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第三章ーパルヴァン辺境地ー
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どうやら、私がシルヴィア様から貰ったピアスを渡した、あの年配の騎士様が、そのピアスの報告を上げていなかったらしい。しかも、その(片方だけしか渡してなかった)ピアスを、売ろうとしていたそうだ。
そのピアスを持ち込んだ店の店主は、相手がパルヴァンの騎士と身分はしっかりしていたので買い取ったのだが、パルヴァンでしか採れないレアな魔石。その上丁寧に加工され、“魔除け”が掛けられている。騎士にとって、魔除けは自身の身を守る為の大事なものだ。それを簡単に売るだろうか?と気になり、知り合いの魔石の加工職人にそのピアスを見せたところ…
「シルヴィアが急ぎ、かつ丁寧に。グレンの命の恩人に渡す物だからーと、その職人が加工したピアスだったんだ。それで、その店主と職人が今朝そのピアスを持って来てくれてな。しかも、丁度その時、ティモスが三日前に拘束した女性が居て、副長にピアスを渡していたが、それからどうなりましたか?と私のところに訊きに来ていたんだ。それで、牢屋で拘束されているのが…ハル殿だと気付いて、急いで駆けつけたんだ。」
ーその店主と職人さんに感謝だー
「そう…だったんですね。ん?それとシルヴィア様が居ないのは…どう言う関係が?」
「私もだが…シルヴィアは…キレたんだ。キレたシルヴィアは、私でも止められないからなぁ…」
厳つい顔のパルヴァン様だけど、何やら哀愁漂う顔をしています。
「報告を上げなかったと言う職務違反は勿論だが、私の命の恩人へのお礼のピアスを売り、しかも恩人を三日も牢屋に入れっ放しときた…。今…シルヴィアは、そいつを締め上げている…」
「…………」
ーえっと…聞かなかった事にして良いですか?え?無理…ですか?ー
どうしようか…と思っていると
「ハル殿は無事なのかっ!?」
と、これまたドアが壊れる勢いで開かれて、シルヴィア様が駆け込んで来た。
「あ…シルヴィアさ…ふぐうっっ…」
シルヴィア様は、駆け込んで来た勢いのまま私に抱きついて来た。力の限りにー。
はい、凄く…すごく苦しいけど…懐かしいこの状況と温もりに、涙が出そうになるのをグッと我慢する。
『あらあら。聖女様方、ハル様が苦しそうですよ?』
ーあの時は、お姉さん達に抱き締められて…サエラさんがー
「ハル殿、本当に何もされてないか?大丈夫だった?」
心配そうに私の顔を窺って来るシルヴィア様と目が合い、ハッと我に返る。
「だっ大丈夫です。」
「それなら良かった…。でも…何故、ハル殿がここに?聖女様達は三日前に…還ったと聞いたが…。」
「…その事なんですが…お願いしたい事もあって…ここに来ました。話を…聞いて頂けますか?出来れば…パルヴァン様とシルヴィア様だけで…。」
「勿論ー。」
シルヴィア様は、メイドさん達に指示を出しお茶を用意させた後、私達3人以外全員を退室させた。
私1人とテーブルを挟んで、パルヴァン様とシルヴィア様2人が並んでソファーに座る。
そして、私は、三日前の“召喚の間”での出来事を話したー。
「ーそれで、気が付いたら、パルヴァンの森の中に居たんです。」
「それでか…。誰も森に入って行くところを見ていないのに、森の中から出て来たと言うのは。」
「でも、王都からの知らせでは、聖女様3人とハル殿は無事に元の世界に還ったと…。王族が嘘を付いた?」
「いえ、恐らくですが…私が魔法陣から弾かれた事は、あの場に居た人達は気付いていなかったと思います。魔法陣が展開すると、周りがあまり見えない位凄く光輝くんです。近くに居たお姉さん達でさえ、ハッキリ見えない位ですから、離れた位置に立っている王太子様は勿論の事、魔導師様達にも見えてなかった可能性の方が高いです。」
「そうか…では、お願いとは、王城に行きたいと言う事とか?」
と、パルヴァン様は言うが…
「…違い…ます。」
「違う?」
パルヴァン様もシルヴィア様も驚いた顔をしている。
「確かに、元の世界に還れるなら、今すぐにでも王城に行きたいです。でも…もう還れないなら…私は王城…いえ、王都にすら行きたくないんです。」
「…還れるか還れないか…その判断は誰ができる?このパルヴァン辺境地に…居るのか?」
お姉さん達の言葉を思い出す。
『それで思い出したけど、こっちの世界で恋に落ちたり、日本に還る事ができなくなったりしたら、その瞬間から容姿の時間も進むようになるんだよね?』
『恋愛に進まなくても、日本に還れなくなるってパターンもあるんですか!?』
『それがあるのよ。浄化があまりうまくいかなかった場合がそうなのよ。浄化がうまくいかなくて、魔物や魔獣を野放しにしたままでは還れない!って、還らないパターンがあったのよ。』
「聖女は、この世界に召喚されてから、元の世界に還る迄は、外見が変わらないんです。時間が止まるんです。私もそうでした。でも、聖女が浄化を終えても元の世界に還らず、この世界で生きていく事を決めた場合、その瞬間から聖女の時間も進むようになるんです。」
