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第三章ーパルヴァン辺境地ー
1年
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私の時間が進み出してから一年が過ぎた。
今では髪の長さは肩の下ー肩甲骨辺りまであり、毛先にまだ黒い部分があるが、もう殆どがプラチナブロンドだ。この世界にでも、染めた色を落とす薬草もあるにはあるけど…敢えてしなかった。髪を伸ばしなから、少しずつ切ってお別れをしようと思ったのだ。
「ハル!1人で森に入るなと何度言ったら分かるんだ?」
「ティモスさん!?何で、私がここに居るって分かったんですか?」
はい、私は今、立入禁止であるパルヴァンのあの森に来ています。立入禁止だけど、ハイスペ聖女3人組のお姉さん達が浄化してから1年。未だに穢れの“け”の字も出ていないので、安心安全な森を保っているのだ。そんな思い出いっぱいの森に、パルヴァン様は私に立ち入る事を許してくれているのだ。但し─
ー必ず“護衛”を付ける事ー
勿論、最初の頃は騎士様やルナさんやリディさんに頼んでいた。でも…本当にこの森が安心安全をキープしているのが判るし、私の我が儘に付き合ってもらうのが申し訳なくて…こっそりと…1人で来るようになった…んだけど、その度にティモスさんに見付かって怒られる…
ー何故バレる!?ー
「今でも穢れが出て無いから、危険は無いと思うけど、もしもの事だってあるんだぞ?」
「…すみません…。」
ー何かあっても、魔法で何とかなると思います。魔法使いなのでー
とは言えないので、謝っておく。
「はぁー…。横に座っても良いか?」
「はい。どうぞ…」
ーティモスさんー
1年前のあの時私を拘束した騎士様であり、私をあの牢屋から出れる切っ掛けになったうちの1人である。茶色の短髪で、瞳は緑色。騎士様らしく、ガッシリした体育会系のお兄さんだ。
私がこの森から現れた事を知っているから、私が巻き込まれただけの存在で、最後には還れなかったと言う事を教えてある。
「いつもここに居るけど、ここに何か思い入れでもあるのか?」
「…思い入れと言うか…元の世界に還れなくて、飛ばされたのがここだったんですよね…。」
「─っ…そう…か…」
「別に、感傷に浸っている訳じゃないですからね?逆に、何となく…落ち着く感じがするんですよね。なので、変な気は使わないで下さいね!」
明るくそう言うと、ティモスさんは私の髪をワシャワシャと犬を相手にするように撫でて来た。
「ティモスさん!何度言ったら分かるんですか!?髪がぐちゃぐちゃになっちゃうので、止めて下さい!」
「はいはい。ハルが1人でここに来ないって約束を守れたら、俺も止めるよ。」
「ゔっ…痛いところを…」
「ははっ」
最初の出会いでは、それこそ騎士VS不審者だったから、ティモスさんの顔も雰囲気も鋭いものがあったけど、今ではすっかり優しいお兄さんだ。ちょっと過保護?なところもたまにあるけど…。とにかく、このパルヴァンでは良い人達に囲まれている。
「そうだ、忘れるところだった。パルヴァン様が夕食の前に話したい事があるから、執務室に来て欲しいと言っていたぞ。」
「話したい事…何だろう?独り暮らしの事かなぁ?」
「独り暮らしっ!?」
私が小さく囁いた言葉に、ティモスさんはビックリする位の大声で反応した。
「うぇっ!?急にそんな大声出されたらビックリするじゃないですか!」
「いやいや、そんな事はどうでもいい!ハル、お前、独り暮らしをするのか!?邸で何かあったのか!?」
「何でそうなるんですか…。私がこの世界で生きていくってなった時から、お願いしていた事なんです。薬師として稼げるようになったら、ここを出て行くって。それで、まぁ、それなりに稼げるようになったので、そろそろ独り暮らしを始めようかなって、この前、シルヴィア様に相談したんです。」
今度の休日にでも、物件を見て回ろうかなぁ?
「独り暮らし…ハルが?危ないだろう?独り…」
ーティモスさんがぶつぶつ何か言ってるけど…無視で良いよね?過保護が過ぎるー
*****
「王都からの…視察?」
あれから、ぶつぶつ言うティモスさんの背中を押しながら邸迄帰って来て、門の所でティモスさんとは別れ、私はそのままパルヴァン様の執務室迄やって来た。そこで、パルヴァン様から聞かされたのが─
「そうだ。聖女様達が浄化をしてから1年。王都から、今の森を視察しに来るらしい。」
王都からの視察ーと言う事は…王族の誰かも来ると言う事だろうか?
