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第二章ー浄化の旅と帰還ー
騎士様
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ー旅に出てから1年ー
本当に、王都から離れれば離れる程、穢れのポイントが増えていく。
それでも、今回の召喚された3人の聖女は、歴代トップレベルと言われるだけあって、穢れは勿論のこと、弱い…レベルの低い魔獣なんかも聖女の力で薙ぎ払ってしまう程だった。そんな聖女が3人も居るのだ。
「騎士…の出番はいつになるんだろうか?」
「聖女様3人とも美人で強いって…まぁ、危険な事が減る事は良い事なんどけど…何と言うか…」
「何と言うか…うん。ぶっちゃけるけど、恋に落ちる要素が無くないか!?」
旅に同行する騎士達は、ある程度のレベルや階級以上の者と決まっていて、その基準を超えている者達から希望者を募り、その中から騎士団の団長や王様が選抜をしていた。故に、50人程だが精鋭部隊である為、レベルの高い魔獣が現れたとしても、何の問題もなく討伐できる程である。
そんな精鋭部隊の騎士達。勿論、下心が全く無いとは言えなかった。騎士達の訓練場では、聖女も訓練をしていた為、遠目ではあるが、聖女の容姿は知っていた。夜会で着飾った聖女はとても美しかった。ならばー旅に同行して、聖女を護る騎士。ひょっとしたら、恋が芽生えるかも?と、淡い気持ちを抱き希望を出した騎士も、少なからず居たのだが…。
魔獣が現れても、聖女自身が薙ぎ払ってしまう為、騎士の見せ所な機会は皆無だった。
「そりゃあ、もっとレベルの高い魔獣が出て来たら、流石に俺達の出番があるだろうけど、その時にはもう恋だの何だの言えないだろうし…。」
「「「「「はぁーーーー」」」」」
5人の騎士達が一斉に溜め息を吐いた。
「お疲れ…ですか?」
「「「「「え?」」」」」
5人の騎士達様が一斉に振り返ったから、私は思わずビクッとなってしまった。
「えっと…あの…溜め息が聞こえて…その…後ろ姿が疲れている様に見えたので…。違ってたらごめんなさい!」
ペコリと頭を下げる。
「あぁ、薬師殿か。いや、大丈夫。疲れてはいないから。疲れてるのは…心だからねー」
何て、イマイチ意味が分からない事を言いながら、その騎士様達は遠い目をしていた。
「えっと??心??ん?」
と、首を傾げて考えてみるけど、やっぱり意味がよく分からない。
「心に効くポーションは…無いので…えっと…クッキー食べますか?料理で余った材料で、作ったんですけど…。良かったらどうぞ?」
取り敢えず、困った感情を隠すために笑いながらクッキーを差し出す。
「…くっ…ありがとう…」
1人の騎士様が、片手で口を抑えたまま礼を言い、私からクッキーを受け取ってくれた。そして、またペコリと頭を下げて、私は騎士様の横を通り抜けた。
「“キュン”と来た!」
「分かる!恋じゃないけど…“キュン“は分かる!」
「あの薬師殿、眼鏡掛けてるし、前髪長目だから、あまりちゃんと顔を見た事なかったけど、可愛らしい子だったんだね。」
「あの子だろ?前に噂になった、我が儘放題の召喚に巻き込まれた子って。」
「あの薬師殿の事だったのか!?」
「あの後、その子の周りの何人かが仕事をクビになって、王太子殿下がその噂を否定したけど、未だにまだその噂を信じる奴も居るだろう?でも、本人を実際目の当たりにすると、あの噂が嘘だったって分かるね。」
「確かに。アレは、絶対悪い事が出来ないタイプだな。さっきの困った様なはにかんだ笑顔は…可愛かった…」
「“癒し”を見付けた気がする…」
「「「「…分かるわー!」」」」
「はいはい、お前達、声が大きいよ?」
「ダルシニアン様!」
そこには、ダルシニアンとカルザインが立っていた。ダルシニアンとカルザインは、出立直前に同行メンバーに加わったが、2人ともこの旅の同行メンバーの中では階級が上なので、実質この旅のリーダーの立場にあった。
「これからどんどん穢れが増えて、魔獣も増えて来るだろうから、“心が疲れた”何て言わずに頑張ってもらうからね?」
と、ダルシニアンは満面の笑みを向ける。
ーひぃぃぃっー
ご令嬢達が目にすれば、あまりにも綺麗過ぎて倒れる者も居るかもしれないが、騎士や魔導師からすると、その笑顔は恐怖でしかなかった。ダルシニアンのその笑顔は、静かにキレている時の笑顔だからだ。
「し…失礼しました!」
と言って、5人の騎士達は足早に去って行った。
「ま、聖女様達が逞しいから…分からなくもないけどね…。って、エディオル、君、いい加減その殺気収めてくれる?」
「殺気なんて飛ばしてない」
「はぁー…お前も大概拗らせてるよね。でも、そんなままだと…誤解されたままだよ?良いの?」
「…良いも何も…」
カルザインは小さく囁き、グッと手を握り締める。
ダルシニアンは、その様子をチラリと横目で見遣る。
「本当に、お前は難儀な奴だよね…ふっ…。殿下と言い、お前と言い、何で皆気付かないのかが不思議だよ。」
「…何を言ってるか分からないが…周りの反応の方が正しいんだろう?」
「今は、そう言う事にしておいてあげるよ。」