そう─。自分自身で還れるか還れないか…判断が出来てしまうのだ。
*本日中に、もう1話投稿予定です*
そのピアスを持ち込んだ店の店主は、相手がパルヴァンの騎士と身分はしっかりしていたので買い取ったのだが、パルヴァンでしか採れないレアな魔石。その上丁寧に加工され、“魔除け”が掛けられている。騎士にとって、魔除けは自身の身を守る為の大事なものだ。それを簡単に売るだろうか?と気になり、知り合いの魔石の加工職人にそのピアスを見せたところ…
「シルヴィアが急ぎ、かつ丁寧に。グレンの命の恩人に渡す物だからーと、その職人が加工したピアスだったんだ。それで、その店主と職人が今朝そのピアスを持って来てくれてな。しかも、丁度その時、ティモスが三日前に拘束した女性が居て、副長にピアスを渡していたが、それからどうなりましたか?と私のところに訊きに来ていたんだ。それで、牢屋で拘束されているのが…ハル殿だと気付いて、急いで駆けつけたんだ。」
ーその店主と職人さんに感謝だー
「そう…だったんですね。ん?それとシルヴィア様が居ないのは…どう言う関係が?」
「私もだが…シルヴィアは…キレたんだ。キレたシルヴィアは、私でも止められないからなぁ…」
厳つい顔のパルヴァン様だけど、何やら哀愁漂う顔をしています。
「報告を上げなかったと言う職務違反は勿論だが、私の命の恩人へのお礼のピアスを売り、しかも恩人を三日も牢屋に入れっ放しときた…。今…シルヴィアは、そいつを締め上げている…」
「…………」
ーえっと…聞かなかった事にして良いですか?え?無理…ですか?ー
どうしようか…と思っていると
「ハル殿は無事なのかっ!?」
と、これまたドアが壊れる勢いで開かれて、シルヴィア様が駆け込んで来た。
「あ…シルヴィアさ…ふぐうっっ…」
シルヴィア様は、駆け込んで来た勢いのまま私に抱きついて来た。力の限りにー。
はい、凄く…すごく苦しいけど…懐かしいこの状況と温もりに、涙が出そうになるのをグッと我慢する。
『あらあら。聖女様方、ハル様が苦しそうですよ?』
ーあの時は、お姉さん達に抱き締められて…サエラさんがー
「ハル殿、本当に何もされてないか?大丈夫だった?」
心配そうに私の顔を窺って来るシルヴィア様と目が合い、ハッと我に返る。
「だっ大丈夫です。」
「それなら良かった…。でも…何故、ハル殿がここに?聖女様達は三日前に…還ったと聞いたが…。」
「…その事なんですが…お願いしたい事もあって…ここに来ました。話を…聞いて頂けますか?出来れば…パルヴァン様とシルヴィア様だけで…。」
「勿論ー。」
シルヴィア様は、メイドさん達に指示を出しお茶を用意させた後、私達3人以外全員を退室させた。
私1人とテーブルを挟んで、パルヴァン様とシルヴィア様2人が並んでソファーに座る。
そして、私は、三日前の“召喚の間”での出来事を話したー。
「ーそれで、気が付いたら、パルヴァンの森の中に居たんです。」
「それでか…。誰も森に入って行くところを見ていないのに、森の中から出て来たと言うのは。」
「でも、王都からの知らせでは、聖女様3人とハル殿は無事に元の世界に還ったと…。王族が嘘を付いた?」
「いえ、恐らくですが…私が魔法陣から弾かれた事は、あの場に居た人達は気付いていなかったと思います。魔法陣が展開すると、周りがあまり見えない位凄く光輝くんです。近くに居たお姉さん達でさえ、ハッキリ見えない位ですから、離れた位置に立っている王太子様は勿論の事、魔導師様達にも見えてなかった可能性の方が高いです。」
「そうか…では、お願いとは、王城に行きたいと言う事とか?」
と、パルヴァン様は言うが…
「…違い…ます。」
「違う?」
パルヴァン様もシルヴィア様も驚いた顔をしている。
「確かに、元の世界に還れるなら、今すぐにでも王城に行きたいです。でも…もう還れないなら…私は王城…いえ、王都にすら行きたくないんです。」
「…還れるか還れないか…その判断は誰ができる?このパルヴァン辺境地に…居るのか?」
お姉さん達の言葉を思い出す。
『それで思い出したけど、こっちの世界で恋に落ちたり、日本に還る事ができなくなったりしたら、その瞬間から容姿の時間も進むようになるんだよね?』
『恋愛に進まなくても、日本に還れなくなるってパターンもあるんですか!?』
『それがあるのよ。浄化があまりうまくいかなかった場合がそうなのよ。浄化がうまくいかなくて、魔物や魔獣を野放しにしたままでは還れない!って、還らないパターンがあったのよ。』
「聖女は、この世界に召喚されてから、元の世界に還る迄は、外見が変わらないんです。時間が止まるんです。私もそうでした。でも、聖女が浄化を終えても元の世界に還らず、この世界で生きていく事を決めた場合、その瞬間から聖女の時間も進むようになるんです。」
そう─。自分自身で還れるか還れないか…判断が出来てしまうのだ。
*本日中に、もう1話投稿予定です*
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