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34 溺愛
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お姉様の事は、リュウさんと、リュウさんと一緒に戻って来た騎士達に任せて、私はセオ君と一緒に私の部屋へと戻る事になった。
未だに寝ているシルヴィは、セオ君が抱いてくれていて、そのセオ君の後ろをフェンリルが付いて来ている。
「このまま、ネージュも一緒に居ても良いか?」
「勿論!逆に、私の部屋でも大丈夫?」
『馬鹿が居なければ問題無い。』
「「………」」
“馬鹿”とは、お姉様や清水さんの様な人の事だろうか?どうやら、このフェンリルは……毒舌のようだ。
部屋に戻った後、シルヴィはそのまま寝室にある、シルヴィお気に入りのクッションの上に寝かせ、私とセオ君はお茶を飲む事にした。フェンリルは、セオ君の足元でくるんとくるまっている。
ーやっぱり…可愛い!ー
後で、ハルさんに訊いて許可が下りれば……モフモフさせてもらおう。シルヴィのモフモフも良いけど、このフェンリルの方が毛が長くて綺麗なフワフワで……絶対気持ち良いに違いない!
「それにしても……ニコル王女はとんでもない人間だったな……あそこまで話が通じないとは…一体、どんな教育を受けて来たんだ?」
「本当にすみません。私も知らないけど、魔法使いって言うだけで、父からは甘やかされて育ったんだと思う。」
王太子はお兄様で決まってはいたけど、お父様は、魔法使いであるお姉様の事は、兄妹の誰よりも可愛がっていたし、お姉様のする事に口を出した事は一度もなかった。お父様の関心は、全てお姉様に向けられていた。
そのお陰か、お兄様は、お父様からの干渉はあまりなく、優秀な乳母や侍従、侍女を置く事ができ、教育係の先生達もマトモな先生だったと言っていた。
「お姉様って……セオ君と一緒になりたい─なんて言ってたのに……母親であるハルさんの事は、全く知らなかったんだね。」
攻撃して、殺そうとしてたよね?
「まぁ、母上は、社交界には滅多に出ないから、その存在を知ってても、顔は知らないと言う人が殆どかな?それに、母上を見ても、それがハル=カルザインだと結び付かないそうだ。」
“カルザイン”─王族の端くれの私でも耳にした事がある、ウォーランド王国の“武”を象徴する家名だ。
セオ君の祖父は、先代の第一騎士団長で、父が現第二騎士団長で現国王陛下の近衛騎士。セオ君は第一騎士団所属。その中に小動物………。うん。全く結び付かない。ただし、さっきのハルさんを見てしまえば、違和感は消えて無くなった。
「実際は…ハルさんが一番最強…だよね?」
「うん。そうだな。母上が一番最強だな。」
「あ、私、ハルさんにシルヴィの事とかさっきの事でお礼を言いたいんだけど…どこに居るか分かる?」
「あー………多分、母上に充てがわれた部屋だと思うけど……今……今日は…もう母上に会うのは無理かな…」
「え?無理?って…ひょっとして、ハルさん、怪我でもしたの!?大変!医者を────」
「怪我はしてない。それは絶対にないから大丈夫だ!寧ろ、誰も呼ばない方が良いから!」
「はい?」
怪我をしてないなら良いけど…誰も呼ばない方がいいとは?今はまだ夕方前。今日はもう会えないとは?