「その視察のメンバーは、決まっているんですか?」
「王太子殿下が来る。故に…側近であるダルシニアン殿とカルザイン殿も来る。それと、宰相のハンフォルト殿。主だった者はその4人だ。」
ー4人とも、思いっきり顔見知りです!ー
「パルヴァン様、私はどうしたら良いですか!?」
「会っておくか?」
「それ、絶対に嫌ですからね!?」
「うむ…冗談だ…」
「くっ…」
こう言う時のパルヴァン様は、厳つい顔をしているのに、耳の垂れたワンコに見えて…キュンとしてしまうのは…秘密にしている。
「とにかく、視察予定は二週間後。視察期間は5日。その間はこの邸に滞在する。」
今では髪の長さは肩の下ー肩甲骨辺りまであり、毛先にまだ黒い部分があるが、もう殆どがプラチナブロンドだ。この世界にでも、染めた色を落とす薬草もあるにはあるけど…敢えてしなかった。髪を伸ばしなから、少しずつ切ってお別れをしようと思ったのだ。
「ハル!1人で森に入るなと何度言ったら分かるんだ?」
「ティモスさん!?何で、私がここに居るって分かったんですか?」
はい、私は今、立入禁止であるパルヴァンのあの森に来ています。立入禁止だけど、ハイスペ聖女3人組のお姉さん達が浄化してから1年。未だに穢れの“け”の字も出ていないので、安心安全な森を保っているのだ。そんな思い出いっぱいの森に、パルヴァン様は私に立ち入る事を許してくれているのだ。但し─
ー必ず“護衛”を付ける事ー
勿論、最初の頃は騎士様やルナさんやリディさんに頼んでいた。でも…本当にこの森が安心安全をキープしているのが判るし、私の我が儘に付き合ってもらうのが申し訳なくて…こっそりと…1人で来るようになった…んだけど、その度にティモスさんに見付かって怒られる…
ー何故バレる!?ー
「今でも穢れが出て無いから、危険は無いと思うけど、もしもの事だってあるんだぞ?」
「…すみません…。」
ー何かあっても、魔法で何とかなると思います。魔法使いなのでー
とは言えないので、謝っておく。
「はぁー…。横に座っても良いか?」
「はい。どうぞ…」
ーティモスさんー
1年前のあの時私を拘束した騎士様であり、私をあの牢屋から出れる切っ掛けになったうちの1人である。茶色の短髪で、瞳は緑色。騎士様らしく、ガッシリした体育会系のお兄さんだ。
私がこの森から現れた事を知っているから、私が巻き込まれただけの存在で、最後には還れなかったと言う事を教えてある。
「いつもここに居るけど、ここに何か思い入れでもあるのか?」
「…思い入れと言うか…元の世界に還れなくて、飛ばされたのがここだったんですよね…。」
「─っ…そう…か…」
「別に、感傷に浸っている訳じゃないですからね?逆に、何となく…落ち着く感じがするんですよね。なので、変な気は使わないで下さいね!」
明るくそう言うと、ティモスさんは私の髪をワシャワシャと犬を相手にするように撫でて来た。
「ティモスさん!何度言ったら分かるんですか!?髪がぐちゃぐちゃになっちゃうので、止めて下さい!」
「はいはい。ハルが1人でここに来ないって約束を守れたら、俺も止めるよ。」
「ゔっ…痛いところを…」
「ははっ」
最初の出会いでは、それこそ騎士VS不審者だったから、ティモスさんの顔も雰囲気も鋭いものがあったけど、今ではすっかり優しいお兄さんだ。ちょっと過保護?なところもたまにあるけど…。とにかく、このパルヴァンでは良い人達に囲まれている。
「そうだ、忘れるところだった。パルヴァン様が夕食の前に話したい事があるから、執務室に来て欲しいと言っていたぞ。」
「話したい事…何だろう?独り暮らしの事かなぁ?」
「独り暮らしっ!?」
私が小さく囁いた言葉に、ティモスさんはビックリする位の大声で反応した。
「うぇっ!?急にそんな大声出されたらビックリするじゃないですか!」
「いやいや、そんな事はどうでもいい!ハル、お前、独り暮らしをするのか!?邸で何かあったのか!?」
「何でそうなるんですか…。私がこの世界で生きていくってなった時から、お願いしていた事なんです。薬師として稼げるようになったら、ここを出て行くって。それで、まぁ、それなりに稼げるようになったので、そろそろ独り暮らしを始めようかなって、この前、シルヴィア様に相談したんです。」
今度の休日にでも、物件を見て回ろうかなぁ?
「独り暮らし…ハルが?危ないだろう?独り…」
ーティモスさんがぶつぶつ何か言ってるけど…無視で良いよね?過保護が過ぎるー
*****
「王都からの…視察?」
あれから、ぶつぶつ言うティモスさんの背中を押しながら邸迄帰って来て、門の所でティモスさんとは別れ、私はそのままパルヴァン様の執務室迄やって来た。そこで、パルヴァン様から聞かされたのが─
「そうだ。聖女様達が浄化をしてから1年。王都から、今の森を視察しに来るらしい。」
王都からの視察ーと言う事は…王族の誰かも来ると言う事だろうか?
「その視察のメンバーは、決まっているんですか?」
「王太子殿下が来る。故に…側近であるダルシニアン殿とカルザイン殿も来る。それと、宰相のハンフォルト殿。主だった者はその4人だ。」
ー4人とも、思いっきり顔見知りです!ー
「パルヴァン様、私はどうしたら良いですか!?」
「会っておくか?」
「それ、絶対に嫌ですからね!?」
「うむ…冗談だ…」
「くっ…」
こう言う時のパルヴァン様は、厳つい顔をしているのに、耳の垂れたワンコに見えて…キュンとしてしまうのは…秘密にしている。
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