と、ダルシニアンは苦笑しながら言った。
*今日中に、もう1話投稿予定です*
本当に、王都から離れれば離れる程、穢れのポイントが増えていく。
それでも、今回の召喚された3人の聖女は、歴代トップレベルと言われるだけあって、穢れは勿論のこと、弱い…レベルの低い魔獣なんかも聖女の力で薙ぎ払ってしまう程だった。そんな聖女が3人も居るのだ。
「騎士…の出番はいつになるんだろうか?」
「聖女様3人とも美人で強いって…まぁ、危険な事が減る事は良い事なんどけど…何と言うか…」
「何と言うか…うん。ぶっちゃけるけど、恋に落ちる要素が無くないか!?」
旅に同行する騎士達は、ある程度のレベルや階級以上の者と決まっていて、その基準を超えている者達から希望者を募り、その中から騎士団の団長や王様が選抜をしていた。故に、50人程だが精鋭部隊である為、レベルの高い魔獣が現れたとしても、何の問題もなく討伐できる程である。
そんな精鋭部隊の騎士達。勿論、下心が全く無いとは言えなかった。騎士達の訓練場では、聖女も訓練をしていた為、遠目ではあるが、聖女の容姿は知っていた。夜会で着飾った聖女はとても美しかった。ならばー旅に同行して、聖女を護る騎士。ひょっとしたら、恋が芽生えるかも?と、淡い気持ちを抱き希望を出した騎士も、少なからず居たのだが…。
魔獣が現れても、聖女自身が薙ぎ払ってしまう為、騎士の見せ所な機会は皆無だった。
「そりゃあ、もっとレベルの高い魔獣が出て来たら、流石に俺達の出番があるだろうけど、その時にはもう恋だの何だの言えないだろうし…。」
「「「「「はぁーーーー」」」」」
5人の騎士達が一斉に溜め息を吐いた。
「お疲れ…ですか?」
「「「「「え?」」」」」
5人の騎士達様が一斉に振り返ったから、私は思わずビクッとなってしまった。
「えっと…あの…溜め息が聞こえて…その…後ろ姿が疲れている様に見えたので…。違ってたらごめんなさい!」
ペコリと頭を下げる。
「あぁ、薬師殿か。いや、大丈夫。疲れてはいないから。疲れてるのは…心だからねー」
何て、イマイチ意味が分からない事を言いながら、その騎士様達は遠い目をしていた。
「えっと??心??ん?」
と、首を傾げて考えてみるけど、やっぱり意味がよく分からない。
「心に効くポーションは…無いので…えっと…クッキー食べますか?料理で余った材料で、作ったんですけど…。良かったらどうぞ?」
取り敢えず、困った感情を隠すために笑いながらクッキーを差し出す。
「…くっ…ありがとう…」
1人の騎士様が、片手で口を抑えたまま礼を言い、私からクッキーを受け取ってくれた。そして、またペコリと頭を下げて、私は騎士様の横を通り抜けた。
「“キュン”と来た!」
「分かる!恋じゃないけど…“キュン“は分かる!」
「あの薬師殿、眼鏡掛けてるし、前髪長目だから、あまりちゃんと顔を見た事なかったけど、可愛らしい子だったんだね。」
「あの子だろ?前に噂になった、我が儘放題の召喚に巻き込まれた子って。」
「あの薬師殿の事だったのか!?」
「あの後、その子の周りの何人かが仕事をクビになって、王太子殿下がその噂を否定したけど、未だにまだその噂を信じる奴も居るだろう?でも、本人を実際目の当たりにすると、あの噂が嘘だったって分かるね。」
「確かに。アレは、絶対悪い事が出来ないタイプだな。さっきの困った様なはにかんだ笑顔は…可愛かった…」
「“癒し”を見付けた気がする…」
「「「「…分かるわー!」」」」
「はいはい、お前達、声が大きいよ?」
「ダルシニアン様!」
そこには、ダルシニアンとカルザインが立っていた。ダルシニアンとカルザインは、出立直前に同行メンバーに加わったが、2人ともこの旅の同行メンバーの中では階級が上なので、実質この旅のリーダーの立場にあった。
「これからどんどん穢れが増えて、魔獣も増えて来るだろうから、“心が疲れた”何て言わずに頑張ってもらうからね?」
と、ダルシニアンは満面の笑みを向ける。
ーひぃぃぃっー
ご令嬢達が目にすれば、あまりにも綺麗過ぎて倒れる者も居るかもしれないが、騎士や魔導師からすると、その笑顔は恐怖でしかなかった。ダルシニアンのその笑顔は、静かにキレている時の笑顔だからだ。
「し…失礼しました!」
と言って、5人の騎士達は足早に去って行った。
「ま、聖女様達が逞しいから…分からなくもないけどね…。って、エディオル、君、いい加減その殺気収めてくれる?」
「殺気なんて飛ばしてない」
「はぁー…お前も大概拗らせてるよね。でも、そんなままだと…誤解されたままだよ?良いの?」
「…良いも何も…」
カルザインは小さく囁き、グッと手を握り締める。
ダルシニアンは、その様子をチラリと横目で見遣る。
「本当に、お前は難儀な奴だよね…ふっ…。殿下と言い、お前と言い、何で皆気付かないのかが不思議だよ。」
「…何を言ってるか分からないが…周りの反応の方が正しいんだろう?」
「今は、そう言う事にしておいてあげるよ。」
と、ダルシニアンは苦笑しながら言った。
*今日中に、もう1話投稿予定です*
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