巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第六章ー帰還ー

ハルが去った後

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*ゼン*



「あぁ、本当に新たな聖女様は可愛らしい娘ですね?アレなら、彼等が聖女様に惹かれる理由が分かりますね。」



あの娘─聖女は、伯爵以上の見目麗しい令息には、“私はか弱いんです”みたいに、しなだれかかる様に寄り添っている。婚約者でも、あそこまでへばり付く事は無い。
阿呆なお坊ちゃんは、“私に気があるのか?”と、嬉しそうにしている。

ー何とも、事で……ー

気になる─少し心配なのが、。 


「…噂ですか…。“恋に落ちた氷の騎士”でしたか?本当に、事ですね。」

あまりにも急速に広まった噂。


“エディオル=カルザインが、聖女に恋をした”─

ー有り得ないー

確かに、聖女にエディオル様と恋仲になったと思わせる様にしているとは言え…

誰が見ても、聖女が、嫌がるエディオル様にへばり付いているようにしか見えないよな?
恋に落ちたと、噂を広めた奴の頭は、こちらもまた、本当にオツムをしている。

ただ─もし、この噂をハル様が耳にしたら─

ふるふると、軽く頭を振る。

ハル様が、街に出掛けるならば、その噂に注意してくれ─と、ロンには手紙を飛ばしてあるし、エディオル様も、ハル様に手紙を飛ばしているようだから、大丈夫だとは思うが─。返事の手紙一つも寄越さないとは…ロン、帰ったら…教育し直しだな…。

ー!?ー

ふと、部屋に違和感を覚え、視線だけで部屋を見渡す。

ー?何も…ないかー

はぁー…兎に角、早くあの娘とクソ魔法使いの繋がりをハッキリさせて、エディオル様をハル様の元に返さないとな…。

と、まさか、その時の会話をハル様が聞いていたとは知らず、俺は呑気にそんな事を考えていた。











*クレイル*



「だから…あの時“無しだろう”って言ったんだよ。」

何が、王太子を助けてくれた薬師を守る為─だ。言っている事とやらせてる事が真逆なんだよ!これだから、古くて硬い頭の持ち主の貴族院は嫌いなんだ。結局は、国の平穏の為に、その2人が犠牲になっただけじゃないか─。しかも、まだあの魔法使いは見付かってもないし…。

ーハル殿ー

顔を真っ赤にして…エディオルを名前呼びした彼女は…本当に可愛かった…。それと同時に─あぁ、これで、本当に私が2人の間に割り込める事は無くなったんだな─と思った。

ーもともと、割り込む気は無かったけどー

エディオルの、あのハル殿に対する態度や表情は、今迄見た事がない位に嬉そうで、幸せそうだった。

それなのに─

兎に角、一刻も早く、聖女様と魔法使いの繋がりをハッキリさせて、この嫌な流れを切らないと─。

城全体に掛けられた“遮断”の魔術。高度な上に魔力量もかなり必要になる。その上、私達魔導師の誰1人として、その魔術が掛けられている事に気が付かなかった。おそらく、魔法使いの魔力による魔術なんだろう。魔法使いは、我々魔導師や魔術師とは格が違う。本当に、魔法使いと言うのは、敵に回ると厄介な存在だよね─。

─ハル殿は…見付かったのだろうか?
また、あの可愛らしい笑顔に…会えるんだろうか?

いや─。また、あの可愛らしい笑顔を見る為に…あの魔法使いを捕まえて、聖女様も引き摺り落としてやる─。











*ベラトリス*



ハル様が、実は元の世界には還れず、ずっとパルヴァンに居た─。

イリス様からそう聞いた時、私は…喜んでしまいました。そして、一瞬にして自分のそんな思いに嫌気がさしました。
ハル様が、本当に元の世界に還りたがっていた事を知っていたからです─。それなのに、1人だけ還れず取り残されてしまった─きっと、私が想像するよりも辛かったでしょう…。なのに、喜んでしまったのです。



「ハル様が…エディオル=カルザイン様と???」

「うん。実は、エディオルがハル殿にご執心でね?噂を聞いた事はない?“氷の騎士が遂に恋に落ちた”って。アレね、エディオルとハル殿の事だから…。」

ーえ???あのエディオル=カルザイン様…ですわよね?え?ー

「ははっ…キョトンとしたベラも可愛いよねー。まぁ、ベラの言いたい事も分かるけどね?その辺の話は、また今度にして…」


少し─いえ、かなり意味が分からなかったけれど、兎に角、ハル様はこの世界で前に進み出していて、エディオル=カルザイン様がハル様を側で支えている─と、言う事なのですわよね?ならば…良かった─

と、思ったのは一瞬で、そこからイリス様から聞かされたお話は…

「─クソ喰らえですわ!」

な内容でした。

本当に…本当に…貴族院のお堅い頭には、ある意味尊敬すら致します。いえ…お父様もお兄様も…本当に…どうして差し上げましょうか?今回の件が片付いたら…“ご婦人の会”を開くのも良いかもしれませんわね?と、少し悪巧みをしていると─


ーハル様が姿を消したー


そう聞かされた私は、イリス様とサエラが止めるのも無視をして、お父様が居るであろう執務室へと向かった。
















❋お待たせ(?)しました。明日は、いよいよハルの話に戻ります!❋








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