巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

文字の大きさ
119 / 203
第五章ー聖女と魔法使いとー

ハル、自覚する

しおりを挟む


「ご…ごめんなさい!!!」


いっぱい泣いて…落ち着いて…我に返って…恥ずかしくなって…
カルザイン様の服が…シワシワになっていて…私の涙で濡れてて…

謝っています←今、ここです。


で泣いてと言ったのは俺だから、気にしなくて良い。」

そう言って、本当に何も気にしてない風に笑っているカルザイン様。寧ろ、嬉しそうに笑っているから、本当に…

ー心臓が痛いー

「あの…そろそろ…そのー…離してもらっても…大丈夫かなーと…。」

そう。何故か、私はまだカルザイン様の…腕の中に収まったままなのだ。

「ん?どうだろう?ハル殿は大丈夫じゃないのに、大丈夫と言うからなぁ…。」

と言って、更にギュッと抱き締められた。

ー何故だ!?本当に大丈夫だし!コレ、本当に恥ずかしいんですけどっ!?ー

「ほ…本当に大丈夫ですから!もう嘘と言うか…駄目な時は言いますから!許して下さい!」

そう言いながら、なんとかカルザイン様の胸をバシバシと叩いてみる。

「…はぁー…」

大きな溜め息を吐いた後、ようやくカルザイン様が私を解放してくれた。

「本当に、もう大丈夫?」

「はい…あの…カルザイン様のお陰で…落ち着きました。ありがとうございます。」

「なら…良かった。」

ーう゛ー…本当に心臓が痛いー


「そう言えば…ハル殿が意識を失う前に…俺の事“ディ様”って呼んだんだけど…覚えてる?」

「ディー!?」

ーえっ!?何ソレ!?全く記憶がない!!ー

「すみません!全く覚えてないんですけど!私なんかがごめんなさい!!!」

ガバッと頭を下げて謝る。

「そうじゃなくて…前に、俺の名前で呼んでくれると言っていただろう?だから、そう呼んでくれるなら嬉しいなと思ったんだ。」

「まさか!“エディオル”様なら未だしも…“ディ”様だなんて!!失礼にも程があります!!」

「じゃあ、“エディオル”とは…呼べると?」

「そうですね──!」

ーって…あれ?ー

チラリとカルザイン様を見ると…それはそれは…とても綺麗な笑顔をしていました。

「えっと…あの…違う─」

「ん?“ディ”の方が…良かったか?」

ー違う!そうじゃない!その二択じゃない!ー

あれ??カルザイン様って、こんな人だった?確かに、ハルとして再会してからは甘かったけど…。更に甘くなってない?それと…遠慮が…無くなって来てない??

でも─

そんなカルザイン様が…嫌じゃない。

寧ろ─


「…エディオル様で…許して下さい………エ…ディオル様。」

恥ずかしいながらも、名前で呼んでみたら

一瞬キョトンとした後、カルザイン様─もといエディオル様は、嬉しそうに笑ってくれた。

ーエディオル様のこの笑顔…好き…だなぁー













ーえ?ー





ー好き?ー





ー誰が?誰を?ー





ーちょっと…落ち着こうか?ー




チラリと、カルザイン様を見てみる。

「ん?」

すると、カルザイン様も私を見ていたようで目が合ってしまった。

『ん?』

と言って、少し首を傾げて優しい目を向けて来るカルザイン様を見ると…やっぱり…好き…だな…と思ってしまう…。

ー好き?ー

ど…どうしよう!!??うわー!!!!
今まで心臓が痛いとか思ってたのって…そう言う事だったの!?ちょっと待って!!
脳内は大パニックです!!

元の世界では、男性恐怖症に近かったせいもあって、恋愛の“れ”の字も無かった。
この世界に来てからも、自分の事だけでいっぱいいっぱいだったし…モブだしと思っていたから、自分がこの世界で恋をするなんて…思ってもいなかった。

しかも、相手が─エディオル=カルザイン様攻略対象者ー王太子殿下の近衛騎士であり、貴族様。

方や、私は…巻き込まれて還れなかったモブ。

ーあれ?失恋確定じゃない?ー

その前に…優しくされて?好きになるって…私…チョロ過ぎじゃない?

恋に自覚した途端、失恋確定?とか…流石の私でも…辛いものがある…。

「ハル殿?ひょっとして…疲れたのか?」 

俯き加減で思案していた私の頬に手を当て、そのまま顔を上げさせられ、結構な至近距離で目が合った。

「──っ!!??」

“ボンッ”

と、音が鳴ったんじゃないかと思う位に、一瞬にして顔が赤くなったのが分かる。

「だっ…大丈夫です!本当に!疲れてません!」

「…顔が赤いけど…熱でも出たのかもしれないな?マリン殿を呼ぼうか?」

カルザイン様は、本当に私の事を心配してくれているようで、少し困った様な顔をして、更に私の顔を覗き込んできた。

ーいや…ちょっと待って!本当に待って!本当に勘弁して欲しい!近い!恥ずかしい!ー

「っちか──」

「ん?“ちか”?」

「近過ぎ…ませんか!?」

「あぁ…成る程…やっとか?」

カルザイン様が何やら呟いたけど、声が小さ過ぎて聞こえなかった。

「あのーカルザイ──」

「“エディオル”」

「は…はい?」

相変わらずの至近距離で、ニッコリ笑うカル─エディオル様。笑ってるのに…圧を感じるのは気のせい…ではないだろう…圧を…掛けられてるんだろう…。

「…エディオル様…本当に…お願いします…」

ー圧なんかに負けない!ー

と、頑張ってカル─エディオル様をキッと睨み付けた。

「──くっ…」

エディオル様は、呻きながら離れてくれました。

ーよし!私だってやれば、圧位掛けれるんです!ー

自慢気に笑う私を、レフコースが何とも言えない顔で笑っていた─事には気付かないフリをした。



しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?

神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。  カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。   (※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m 

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

【完結】【番外編追加】お迎えに来てくれた当日にいなくなったお姉様の代わりに嫁ぎます!

まりぃべる
恋愛
私、アリーシャ。 お姉様は、隣国の大国に輿入れ予定でした。 それは、二年前から決まり、準備を着々としてきた。 和平の象徴として、その意味を理解されていたと思っていたのに。 『私、レナードと生活するわ。あとはお願いね!』 そんな置き手紙だけを残して、姉は消えた。 そんな…! ☆★ 書き終わってますので、随時更新していきます。全35話です。 国の名前など、有名な名前(単語)だったと後から気付いたのですが、素敵な響きですのでそのまま使います。現実世界とは全く関係ありません。いつも思いつきで名前を決めてしまいますので…。 読んでいただけたら嬉しいです。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました

Blue
恋愛
 幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。

異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。

バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。 全123話 ※小説家になろう様にも掲載しています。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

処理中です...