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33 類は友を呼ぶ
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「お前は、一体……誰に剣を向けているんだ?」
お姉様の首に、ピタリ─と剣が当てられている。
その剣を持っているのは、切れ長の青色の瞳で、銀色の長髪を後ろで一括りにしている騎士だ。
騎士と言っても、イーレンの騎士の服ではない。それに、セオ君にそっくりな顔をしている。否─セオ君が年を重ねれば、こんな感じの顔になるのかな─と思わせる様な顔をしている。
「父上………」
ーやっぱり……ー
その瞳の青色が、セオ君と全く同じ色なのだ。
ただ、違うと言えば……絶対零度を思わせるような、その瞳の冷たさ……だろうか…。お姉様に当てているその剣よりも、体全身から発せられている圧が異常な程に怖ろしい。その圧は、お姉様に向けられていると分かってはいるのに、私もその圧に押されて動く事ができない。息苦しさもあって、息をするのもやっと─と言う感じだ。
「あ………」と、呟いた後、お姉様はその場に崩れ落ちた。どうやら、気を失ったようだ。
「ディ?」
「ハル、大丈夫だったか?」
キョトン─としたハルさんに、セオ君のお父さんが向ける表情は……………
「セオ君……のお父さん……一瞬にして……顔が蕩けたよ?」
「あー…うん。アレ、父上の母上専用の表情なんだ。」
さっきまでの絶対零度な瞳と威圧感はどこへやら…。ハルさんに向ける眼差しは、どこまでも果てしなく優しい。ハルさんも、ニコニコして嬉しそうだ。
「ひゃいっ!?」
「!?」
ほわほわと、セオ君の両親を眺めていると、セオ君のお父さんがハルさんをヒョイッと抱き上げた。
抱き上げられた時に、ハルさんが「ひゃいっ!?」と声を上げて、抱き上げられた後は顔を赤くして焦っている。
「セオ君。ハルさんって……可愛過ぎない?初々し過ぎない?セオ君と妹さんと…2人の子持ちなんだよね?後妻とかじゃないよね?付き合いたての2人とかじゃないよね?」
「あー…うん。あの2人は紛れもなく俺の両親で、いつも通りの2人だな。」
「いつも通り………」
「セオ」
「はい」
ハルさんを抱き上げたまま、セオ君に向けるお父さんの顔は、無表情に近い顔だった。
「私はこのままハルを連れて行くから、お前は、このクズ────第一王女を拘束しておいてくれ。直ぐに、リュウを呼んで来る。罪状が増えたからな…拘束したところで、私達が非難される事はないだろう。ネージュは…どうする?」
『ふむ。主の事は、氷の騎士に任せよう。我は、もう少し…ハティの様子を見る。』
「分かった。なら……後でノアを呼ぶと良い。」
そう言うと、セオ君のお父さんは、顔を真っ赤にしたハルさんを抱き上げたままま、この部屋から出て行った。
ーあれが、リアル“お姫様抱っこ”と言うものだー
「えっと…仲が良いんだね?」
「うん。仲はとても良いね。父上が……母上を好き過ぎるって感じだけどね。」
セオ君が、苦笑しながら気を失って倒れているお姉様を拘束していく。その拘束具は、氷でできた枷だった。
「セオ君って、氷属性の魔法が使えるの?」
「うん。俺は氷属性なんだ。」
氷属性とは、珍しい属性じゃなかっただろうか?まぁ……母親が稀な魔法使いだから……驚くような事でもないのかもしれないけど……。何だか……セオ君の周りには凄い人しか居ないのでは?
“類は友を呼ぶ”─とは、この事だろう。
「セオ、大丈夫か?さっきエディオルと会ったけど……エディオルも相変わらずだな。」と、リュウさんが応接室の扉から入って来た。
「こっちは大丈夫です。第一王女も拘束済みです。父の威圧にやられて、気を失ってしまったようで…どうしますか?」
「ん?あぁ、もう、ソレは王女扱いはしなくて良いから。あのまま、素直に罪を認めていれば、王族籍のまま居られたのにな。」
知らなかった─知ろうともしなかったお姉様が、攻撃魔法を使った相手は、ウォーランド王国の王妃でもある聖女様と、イーレン王国の王太子だ。喩えお姉様が王族であったとしても、罪を逃れる事はできない。
良くて修道院送り。若しくは─父と同じ路を辿るか。
リュウさんは、セオ君がお姉様の両手に嵌めた氷の枷に、更に何かの魔法を刻み込む。
「これで、この馬鹿は魔法を使えなくなる。」
体内に流れている魔力の流れを止める魔法で、それでも、その魔力を使おうとすれば、その魔法は“魔力封じの枷”と同じ様に、その魔力を全て吸収してしまうらしい。魔力持ちが、全ての魔力を喪うと死に至ってしまう為、流石のお姉様も……魔法を使ってどうこうする事は……無い…よね?
