母を亡くした公爵令嬢は、虐げられないが、今日も願いが叶わない

「何故お前が生きた?」

それは怪我をして長く眠っていたエルリカが、目覚めた直後に父親である公爵から掛けられた言葉だった。

「お前こそが、女神の元に行くべきだった!」

父親から強い口調で詰られたエルリカ。
普通の令嬢は、ここで泣くか、その後立ち直れなくなるという。

けれどエルリカは違った。

「あなたこそ、何をのうのうと元気にしているのですか?」

そうしてこの日父娘は、それぞれに絶縁を宣言した。

以来、母方の祖父母に引き取られ、侯爵領で過ごしてきたエルリカ。

ところが公爵は、いつまでもエルリカを除籍する手続きを実行しなかった。
おかげで名ばかりの公爵令嬢のまま、エルリカが王都へと戻る日がやって来てしまう──。
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