巻き込まれではなかった、その先で…

みん

文字の大きさ
22 / 51

22 世間は狹過ぎる?

しおりを挟む
「ハル=カルザインです。」

フワッと微笑むハルさんは、とても可愛らしい人だ。そんなハルさんを、セオ君は、やっぱり優しい目で見ている。

「………」

ツキン─と胸が痛むのは、今は気付かないフリをしておく。

「あ…私は…ヒューゴ=イーレン…です。」
「私……は…イーレン第二王女の…ブルーナ…です。」

「今回、俺がお願いして来てもらったのが、この2人で……そこの護衛は───」

と、リュウさんがセオ君に視線を向けると、セオ君は座ったまま姿勢を正し、私とお兄様に視線を向けた。

「私は、セオドア=カルザインです。ウォーランド王国の第一騎士団に所属していますが、今日は王妃陛下との護衛を兼ねて同行させていただいています。」

王妃陛下と──────

「──────“はは”?????」

軽く……プチパニックである。


“ハル=

“セオドア=


ー“はは”…………“母”!?ー

「母?え?」

いやいや……母って………若くない!?目の前に居るハルさんは、キョトン─とした顔で、私を見たまま小首を傾げている──

ーくっ……可愛い!シルヴィより……可愛い!ー

「リュウさん!先に!説明を!!!」

色々とキャパオーバーになった私は、ウォーランド王国の王妃様が居るのにも関わらず、リュウさんに向かって大声で叫んでしまっていた。







「一体どうなってるんだ………」

リュウさんから始まった話は、とんでもない話に繋がっていた。
リュウさんは、私が身に着けているネックレスが、もともとセオ君の物だと言う事が分かっていたらしく、それを持っている私とは恋仲なんだろうと思ったらしい。ただ、セオ君から恋愛絡みの話を聞いたことがなかったリュウさんは、私をもらうついでに─と、ハルさんを呼ぶ事にしたと。ハルさんを呼べば、私をもらえる事ができるし、もれなく護衛としてセオ君が付いて来るだろうから。
それじゃあ、どこで知り合ったのか─と言う話になると、リュウさんも気になっていたらしく、それはセオ君が説明してくれた。それは、リュウさんにとっても驚きの、日本での出会いだった。しかも──

「え!?美樹と関係があったの!?」

と言って、小南さん夫婦に反応したのは王妃様だった。そう。王妃様と小南さんは友達で、しかも、美樹さんも王妃様と一緒に召喚されてやって来ていた聖女の1人だったのだ。

ー世間って本当に………狭過ぎない?ー



「兎に角──清水しみず渚沙なぎさは…色々とやってくれそうね……。」

ある程度話が落ち着いた頃に、王妃様が声を低くして呟いた。

「ねぇ…リュウ。どうしてマトモな聖女が居ないの?」
「だから、俺に訊かれても…俺は、もう本当に関係ないから!今回召喚したのは、イーレンの第一王女だから!」
「本当に……ニコル王女も懲りないわね……」

「「すみません!」」

王妃様の呟きに、お兄様と私は間髪入れずに謝った。

「2人が謝る事ではないわよ。まぁ…ニコル王女の事は、ハルに任せるわ。」
「ミヤさん、ありがとうございます。」

何故か、お姉様の事はセオ君のお母さんであるハルさんが対処するみたいだけど……大丈夫なんだろうか?
お姉様は、魔力無しの私に遠慮も躊躇いも無く、魔法で攻撃をするような人だ。小柄で小動物なハルさんなんて……危険過ぎる!

「あの…お姉様は……魔法使いですよ?その…大丈夫…なんですか?」

お兄様も同じ事を思っているのだろう。私の言葉にコクコクと頷いて、心配そうな顔をハルさんとリュウさんに向けている。リュウさんだって分かっているだろうし……セオ君も、自分の母親の事が心配ではないんだろうか?

「あー……先ずはそこからだな。」

リュウさんはニッコリ笑った後、魔法で2枚の紙を出現させた。それは、魔法で交わす誓約書だった。今から話す事は極秘扱いであり、それを口外すれば罰を受けると言うものだった。口外しようとした段階で、何かしらの罰が発動する可能性もあるらしい。
お兄様と私は拒否する事なく、書類にサインをした。

「確かに、サインを頂きました。それじゃあ──」と、リュウさんは誓約書をまた魔法で消した後、ニッコリと笑った。

「ハルも魔法使いなんだ。俺が、全く敵う事がない、手も足も出ない程の差がある別格以上の魔法使いなんだ。」

ーハルに手を出せば、ハルが動かなくても……周りが黙っていないだろうけどなー

と言う言葉を、リュウは心の中でだけで呟いた。

「え?ハルさんが……魔法使い?」

お姉様が手も足も出せないリュウさんが、更に手も足も出せない程の……魔法使い??

ーえ?見た目……小動物リスだけど?ー

王妃様とセオ君と順番に視線を向けてみたけど、2人とも否定する事はなく、ニッコリ微笑んで頷くだけだった。










❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(๑ᵒ ᗜ ᵒ)و ̑✧



しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。

聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました

AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」 公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。 死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった! 人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……? 「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」 こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。 一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

母を亡くした公爵令嬢は、虐げられないが、今日も願いが叶わない

春風由実
恋愛
「何故お前が生きた?」 それは怪我をして長く眠っていたエルリカが、目覚めた直後に父親である公爵から掛けられた言葉だった。 「お前こそが、女神の元に行くべきだった!」 父親から強い口調で詰られたエルリカ。 普通の令嬢は、ここで泣くか、その後立ち直れなくなるという。 けれどエルリカは違った。 「あなたこそ、何をのうのうと元気にしているのですか?」 そうしてこの日父娘は、それぞれに絶縁を宣言した。 以来、母方の祖父母に引き取られ、侯爵領で過ごしてきたエルリカ。 ところが公爵は、いつまでもエルリカを除籍する手続きを実行しなかった。 おかげで名ばかりの公爵令嬢のまま、エルリカが王都へと戻る日がやって来てしまう──。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

そんな世界なら滅んでしまえ

キマイラ
恋愛
魔王を倒す勇者パーティーの聖女に選ばれた私は前世の記憶を取り戻した。貞操観念の厳しいこの世界でパーティーの全員と交合せよだなんてありえないことを言われてしまったが絶対お断りである。私が役目をほうきしたくらいで滅ぶ世界なら滅んでしまえばよいのでは? そんなわけで私は魔王に庇護を求めるべく魔界へと旅立った。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

処理中です...