巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第五章ー聖女と魔法使いとー

最強で最恐

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「…それじゃあ、また…大人は大人で話があるから…」

と、何となく顔色を悪くした国王様に言われて、王太子様とダルシニアン様とハンフォルト様とエディオル様と共に、国王様の執務室を後にした。




*王太子殿下の執務室にて*


「明日…ゼン殿が第一に来ると…言っていたか?いや─私の聞き間違いか?」

「ランバルト、現実逃避をしたところで、逃げられる訳じゃないからね?ちゃんと受け止めて、明日に備えて早めに就寝すると良いよ。」

現実逃避をしようとするランバルトに、クレイルが軽く釘を刺す─が…

「クレイル、他人事のように言ってるけど、多分、ゼン殿は魔導師団にも向かうと思うよ?魔導師長がやらかした事を知っていたし…何よりも…アイツを逃がしたからね。だから、クレイルも今のうちにゆっくりしておいた方が良いと思う。」

「う゛っ…そうだった…あの馬鹿親父が─っ!」

と、イリスがクレイルにキッチリと釘を刺した。

「えっとー…やっぱり、ゼンさんも…パルヴァン様並に…ヤバいんですか?」 

と、隣にいるエディオル様にこっそり訪ねると

「例えばで言うと…“とある珍しい花を取って来い”と言う指令が出たとする。グレン様の場合は、死なないように、被害は最小限に、且つ、速やかに─。で、ゼン殿の場合は……死んでも取って来い─だな。」

ー死んでも取って来い!?ー

え?死んだら取れないよ?いやいや、死んだら駄目だよね?え?あのゼンさんが?あの、ダンディーなゼンさんが、そんな事言うの??

ビックリし過ぎて、言葉が口から出て来ない。

「ハル殿、どうかした?なんだか固まってるけど。」

と、少し顔色は悪いけど、軽く復活したダルシニアン様に声を掛けられて─

「──はっ…。だって、エディオル様が、ゼンさんが死んでも取って来いとか言うからですね?ちょっとビックリしてですね?」

「──は?」

「あぁ…すみません。ちょっと慌て過ぎてしまって…」

自分でも何を言っちゃってるの!って突っ込みたくなる…。恥ずかしいなぁ…と悶えていると、ダルシニアン様がポツリと声を出した。

「…様?」

「はい?えっと…どうかしましたか?」

 「いや…今、ハル殿が…“エディオル様”って…」

ーあぁ!名前呼び!!ー

「すみません!私なんかが名前呼びをしてしまって!」

「あー、いや…そう言う意味じゃなくて…。」

と、ダルシニアン様はそのまま少し口を噤んでから

「…そっか…。うん。そっか…。」

と、1人納得?したように頷く。

「?どうか…しましたか?」

「いや─何でもないよ。ところで…ハル殿は…明日は登城予定はあるの?」

「あー…予定はなかったんですけど…許可が下りれば、お昼頃にでも…差し入れでも持って来ようかなと思ってます。」

と私が言うと

「勿論!許可する!今!王太子わたしのサインで許可する!昼頃だな?ハル殿、時間厳守で宜しく頼む!」

と、王太子様はその場でサクッと、私に明日の登城許可証を書き上げた。













*国王陛下の執務室にて*


「ルイス様、明日は、第一騎士団1人残らず宜しくお願いしますね?私も久し振りの指導なので、少し鈍っているかもしれませんが……」

と、ガラリとゼンの雰囲気が一変する

「手を抜く事はないからな?分かってるよな?ちょっと…ハル様…に負担掛け過ぎって分かってる?分かってないよな?トラウマ相手に面会即決って…普通は有り得ないよな?第一騎士団自分の尻拭いは、第一騎士団自分でしなきゃいけないよな?その腑抜けた根性…叩き直してやる。」

それから、ゼンはスッと視線をセルレインに向け

「あぁ、セルレイン様。魔力封じの枷を管理していたのは…神殿だったな?どうしてあんな危険な物が奪われて、誰も気付かなかった?どうやって奪われた?奪った相手が魔法使いだから仕方無い─とは言わないよな?」

と、言い切ったゼンは、またガラリと雰囲気を一変させる。

「──と言う事で、明日を楽しみにしております。」

ニッコリ微笑むゼンだった。










*****


「では、ハル様、おやすみなさいませ。」

そう言って、私の部屋からルナさんとリディさんが退室して行った。

王太子様から許可証をもらった後、ゼンさんが迎えに来てくれて、来る時と同じように、3人で馬車に乗ってパルヴァン邸迄帰って来た。

「ゼンさん、明日、お昼前に差し入れを持って行きますね!」

と言うと

「それは、楽しみですね。」

と、優しく微笑んでくれた。

ーやっぱり、“死んでも”何て…言いそうに見えないけどなぁ??ー











『本来、に居るのは…聖女だったのに。何故…お前が居る?』



寝ていたが、ふと目が覚める。

レフコースは、ベット横に置いてあるクッションの上で丸まって寝ている。

「レフコース…ね? 」

と、撫でながらソッと囁く。



そして──




「なーんだ。気付いてたんだ?ははっ。やっぱり、あんたは面白いね─。」

あの魔法使いが、私の部屋のテラスに、嬉しそうに笑いながら立っていた。


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