「ま、それでも魔法を使うなら使えば良い。その魔法は発動する事はないし、自滅するだけだからな。」
寧ろ、悪足掻きして魔法を使って自滅すれば良い─と言わんばかりに、リュウさんの笑顔は黒い。
「後は……あの聖女がどうするか─だな。」
ある意味後ろ盾が無くなった清水さん。
プライドだけは高い彼女が、おとなしく日本に還る事は…無いかもしれない。
❋誤字報告、ありがとうございます❋
(。>д<。)💦
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(ㅅˊᗜˋ)♡
お姉様の首に、ピタリ─と剣が当てられている。
その剣を持っているのは、切れ長の青色の瞳で、銀色の長髪を後ろで一括りにしている騎士だ。
騎士と言っても、イーレンの騎士の服ではない。それに、セオ君にそっくりな顔をしている。否─セオ君が年を重ねれば、こんな感じの顔になるのかな─と思わせる様な顔をしている。
「父上………」
ーやっぱり……ー
その瞳の青色が、セオ君と全く同じ色なのだ。
ただ、違うと言えば……絶対零度を思わせるような、その瞳の冷たさ……だろうか…。お姉様に当てているその剣よりも、体全身から発せられている圧が異常な程に怖ろしい。その圧は、お姉様に向けられていると分かってはいるのに、私もその圧に押されて動く事ができない。息苦しさもあって、息をするのもやっと─と言う感じだ。
「あ………」と、呟いた後、お姉様はその場に崩れ落ちた。どうやら、気を失ったようだ。
「ディ?」
「ハル、大丈夫だったか?」
キョトン─としたハルさんに、セオ君のお父さんが向ける表情は……………
「セオ君……のお父さん……一瞬にして……顔が蕩けたよ?」
「あー…うん。アレ、父上の母上専用の表情なんだ。」
さっきまでの絶対零度な瞳と威圧感はどこへやら…。ハルさんに向ける眼差しは、どこまでも果てしなく優しい。ハルさんも、ニコニコして嬉しそうだ。
「ひゃいっ!?」
「!?」
ほわほわと、セオ君の両親を眺めていると、セオ君のお父さんがハルさんをヒョイッと抱き上げた。
抱き上げられた時に、ハルさんが「ひゃいっ!?」と声を上げて、抱き上げられた後は顔を赤くして焦っている。
「セオ君。ハルさんって……可愛過ぎない?初々し過ぎない?セオ君と妹さんと…2人の子持ちなんだよね?後妻とかじゃないよね?付き合いたての2人とかじゃないよね?」
「あー…うん。あの2人は紛れもなく俺の両親で、いつも通りの2人だな。」
「いつも通り………」
「セオ」
「はい」
ハルさんを抱き上げたまま、セオ君に向けるお父さんの顔は、無表情に近い顔だった。
「私はこのままハルを連れて行くから、お前は、このクズ────第一王女を拘束しておいてくれ。直ぐに、リュウを呼んで来る。罪状が増えたからな…拘束したところで、私達が非難される事はないだろう。ネージュは…どうする?」
『ふむ。主の事は、氷の騎士に任せよう。我は、もう少し…ハティの様子を見る。』
「分かった。なら……後でノアを呼ぶと良い。」
そう言うと、セオ君のお父さんは、顔を真っ赤にしたハルさんを抱き上げたままま、この部屋から出て行った。
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「えっと…仲が良いんだね?」
「うん。仲はとても良いね。父上が……母上を好き過ぎるって感じだけどね。」
セオ君が、苦笑しながら気を失って倒れているお姉様を拘束していく。その拘束具は、氷でできた枷だった。
「セオ君って、氷属性の魔法が使えるの?」
「うん。俺は氷属性なんだ。」
氷属性とは、珍しい属性じゃなかっただろうか?まぁ……母親が稀な魔法使いだから……驚くような事でもないのかもしれないけど……。何だか……セオ君の周りには凄い人しか居ないのでは?
“類は友を呼ぶ”─とは、この事だろう。
「セオ、大丈夫か?さっきエディオルと会ったけど……エディオルも相変わらずだな。」と、リュウさんが応接室の扉から入って来た。
「こっちは大丈夫です。第一王女も拘束済みです。父の威圧にやられて、気を失ってしまったようで…どうしますか?」
「ん?あぁ、もう、ソレは王女扱いはしなくて良いから。あのまま、素直に罪を認めていれば、王族籍のまま居られたのにな。」
知らなかった─知ろうともしなかったお姉様が、攻撃魔法を使った相手は、ウォーランド王国の王妃でもある聖女様と、イーレン王国の王太子だ。喩えお姉様が王族であったとしても、罪を逃れる事はできない。
良くて修道院送り。若しくは─父と同じ路を辿るか。
リュウさんは、セオ君がお姉様の両手に嵌めた氷の枷に、更に何かの魔法を刻み込む。
「これで、この馬鹿は魔法を使えなくなる。」
体内に流れている魔力の流れを止める魔法で、それでも、その魔力を使おうとすれば、その魔法は“魔力封じの枷”と同じ様に、その魔力を全て吸収してしまうらしい。魔力持ちが、全ての魔力を喪うと死に至ってしまう為、流石のお姉様も……魔法を使ってどうこうする事は……無い…よね?
「ま、それでも魔法を使うなら使えば良い。その魔法は発動する事はないし、自滅するだけだからな。」
寧ろ、悪足掻きして魔法を使って自滅すれば良い─と言わんばかりに、リュウさんの笑顔は黒い。
「後は……あの聖女がどうするか─だな。」
ある意味後ろ盾が無くなった清水さん。
プライドだけは高い彼女が、おとなしく日本に還る事は…無いかもしれない。
❋誤字報告、ありがとうございます❋
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(ㅅˊᗜˋ)♡
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