巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第五章ー聖女と魔法使いとー

再会

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「おやおや…早いお帰りですね?」

「ロンさん、ただいま帰りました。えっと…帰って来るの…早かったですか?」

ーん?もう夕方だよ?私達、朝から出掛けたよね?結構な時間出掛けてたと思うんだけどなぁ?ー

「…いえ。いい時間のお帰りです。」

ーえー?どっちなの!?ー

「それじゃあ、ハル殿、明日はオーブリー殿に連絡をとってあるから、それで宜しく頼む。」

「あ、はい。こちらこそ、明日も宜しくお願いします。それと、今日は色々とありがとうございました。」

ペコリと頭を下げると

「いや─。礼を言うのは私の方だ。ありがとう。それに…今日は楽しかった。また…誘っても?」

ーえ?マタサソッテモ?ー

「迷惑…だろうか?」

首を傾げて、困った様な顔をして訊いてくるのは…反則だと思いますっ!!

「迷惑では…無いですけど…」

「良かった。では…また明日。」

ー本当に…最近のカルザイン様は…甘過ぎて心臓が痛いー














『楽しかったか?』

「レフ…コース殿?」

『あぁ、話し掛けるのは…初めてだったか?』

パルヴァン邸を出た所で、スルリとフェンリルであるレフコース殿が足元に現れた。

「今日は…気を遣ってもらったのだろうか?」

『ふむ。主は我が居ると、我も連れて行こうとするだろうからな…。勿論、主が嫌がるなら別だが…そうではなさそう故な…。それに、我はお前を気に入っている。お前なら…主を守ってくれるであろう?』

「勿論。ハル殿は必ず守るつもりだ。」

『ならば、早く主を。と言いたいところだが…では主がポンコ…駄目過ぎる故、お前も大変だと思う…が、何とか頑張ってくれ。』

ー今、“ポンコツ”って言い掛けた…よな?ー

否定は…できないけど…。

「グレン様に続いて、レフコース殿にも背中を押されたなら…もう、遠慮無く行かせてもらおう。」

『あぁ、それ位の意気込みで…丁度良いのかもしれぬな。』

ニヤッと笑い、そのまま姿を消し去った。














『主、お帰り。』

「レフコース!!」

『今日はどうだった?主は楽しかったか?』

スリッと私の左手に鼻を擦り付けて来るレフコース。

ー裏切り者のくせに!でも…可愛いから許す!ー

ガバッとレフコースに抱き付く。


「「今日も癒し、ありがとうございます。」」

と、ルナとリディは心の中で囁いた。









*翌日*


「カルザイン様、おはようございます。今日も、宜しくお願いします。」

「ハル殿、おはよう。こちらこそ宜しく頼む。では、予定通り、今からステファン=オーブリー殿に話を聞きに行こう。」

ーうー…緊張するなぁ…ー 

『主、大丈夫か?その者は…主にとって厄介な者なのか?』

ー厄介じゃないよ!寧ろ、私に優しくしてくれた良い騎士様だったよ!ー

『ふむ。なら良いが…』

ただ、お別れの時にされた事がね…まぁ、オーブリー様にとっては、ただの挨拶だったんだろうけどね。

「確認なんだが…オーブリー殿にも、“ハル”である事と、還れなかった事を伝えるのか?」

「はい。伝えるつもりです。旅の間のほんの数日でしたけど、お世話になったので…。」

「オーブリー殿も…驚くだろうな…。」

「…ですね…。」

パルヴァンで“ルディ”として会ったけど…全く気付いてなかったしね…。

「ふふっ…」

「ん?何か…面白い事でもあった?」

「あー、いえ…。オーブリー様は、どんな反応をするのかな?って思ったら…少し楽しくなっちゃいました。」

「…そうか…。」

と、やっぱり今日も、カルザイン様は優しく微笑んでくれた。











「……………………………え?」

オーブリー様が待っていた所は、騎士団の離宮にある応接室だった。
私達が入室すると、「ルディ殿!?」と驚かれたのだが、

「パルヴァンでは失礼しました。実は、私は…ハルです。以前、一緒に浄化の旅に同行させてもらっていた…ハルです。」

と挨拶をすると、たっっっぷり溜めてから反応されました。

「ハル…殿?…薬師…の…?」

「?はい。かどうかは分かりませんが、薬師のハルです。」

「え?あれ?何で?いや…還ったって…あれ?容姿がって…」

ーおぅ…オーブリー様…パニクり過ぎではないでしょうか?ー

「あのー、オーブリー様、少し落ち着いて…

ー下さいー

と言い掛けたら

「──へっ!?」

ギュッと…抱き締められたー

ーっ!!??ー

何が、どうなってるの!?と焦っていると、

ゾワッ─と、殺気?が部屋中に溢れる。

すると、オーブリー様がビクリッと反応して

「あー…すまない!!!」

と言いながら、慌てて私から離れた。

「…いえ……。」

そして、暫くの沈黙の後

「あの…取り敢えず…座って…下さい…。」

オーブリー様に促され、私とカルザイン様は椅子に座った。






オーブリー様にも、黒いモヤが纏わり付いていたけど…抱き付かれた瞬間消えました…。




私も、ピアスを着けていて…良かった…






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