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第一章ー最初の1年ー
ゲームと違う流れ
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*本日2本目の投稿です。宜しくお願いします*
夜会迄、後一週間。まだ、どうするか決めかねている。
そして、今日も図書館に来ている。旅に出る迄後二週間。お姉さん達は聖女として完璧レベルになった。私も魔法の扱いはバッチリだし、ポーションの準備も完璧だ(お姉さん達以外には秘密だけど)。なので、最近は、魔獣や魔物について調べたりしている。
「んー…あれ、届くかなぁ?」
読みたい本が、微妙な高さの位置にある。近くに人も梯子も無い…
ー魔法、こっそり使っちゃう?ー
なんて、考えていたら
「これを…取りたいのか?」
と言って、私の後ろからスッと手が伸びてきて、私が取ろうとした本を取ってくれた。
「え!?」
ビックリして、その本を見た後、後ろを振り返ると…カルザイン様が居た。
ー何で…ここにこの人が!?ー
本を取ってくれたのは…分かる。取ってくれたんだから、お礼を言わないといけないのも分かる…分かる…けど…あの時、私に向けられた呆れと苛立ちを思い出して、体が強ばる。
「この本ではなかった?」
と言いながら、私の方へ近付いてこようとした時、ビクッと私の体が震えた。
「ーっ…」
それに気付いたんだろう、カルザイン様もそれ以上は近付いて来なかった。そして、そのままその本を机の上に置いた。
「そのままでいいから、聞いてもらえるだろうか?」
うまく声が出せなくて、目を合わせないままコクコクと頷く。
「あの時は…すまなかった。サエラ殿の言う通り、私は目の前のものを、ちゃんと見れていなかった。」
「……」
ふっ…と、カルザイン様が軽く溜め息を吐く。
机に置いた本をそっとなぞって
「この本で良かった?」
コクリと頷く。
「…では…これで失礼する。」
「……」
結局、私は本を取ってもらったお礼すら口に出せず、目も合わす事もできないまま、カルザイン様は図書館から出て行ってしまった。
椅子に座って、取ってもらった本を手に取る。
ーはぁー…私も、このままじゃ…駄目だよねー
あの時のカルザイン様は…本当に一方的で怖かったけど、あれ以降は…何かと助けてくれたりしたし…。カルザイン様だけじゃなくて、男の人ともちゃんと向かい合っていかなきゃ…だよね?きっと、旅に出るのだって、殆どが男の人…騎士だろうし…嫌とか怖いとか言ってられないよね?お姉さん達の足手まといになんてなりたくないし…。うん。私も…前を向いて進もう。幸い?この世界に私を苛めた人は居ないし!うん!頑張ろう!
「カルザイン様が旅に同行するって、どう言う事なのっ!?」
またまた、日本語で叫びながらミヤさんが私の部屋に入って来た。
「カルザイン様が同行?」
「ちょっと…ゲームの内容と違う流れになったのよ…」
と、ショウさんが溜め息を吐きながら入ってきた。
何でも、今日、急遽旅の同行メンバーに変更があると言われたそうだが、それがなんと、エディオル=カルザイン様とクレイル=ダルシニアン様の追加だったらしい。
「クレイル=ダルシニアン様って…誰でしたっけ?」
そんな名前の人、聞いた事ないよね?
「あぁ、この前攻略ルートを潰した魔導師の事よ。ほら、あの禁忌に近い術を行使しようとした魔導師の息子なの。」
「えっ!?」
「あ、でも大丈夫よ。あの親の方はちょっと嫌な奴だったけど、息子のクレイル様はマトモだし良い子よ?でもねー…」
「2人ともランバルト王太子の側近なんだよね。特にカルザイン様は専属近衛なのよ。王太子が旅に同行する訳じゃないのに、何でカルザイン様が王太子から離れて旅に同行するのか…意味分かんない!」
「このパターン、ゲームに無かったよね?」
お姉さん達は「うーん…」と唸っている。
「やっぱり、この世界はゲームの世界であって、そうじゃないのね。1人1人が意思を持って動いてるって事なんだね…。」
「そうだね…ゲーム通りに決めつけて進めるのは…駄目だって事だね。でも、私達は、絶対日本に還るって事だけは変わらない。」
ゲーム通りではないのは…私もそうだろう。本当はお姉さん達3人だけだったんだから…。そうなると…私が夜会や旅に一緒に行く事も、これから先の事に影響を与えるのかもしれない…。
「私が…一緒に旅に出ても…大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫も何も、ハルはハルのしたい様にすれば良いのよ?私達もハルも、意思を持った一人の人間なんだから。もしもよ?ハルがこの世界に残りたいって言ったら…私は止めないし、その意見を尊重するわよ?」
「…この世界に残りたいとは思わないけど…ミヤさん、ありがとうございます。」
「とにかく、これからどうなるか分からなくなって来たけど、最終目的は変わらない。浄化を完璧にやって、1日でも早く日本に還ろうね。」
こうして、お姉さん達は自分の部屋に戻って行った。
ミヤさんには、私のしたい様にと言ってくれたけど…やっぱり、ちょっと自分の存在がどう影響しているのか…。
ーうん。やっぱり、今度の夜会も出るのは止めておこうー
もともと、居る筈の無い存在だし。出なくても…誰にも迷惑を掛けないしね。
