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しおりを挟む「全部は話せないけど…俺の話を聞いてくれる?」
リオは私の手を取って、その私の指先に口付けた。
「──なっ!!!」
「さぁ、このままフェリの部屋に行くぞ。」
「えっ!?あのっ…ちょっ───!」
慌てまくっている私とは違い、リオは楽しそうに笑って、私の手を握ったまま歩き出した。
「お嬢様、お疲れ様でした。」
部屋に戻ると、ココが既にお茶の用意をして待っていた。
「──そう言えば、さっきのやり取りの時、ココは居なかったわね……。」
「すみません。その──。」
と、ココが申し訳無さそうに謝り、その視線をリオに向ける。
「俺が、先に部屋に戻ってお茶の用意をしてくれ─と頼んだんだよ。あの場に居たら、ココはキレると思ったから。」
確かに、あの場に居たら、ココはキレていただろうけど…
「リオが忘れ物をした─と言うのは建前で、私をここから出す事が目的だったって事?」
「取り敢えず、話は少し長くなるから座ろうか。」
リオに促されて、テーブルを挟んで向かい合うように座った。そして、ココも窓際に椅子を置き、そこに座ってもらった。
「最初に一つだけ確認しておきたい事がある。」
「何?」
「フェリは、メルヴィルの婚約者になりたいのか?正直に答えて欲しい。」
「正直も何も、前にも言った通り、私は殿下の婚約者になりたいだなんて思ってないわ。信頼関係すら築けないのに…どうしろと?それを、今日、今さっきも思い知らされた感じよ。本当に、さっさとティアリーナ様を選べば良いのに─と思ってるわよ。」
「それは分かってる。それでも、もし、メルヴィルがフェリを選んだら?グレイシー達に聞いたけど、候補者達本人でさえ、婚約者決定の当日迄誰になるのか分からないんだろう?」
「───それは……何と言うか……大丈夫かなーなんて思ってる。」
ーいや、今日の第一王子の態度を見て、改めて絶対大丈夫だと思ったけどー
「それ…ひょっとして…メルヴィルは知らない─気付いていないって事だよな?」
「ん?あ、リオは気付いてた?」
「当たり前だろう。それに、グレイシーも気付いてた。フェリも…たいがい面白い事を考えるよな…くくっ──」
「これで殿下がやらかしても、私は悪くないわよ?全ての責任はメルヴィルにあるのだから。情報収集一つ、まともにできない─と言う事をアピールするだけよ。きっと、情報を把握している王妃様も…口は出さないと思うわ。」
「だろうね。逆に、王妃陛下はフェリとメルヴィルを婚姻させようとは…思っていないと思う。フェリは優秀過ぎるからね。腹黒が丁度良いと思ってるんじゃないかな?」
「───ハラグロ?」
ーん?そんな名前の人、いなかったよね?って…あぁ!ー
「“腹が黒い”の腹黒ね!って、誰が??」
「誰がって─ティアリーナ=グレイソン嬢の事だよ。」
「ティアリーナ様が!?」
「え?何?そこ、驚くところか?え?フェリ…も、分かってただろう!?」
“お前、何言ってるの?”みたいな顔で、私を凝視しているリオ。
いや、腹黒とは、リオやカレイラ様の方が─とは口に出さないけど。
「いや─ティアリーナ様は…単純に殿下の事が好き─って事もあるから、丁度良いと思うわ。」
「え?」
「ん?リオは、ティアリーナ様が執着?してるのは、将来の“王太子妃”だと思ってた?」
「────違うのか?」
今度は、間の抜けた顔をするリオ。
「ティアリーナ様は、第一王子ではなくて、メルヴィルが好きなのよ。だから、私の事が余計に気に喰わないのよ。」
ティアリーナ様は私とは反対に、第一王子の事を“メルヴィル様”と呼ぶ。その時の目が、いつもとても優しいのだ。
私を見る時の目なんて、本当に冷たいけど─私は、そんな事は全く気にしない。寧ろ、清々しくて好感さえ抱いている。私が第一王子と2人きりになる事を阻止してくれるし…。ある意味、有り難い存在である。
「それじゃあ、フェリは気付いていたのか?ティアリーナ嬢が…色々と拗らせているって。」
「何となく…だけどね?でも、それを鵜呑みにしたのは殿下よ。切っ掛けがティアリーナ様だったとしても、何もしなかったのは殿下なのよ。恋愛云々の前に、私達の間にあった信頼関係を壊したのは…殿下よ。だから、私は絶対に、婚約者なんかにはならないわ。」
これからの1年程で、第一王子が変わる─なんて思えない。変わったところで───とも思う。
「分かった。これで、安心して話ができる。」
リオは肩の力が抜けたようにホッと緩めた後、リオはゆっくりと話し出した。
「───フェリ、俺がこの国に来たのは…フェリに会いたかったから──なんだ。」
「────────はい?」
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