド様を見ておこうー

なんて事しても、放っておかれる筈もなく──

おはよう。」

ー名指しする意味ありますか!?ー

フッと軽く息を吐いた後、ゆっくりと振り返り

「カレイラ様、おはようございます。」

振り返った先には、カレイラ様だけで、第一王子は既に席に座っていた。カレイラ様も、第一王子と一緒に席に座れば良かったのに─。

「エルダイン領では、なったね。ありがとう。」

「──我が領の、ありがとうございました。」

紛らわしい言い方は止めて欲しい。カレイラ様の言い方では、“プライベートで会ってお世話になった”みたいに捉えられてしまう。だから、私も敢えて“観光”と強調して言い返す。

「ふっ──エルダイン嬢は…本当に面白いよね。」

「おい、ディラン。それはフェリシティ嬢に失礼だぞ。それに、言い方には気を付けろ。」

ニヤリと笑うカレイラ様に、珍しく?エルド様が私を気遣うようにカレイラ様に注意をした。そこでタイミングよくチャイムが鳴り担任の先生がやって来た為、各々自分の席に着いた。

ー本当に、カレイラ様は何がしたいの?気を付けないとねー






「おはようございます。今日からこのクラスに、カルディーナ国からの留学生が入る事になりました。」

先生の説明の後、リオが入室して来た。

「カルディーナから来ました。エスタリオン=チェスターです。宜しくお願いします。」

「チェスターと言えば、エルダインさんとは隣接する領だったわね。良かったわ。エルダインさん、チェスターさんに色々教えてあげてくれるかしら?」

「──はい、分かりました。」

、絶対打ち合わせしてたよね?ー

「エルダインさん、ありがとう。それじゃあ、チェスターさんは…エルダインさんの横の席に座ってくれる?」

「はい。」

そのままリオがやって来て私の横の席に座る。

チラリと視線を向けると

「よろしく。」

と、ニッコリ微笑むリオ。この微笑みを知っている。“思い通り”に行った時─“悪戯が成功した”時の微笑みだ。

「ちょっと!フェリシティ!エスタリオン!後でゆっくり話を聞かせてもらうからね!」

と、反対側の私の横に座っているグレイシーに小声で怒られた。


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