ー明日、サエラさんに言って、ベラトリス様に伝えてもらおうー
そう思いながら、ベッドに潜り込んだ。
夜会迄、後一週間。まだ、どうするか決めかねている。
そして、今日も図書館に来ている。旅に出る迄後二週間。お姉さん達は聖女として完璧レベルになった。私も魔法の扱いはバッチリだし、ポーションの準備も完璧だ(お姉さん達以外には秘密だけど)。なので、最近は、魔獣や魔物について調べたりしている。
「んー…あれ、届くかなぁ?」
読みたい本が、微妙な高さの位置にある。近くに人も梯子も無い…
ー魔法、こっそり使っちゃう?ー
なんて、考えていたら
「これを…取りたいのか?」
と言って、私の後ろからスッと手が伸びてきて、私が取ろうとした本を取ってくれた。
「え!?」
ビックリして、その本を見た後、後ろを振り返ると…カルザイン様が居た。
ー何で…ここにこの人が!?ー
本を取ってくれたのは…分かる。取ってくれたんだから、お礼を言わないといけないのも分かる…分かる…けど…あの時、私に向けられた呆れと苛立ちを思い出して、体が強ばる。
「この本ではなかった?」
と言いながら、私の方へ近付いてこようとした時、ビクッと私の体が震えた。
「ーっ…」
それに気付いたんだろう、カルザイン様もそれ以上は近付いて来なかった。そして、そのままその本を机の上に置いた。
「そのままでいいから、聞いてもらえるだろうか?」
うまく声が出せなくて、目を合わせないままコクコクと頷く。
「あの時は…すまなかった。サエラ殿の言う通り、私は目の前のものを、ちゃんと見れていなかった。」
「……」
ふっ…と、カルザイン様が軽く溜め息を吐く。
机に置いた本をそっとなぞって
「この本で良かった?」
コクリと頷く。
「…では…これで失礼する。」
「……」
結局、私は本を取ってもらったお礼すら口に出せず、目も合わす事もできないまま、カルザイン様は図書館から出て行ってしまった。
椅子に座って、取ってもらった本を手に取る。
ーはぁー…私も、このままじゃ…駄目だよねー
あの時のカルザイン様は…本当に一方的で怖かったけど、あれ以降は…何かと助けてくれたりしたし…。カルザイン様だけじゃなくて、男の人ともちゃんと向かい合っていかなきゃ…だよね?きっと、旅に出るのだって、殆どが男の人…騎士だろうし…嫌とか怖いとか言ってられないよね?お姉さん達の足手まといになんてなりたくないし…。うん。私も…前を向いて進もう。幸い?この世界に私を苛めた人は居ないし!うん!頑張ろう!
「カルザイン様が旅に同行するって、どう言う事なのっ!?」
またまた、日本語で叫びながらミヤさんが私の部屋に入って来た。
「カルザイン様が同行?」
「ちょっと…ゲームの内容と違う流れになったのよ…」
と、ショウさんが溜め息を吐きながら入ってきた。
何でも、今日、急遽旅の同行メンバーに変更があると言われたそうだが、それがなんと、エディオル=カルザイン様とクレイル=ダルシニアン様の追加だったらしい。
「クレイル=ダルシニアン様って…誰でしたっけ?」
そんな名前の人、聞いた事ないよね?
「あぁ、この前攻略ルートを潰した魔導師の事よ。ほら、あの禁忌に近い術を行使しようとした魔導師の息子なの。」
「えっ!?」
「あ、でも大丈夫よ。あの親の方はちょっと嫌な奴だったけど、息子のクレイル様はマトモだし良い子よ?でもねー…」
「2人ともランバルト王太子の側近なんだよね。特にカルザイン様は専属近衛なのよ。王太子が旅に同行する訳じゃないのに、何でカルザイン様が王太子から離れて旅に同行するのか…意味分かんない!」
「このパターン、ゲームに無かったよね?」
お姉さん達は「うーん…」と唸っている。
「やっぱり、この世界はゲームの世界であって、そうじゃないのね。1人1人が意思を持って動いてるって事なんだね…。」
「そうだね…ゲーム通りに決めつけて進めるのは…駄目だって事だね。でも、私達は、絶対日本に還るって事だけは変わらない。」
ゲーム通りではないのは…私もそうだろう。本当はお姉さん達3人だけだったんだから…。そうなると…私が夜会や旅に一緒に行く事も、これから先の事に影響を与えるのかもしれない…。
「私が…一緒に旅に出ても…大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫も何も、ハルはハルのしたい様にすれば良いのよ?私達もハルも、意思を持った一人の人間なんだから。もしもよ?ハルがこの世界に残りたいって言ったら…私は止めないし、その意見を尊重するわよ?」
「…この世界に残りたいとは思わないけど…ミヤさん、ありがとうございます。」
「とにかく、これからどうなるか分からなくなって来たけど、最終目的は変わらない。浄化を完璧にやって、1日でも早く日本に還ろうね。」
こうして、お姉さん達は自分の部屋に戻って行った。
ミヤさんには、私のしたい様にと言ってくれたけど…やっぱり、ちょっと自分の存在がどう影響しているのか…。
ーうん。やっぱり、今度の夜会も出るのは止めておこうー
もともと、居る筈の無い存在だし。出なくても…誰にも迷惑を掛けないしね。
ー明日、サエラさんに言って、ベラトリス様に伝えてもらおうー
そう思いながら、ベッドに潜り込んだ。
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