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32 フェンリル
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“従の枷に抗っている”─あぁ、だから、シルヴィは一度目は耐えていたのか。
『ハティ如きとは言え、ハティはそれなりの魔獣なのに……このレベルの魔法使いに……やられているのか?』
『…………』
今度は少し呆れたような視線を向けられているシルヴィ。
「うーん……仕方無いかな?その子も、ブルーナ王女と一緒に15年もの間、魔素や魔力とは無縁の生活をしていて、まだ、この世界の魔力と馴染み切ってないから、本来の力の半分も発揮できていないと思う。」
『ふむ。それなら…仕方無いか?』
ーそうだったのかー
この世界に戻って来てから、シルヴィはよく寝ていたけど、魔力が馴染んでいないから、魔力を馴染ませる為に寝ていたのかもしれない──と言うか……ハルさんとフェンリルの間に緊張感が全く無いのは……気のせいかな?
『主、ならば、我はハティを助ければ良いのか?それとも……そこの魔法使いをヤれば良いのか?』
「ネージュ…言い方、おかしいからね?ヤッたら駄目だよね?勿論、ネージュはその子をお願い。ニコル王女は、私に任せて。」
『ふむ…少し残念だが……仕方無い。』
そのフェンリルは、本当に残念そうな目でお姉様を一瞥した後、未だ微動だにしないシルヴィの目の前までゆっくりと歩み寄り、「フッ─」とシルヴィに息を掛けると、シルヴィの首にあった“従の枷”である魔法陣がサラサラと消えて失くなった。
「え?あんなにも…簡単に解除できるモノなの?」
「ブルーナ、深く考えない方が良い。母上と同様に、あのフェンリルもチート級のフェンリルなんだ。」
なるほど…。お互いチート級だから、主従関係を結べたと言う事なんだろう。
ドサッ─と、その場に崩れ落ちたシルヴィの首を、そのフェンリルがカプッと咥えて持ち上げて、私とセオ君の前迄運んで来てくれた。
「シルヴィ!」
『それなりに弱っているが、問題は無い。暫くは寝かせてるやると良い。』
「シルヴィを助けてくれて、ありがとう!」
『ふむ。』
フェンリルはコクリと頷いた後、また犬サイズの大きさに戻り、そのままセオ君の横にチョコンとお座りをして、尻尾をユラユラとさせている。
ー可愛い!ー
「何で……本当に…飼い主が役立たずなら、その魔獣も役立たずね!」
お姉様が、今度はシルヴィに向けて攻撃魔法を放ったけど、その魔法も、そのフェンリルがアッサリと消滅させてしまった。
『ふむ。ここまで弱い魔法使いも……珍しいな?』
お姉様が弱い───イーレンでは、誰一人として、お姉様に敵う魔道士はいないのに。
「一体…どうなっているの!?なら、お前を先に─!」
と、今迄よりも更に大きな魔法を展開させて、今度は目の前に居るハルさんに攻撃を仕掛けた。
「ハルさん!!」
「『大丈夫』」
焦る私とは対象的に、セオ君とそのフェンリルは至って穏やかに冷静にハルさんとお姉様を見ている。
「「───え?」」
思わず声が出たのは、私とお姉様。
お姉様が展開させたのは、大きな渦巻くような攻撃魔法だった。小さいハルさんなら、その渦の中に取り込まれてしまうのでは?と思う程の大きな攻撃魔法。
それに対してのハルさんは………片手を軽く上げただけだった。
そう。片手を軽く上げたのと同時に、お姉様の放った攻撃魔法が一瞬にして消えたのだ。
『我が主は凄いだろう?あの魔法使いの魔法が、見掛け倒しレベルと言う事もあるがな……』
と、そのフェンリルが尻尾を更にユラユラとさせながら、自慢気にハルさんを讃えてお姉様をディスっている。
そのフェンリルが、如何にハルさんの事が好きなのか─が分かる程に、そのフェンリルは嬉しそうにハルさんを見ている。
兎に角、ハルさんは、見た目小動物なのに、チートな魔法使いと言うのは、本当の事のようだ。
「何で……お前のような子供に……私の魔法が………」
お姉様は、誰に何をしても自分の魔法が通じないと分かり、ショックを受けているのか、その場に座り込み俯いている。
「魔法は、他人を傷付ける為に使うモノじゃないから。あなたには、しっかりと反省してもらいます。」
「…………」
流石に、お姉様も、もう反抗する事はないだろう。
ハルさんは、床に座り込んだままのお姉様を暫く見つめた後、「その子は大丈夫?」と、私の腕の中で眠っているシルヴィへと視線を向けた。
『大丈夫。今は疲れて眠っているだけだ。』
「そっか…それじゃあ、取り敢えずここから──」
「───私が……反省すべき事は無いし、罰を受けるつもりも…ないわ!」
「ハルさん!」
ハルさんが私達の方へと歩み寄り、お姉様に背を向けると、お姉様はまだ懲りていなかったようで、今度は魔法ではなく、何処に隠し持っていたのか、ハルさんに向かって短剣を振りかざした。
「お前は、一体……誰に剣を向けているんだ?」
「っ!?」
ハルさんの背中に向かって短剣を振りかざしたお姉様の背後から、そのお姉様の首に剣がピタリ─と当てられて、お姉様はそのまま動きを止めた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
ε٩(๑˃ ᗜ ˂)۶з
『ハティ如きとは言え、ハティはそれなりの魔獣なのに……このレベルの魔法使いに……やられているのか?』
『…………』
今度は少し呆れたような視線を向けられているシルヴィ。
「うーん……仕方無いかな?その子も、ブルーナ王女と一緒に15年もの間、魔素や魔力とは無縁の生活をしていて、まだ、この世界の魔力と馴染み切ってないから、本来の力の半分も発揮できていないと思う。」
『ふむ。それなら…仕方無いか?』
ーそうだったのかー
この世界に戻って来てから、シルヴィはよく寝ていたけど、魔力が馴染んでいないから、魔力を馴染ませる為に寝ていたのかもしれない──と言うか……ハルさんとフェンリルの間に緊張感が全く無いのは……気のせいかな?
