巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第五章ー聖女と魔法使いとー

ゼン無双

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王太子様の執務室に行き、神殿での出来事を話すと、国王様と宰相様にも聞いてもらった方が良いと言う事で、急遽、国王様の執務室に行く事になった。

準備が整い、国王様の執務室に向かうと─

「ハル様、大丈夫でしたか!?」

「ゼンさん!?」

エディオル様の言う通り、ゼンさんが居た。

「はい。私は大丈夫です。何もされたりはしていないので…。」

「それなら良かった…。まぁ…エディオル様が一緒に居たのですから…当然ですね?」

と、ニッコリ笑うゼンさん。

ーやっぱり背中がスースー?ゾワゾワ?するのは…気のせいにしておこうー











「待たせてすまないな。」

と、国王様と宰相様が最後にやって来た。
今、この国王様の執務室に居るのは─

ダルシニアン親子(クレイル、魔導師長)、カルザイン親子(エディオル、第一騎士団長)、ハンフォルト親子(イリス、宰相)、国王親子(ランバルト、国王)、そして、ゼンさんと私ーハルーである。


ーDNAって…凄いんですねー









「あの魔導師は…魔法使いだったのか…。」

私は、彼が同郷の者である事、彼が隣国で保護されているであろう魔法使いである事、黒いモヤを出した張本人である事を話した。

国王様はピリッとした空気を纏い

「…ならば、今回の事は…隣国の仕業と言う事か?もしそうであれば…王太子であるランバルトも被害を受けたのだ…看過できる事ではない。」

「あー…そこなんですけど…多分、隣国の王族?王様?は関与していないと思います。おそらく…あの魔法使いの単独行動だと思います。」

「何故そう思う?」

ーですよね?何故?って思うよねー

あの魔法使いがゲームを知っていて、そのゲームのシナリオ通りにしたくて動いているだけだからです…何て…言えるわけがないよね?頭がおかしい認定されてしまうよね?

「…誰か─までは口にしませんでしたけど、あの魔法使いは“彼女を幸せにする為に”と言っていたんです。」

取り敢えず、宮下香の事は黙っておこう。まだ、2人の関係がよく分からないから─。

「…ふむ…。」

国王様は眉間に皺を寄せて黙り込む。

「…ですが、国として関与していないと言っても、国が保護している魔法使いが、他国の者に手を出したのです。何もしない─と言う訳にはいきません。」

と、宰相様が言うと…

「そうですね。だって、ハル様が居なければ…王太子殿下がその黒いモヤに纏わり付かれていた事に気付かず、思考を奪われた廃人になっていた可能性があったのでしょう?それだけでも…アウトでしょうね。」

と、ニッコリ微笑むゼンさん。

「…分かっている。個人で動いていたとしても…先ずは抗議の手紙は送る。それで、国としてどう出て来るかによって、対応はその時に決める。」

「ハル殿、質問…しても?」

と、魔導師長であるセルレイン=ダルシニアン様が口を開いた。

「はい…何でしょうか?」

「その黒いモヤの事だが…それが一体何だったのか…分かったのだろうか?」

「あの魔法使いは、私にもソレを使おうとしたんです。」



ー何故、名を交わせた?』


そう、彼は、私の名前を呼んでから尋ねて来た。

「名前を…呼んだんです。その時に、一瞬にして黒いモヤが広がりました。」

「やはり、禁忌の魔法の行使か…尚更、看過出来ない話だな。」

と魔導師長様は言うけど…あなたが言える立場ではないよね?と思ってしまうのは許して欲しい。

「魔導師長様の口から、その様な言葉を聞けるとは…思いませんでした。…正常だったんですね?」

と、やっぱりニッコリ微笑むゼンさん。
はい、魔導師長様は固まってます。

「第一騎士団も…相手が魔法使いだったから仕方がなかった─なんて思っていませんよね?最近…少し…緩んでませんか?私、丁度、数日は王都こちらに居ますので…明日、ゆっくりと、緩みを…正しに来ますね?楽しみ…ですね?」


「「「「「「……」」」」」」


ーあれ?ボスは…パルヴァン様じゃなかったの?え?ゼンさんって…ラスボスだったの!?ー


チラリとエディオル様を見ると…

やっぱり首をふられた─。

あ、ダメだ…王太子様の顔色が真っ白だ…。えー…あれ以上のものになるんだろうか…。

「あ!すみません!すっかり忘れてましたけど、私が、彼が魔法使いだって分かったのは…彼が私と同郷で、元の世界の言葉で呟いていたのを聞いたからで…。さっき私が話した事も、私だけが理解して聞けただけで…証明できる物が何もないんです。ですから…隣国に抗議文を送っても…無駄かもしれません。」

白を切られると、どうしようもないから。

「あー…確かに。私も一緒に居たけど、あいつが何か呟いてるな…としか…何を言ってるか、サッパリ分からなかった。」

と、ダルシニアン様も困り顔だ。

「それなら、抗議文ではなく、違う形でやるだけですね。その辺は、我々大人の仕事ですから、ハル殿は気にしなくて大丈夫ですよ?勿論、ハル殿の事は他言しませんから。」

と、宰相様は、私の気にしているだろう事も含めてそう言ってくれた。

「宰相様、ありがとうございます。」

ニコリと笑うと、横に居るゼンさんが、少しだけ…ピリッとした空気を和らげた。


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