巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について

みん

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第七章ー隣国ー

ノリノリ?

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*時は少し溯って、ハル達が隣国へと転移して来た直後*







ティモスさんと私はピアス、ミヤさんとネージュがブレスレットを身に着けたのを確認してから、隣国へと転移して来た。



そして─


目の前に広がる光景に息を呑んだ。

生死は分からないけど、あちこちに負傷した騎士様らしき人達が倒れていた。1人1人確認する時間はない。かと言って、このまま放置してエディオル様とリュウの元に行くのも出来ない。ならば─

もうすでに死んでしまってる人を生き返らせる事はできないけど、怪我を治す事はできるので、この辺一帯に“癒し”の魔法を振り掛けた。



「ねぇ…こんな広範囲に魔法を掛けるって─」

「あ─はい…普通は無理ですね。」

「だよね…」

『流石は、我が主だ。』

と、何故かネージュは自慢気にニヤリと嗤っている。

ーはい、ミヤさんとティモスさんの会話はスルーします!ー

「ネージュ、今、エディオル様達が何処に居るか分かる?」

そうネージュに訊くと、ネージュは目を瞑り耳をピクピクとさせた。

『──ここを真っ直ぐ奥に行った所に…魔物の気配がする。その近くに騎士と魔法使いが居るな。』

ー魔物!?ー

「ミヤ様、ハル、急いで行った方が良いかもしれない。」

ティモスさんにそう言われ、私達は急いで前へと進んだ。












『ギャア─ッ』

視界が少し開けた所に出た瞬間、何かの悲鳴のような声が聞こえ、声がした方に目をやると─エディオル様が魔物を仕留めたところだった。ホッとしたのも束の間、上空に、また新たに2頭の魔物が現れた。

「ハーピーか…」

と、ティモスさんが呟く。

「ハーピー?」

「アレは…人肉が好物でな。弱ってる人間を見付けては捕食する嫌な魔物だ。その反面、自分より強いと思う相手には手を出さない。まぁ…兎に角、久し振りの大物だよな…」

と、ティモスさんは何故かとても嬉しそうな顔をしている。久し振りに…パルヴァンの騎士の血が騒ぐ!みたいな感じ─なんだろうか?

ー心強いしかないよねー

ミヤさんもが、なんとなく嬉しそうにしているのは─気のせいで良いよね??

「ハル、大丈夫よ!私、少しワクワクしてるだけだから!」

ー気のせいじゃなかったんですね?それに、ミヤさんも私の気持ちが読めるんですね!?ー

『主、大丈夫か?』

「多分大丈夫!ありがとう、ネージュ!」

ミヤさんとティモスさんのお陰?で、私も心に余裕がある。スッと、周りの状況とハーピーを見る。

ハーピーは…どう出て来る?どう出て来るにしても、“逃がす”と言う選択肢だけは無しだ。

「ハル、私とティモスさんは前に出るから、ハルは騎士様達を守ってちょうだい。」

「分かりました。ミヤさん、ブレスレットがありますけど、あまり無茶はしないで下さいね?」

「ふふっ─善処するわ」

と言った時、ハーピーが誰かに狙いを定めたように急降下し出した。






エディオル様よりも前に─エディオル様とハーピーの間に割り込むように転移する。


「“結界”と“防御”の魔法陣、展開します!!!」

「いや!そこは中二病的な詠唱じゃないの!?」

「“チュウニビョウ”は分からないけど、そんな緩い感じな時じゃないですよね!?」

「はい、ティモスさんはあの魔物に集中して!ハルはそのまま防御と結界宜しくね!私も─久し振りに祓いまくるわよ─!」

ーわぁ─ミヤさんとティモスさんがノリノリですー

ハーピーは降下を止め、上空に留まったままだ。その間、ミヤさんは周辺の穢れを祓っていく。その穢れを祓っていく姿は─とても綺麗だ。聖女の力を使っている時のミヤさんは、体から、自身の体を纏う様に金色の光が溢れている。そして、流れるように手を払う度に穢れが消えて行くのだ。


ーこれが…“聖女”なんだー


どんなにチートな魔法使いの私でも、穢れを完璧に消し去る事はできない。聖女様だって、聖女穢れを祓える訳でもない。ミヤさん達が、5年前、どれ程の訓練をして頑張っていたのかを知っている。その成果と結果が─なんだ。

そんな当たり前のようで当たり前ではない事を目の当たりにすると─

ー私、何故、あんなにも聖女─宮下香が怖かったんだろう?ー

あの子は、ここに来て聖女として何をした?何もしていないのに…エディオル様やネージュがあの子に惹かれるなんて事は…有り得ない…よね?
本当に、心の余裕があれば見えてくるモノも広がるんだなぁ─って、今はソレじゃなくて!

思考がズレてしまったのを元に戻し、改めて上空に留まっているハーピーを見る。

上空に留まったままだと、手を出しにくいよね。地上にさえ引き摺り落とせば、ティモスさんやエディオル様が何とかしてくれるよね?逃がすのは以ての外だし。

私は、攻撃魔法は一切使えない。でも、拘束する事はできる。例え、その相手が上空に居ようとも。要は“想像力”なんだ。

「ティモスさん、あの2頭?を拘束しますね。その後の事は、宜しくお願いします。」

“戒め”を込める為に、薔薇特有の棘のある蔦を思い浮かべながら魔力を練っていく。そして、その薔薇の蔦を上へ上へと伸ばして

『ギャア─』

『ギャア─』

2頭のハーピーを拘束して、地上へと引き摺り落とした。














*読んで頂き、ありがとうございます。私事ですみませんが、11月から12月に掛けて、仕事が繁忙期に入り忙しい日々が続いてまして。お話のストックもなかなか進まないので、来月の週末の2話投稿は止めて1話のみの投稿にさせて頂きます。(;><)
何とか、毎日更新だけは頑張ります!!
(っ`・ω・´)っ
宜しくお願いします*






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