『主、ならば、我はハティを助ければ良いのか?それとも……そこの魔法使いをヤれば良いのか?』
「ネージュ…言い方、おかしいからね?ヤッたら駄目だよね?勿論、ネージュはその子をお願い。ニコル王女は、私に任せて。」
『ふむ…少し残念だが……仕方無い。』
そのフェンリルは、本当に残念そうな目でお姉様を一瞥した後、未だ微動だにしないシルヴィの目の前までゆっくりと歩み寄り、「フッ─」とシルヴィに息を掛けると、シルヴィの首にあった“従の枷”である魔法陣がサラサラと消えて失くなった。
「え?あんなにも…簡単に解除できるモノなの?」
「ブルーナ、深く考えない方が良い。母上と同様に、あのフェンリルもチート級のフェンリルなんだ。」
なるほど…。お互いチート級だから、主従関係を結べたと言う事なんだろう。
ドサッ─と、その場に崩れ落ちたシルヴィの首を、そのフェンリルがカプッと咥えて持ち上げて、私とセオ君の前迄運んで来てくれた。
「シルヴィ!」
『それなりに弱っているが、問題は無い。暫くは寝かせてるやると良い。』
「シルヴィを助けてくれて、ありがとう!」
『ふむ。』
フェンリルはコクリと頷いた後、また犬サイズの大きさに戻り、そのままセオ君の横にチョコンとお座りをして、尻尾をユラユラとさせている。
ー可愛い!ー
「何で……本当に…飼い主が役立たずなら、その魔獣も役立たずね!」
お姉様が、今度はシルヴィに向けて攻撃魔法を放ったけど、その魔法も、そのフェンリルがアッサリと消滅させてしまった。
『ふむ。ここまで弱い魔法使いも……珍しいな?』
お姉様が弱い───イーレンでは、誰一人として、お姉様に敵う魔道士はいないのに。
「一体…どうなっているの!?なら、お前を先に─!」
と、今迄よりも更に大きな魔法を展開させて、今度は目の前に居るハルさんに攻撃を仕掛けた。
「ハルさん!!」
「『大丈夫』」
焦る私とは対象的に、セオ君とそのフェンリルは至って穏やかに冷静にハルさんとお姉様を見ている。
「「───え?」」
思わず声が出たのは、私とお姉様。
お姉様が展開させたのは、大きな渦巻くような攻撃魔法だった。小さいハルさんなら、その渦の中に取り込まれてしまうのでは?と思う程の大きな攻撃魔法。
それに対してのハルさんは………片手を軽く上げただけだった。
そう。片手を軽く上げたのと同時に、お姉様の放った攻撃魔法が一瞬にして消えたのだ。
『我が主は凄いだろう?あの魔法使いの魔法が、見掛け倒しレベルと言う事もあるがな……』
と、そのフェンリルが尻尾を更にユラユラとさせながら、自慢気にハルさんを讃えてお姉様をディスっている。
そのフェンリルが、如何にハルさんの事が好きなのか─が分かる程に、そのフェンリルは嬉しそうにハルさんを見ている。
兎に角、ハルさんは、見た目小動物なのに、チートな魔法使いと言うのは、本当の事のようだ。
「何で……お前のような子供に……私の魔法が………」
お姉様は、誰に何をしても自分の魔法が通じないと分かり、ショックを受けているのか、その場に座り込み俯いている。
「魔法は、他人を傷付ける為に使うモノじゃないから。あなたには、しっかりと反省してもらいます。」
「…………」
流石に、お姉様も、もう反抗する事はないだろう。
ハルさんは、床に座り込んだままのお姉様を暫く見つめた後、「その子は大丈夫?」と、私の腕の中で眠っているシルヴィへと視線を向けた。
『大丈夫。今は疲れて眠っているだけだ。』
「そっか…それじゃあ、取り敢えずここから──」
「───私が……反省すべき事は無いし、罰を受けるつもりも…ないわ!」
「ハルさん!」
ハルさんが私達の方へと歩み寄り、お姉様に背を向けると、お姉様はまだ懲りていなかったようで、今度は魔法ではなく、何処に隠し持っていたのか、ハルさんに向かって短剣を振りかざした。
「お前は、一体……誰に剣を向けているんだ?」
「っ!?」
ハルさんの背中に向かって短剣を振りかざしたお姉様の背後から、そのお姉様の首に剣がピタリ─と当てられて、お姉様はそのまま動きを止めた。
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