「父上が、国王陛下と地方の視察に行ってて5日間邸に帰って来れなかったんだ。」
ー視察?5日間?ー
「で、今日父上が帰って来るって言う日の朝に、ミヤ様と母上と俺はイーレンにやって来たんだ。」
ーうんうん。昨日の早朝、転移魔法陣で来てたよねー
「だから、父上が母上と会うのは1週間ぶりなんだ。」
ー“亭主元気で留守が良い”と言うやつだろうか?ー
「父上は…母上の事が……好き過ぎるんだ。」
ーん?ー
「きっと、父上は、母上がイーレンに行っていると聞いて、国王陛下から連休をもぎ取って、その視察帰りにそのままここに転移して来て……それがさっきの登場になったんだと思う。」
ーえ…そんな事…できるの?ん?ー
「えっと…ごめんなさい。それと、ハルさんと今日はもう会えないとは…どう言う関係が?セオ君のお父さんが凄いとしか─────あ……」
「「…………」」
ー“溺愛”とか…言うやつ……だ!ー
「勿論、他国に来ている母上が心配だったからもあるから、直接ここに転移して来たんだろうけど。転移して来てみれば、アレだろう?きっと……父上は……今日はそのまま母上を閉じ込めると思う。」
ーなるほど…“溺愛”だー
「うん。分かった。それじゃあ、お礼は明日にします。うん。えっと…仲が良いのは、良い事だね!私の日本の両親も仲が良くて、その…私も見てて恥ずかしいな…って思う事もあったけど、見てて嬉しくもなったし、私にもそんな未来があればなぁ─って、思ったりした事もあったから。」
「翠も?」
「だって、この世界では政略結婚なんて当たり前の様にあって、私は無能とは言え王族だから、いつかは望まない結婚をさせられるのかな─って。だから、好きな人と結婚できるだけでも幸せだと思うし、愛されて結婚できるなら、更に嬉しい事…じゃない?」
「なるほど…」
「セオ君?」
何故か、真剣な顔をして暫く黙り込むセオ君。
「なら、俺も、翠を甘やかしても良い─と言う事か?」
「ん?何か言った?」
「いや、何も。」
ボソッと、何かを呟いたセオ君の言葉を、ちゃんと聞いておけば良かった─と後悔?する事になるのは、まだまだ先の事だった。
『ふむ。“カルザイン”の愛情は、なんとも重いモノだな?』
と、フェンリルは尻尾をフリフリさせた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
*٩₍๑>ω<๑₎۶
未だに寝ているシルヴィは、セオ君が抱いてくれていて、そのセオ君の後ろをフェンリルが付いて来ている。
「このまま、ネージュも一緒に居ても良いか?」
「勿論!逆に、私の部屋でも大丈夫?」
『馬鹿が居なければ問題無い。』
「「………」」
“馬鹿”とは、お姉様や清水さんの様な人の事だろうか?どうやら、このフェンリルは……毒舌のようだ。
部屋に戻った後、シルヴィはそのまま寝室にある、シルヴィお気に入りのクッションの上に寝かせ、私とセオ君はお茶を飲む事にした。フェンリルは、セオ君の足元でくるんとくるまっている。
ーやっぱり…可愛い!ー
後で、ハルさんに訊いて許可が下りれば……モフモフさせてもらおう。シルヴィのモフモフも良いけど、このフェンリルの方が毛が長くて綺麗なフワフワで……絶対気持ち良いに違いない!
「それにしても……ニコル王女はとんでもない人間だったな……あそこまで話が通じないとは…一体、どんな教育を受けて来たんだ?」
「本当にすみません。私も知らないけど、魔法使いって言うだけで、父からは甘やかされて育ったんだと思う。」
王太子はお兄様で決まってはいたけど、お父様は、魔法使いであるお姉様の事は、兄妹の誰よりも可愛がっていたし、お姉様のする事に口を出した事は一度もなかった。お父様の関心は、全てお姉様に向けられていた。
そのお陰か、お兄様は、お父様からの干渉はあまりなく、優秀な乳母や侍従、侍女を置く事ができ、教育係の先生達もマトモな先生だったと言っていた。
「お姉様って……セオ君と一緒になりたい─なんて言ってたのに……母親であるハルさんの事は、全く知らなかったんだね。」
攻撃して、殺そうとしてたよね?
「まぁ、母上は、社交界には滅多に出ないから、その存在を知ってても、顔は知らないと言う人が殆どかな?それに、母上を見ても、それがハル=カルザインだと結び付かないそうだ。」
“カルザイン”─王族の端くれの私でも耳にした事がある、ウォーランド王国の“武”を象徴する家名だ。
セオ君の祖父は、先代の第一騎士団長で、父が現第二騎士団長で現国王陛下の近衛騎士。セオ君は第一騎士団所属。その中に小動物………。うん。全く結び付かない。ただし、さっきのハルさんを見てしまえば、違和感は消えて無くなった。
「実際は…ハルさんが一番最強…だよね?」
「うん。そうだな。母上が一番最強だな。」
「あ、私、ハルさんにシルヴィの事とかさっきの事でお礼を言いたいんだけど…どこに居るか分かる?」
「あー………多分、母上に充てがわれた部屋だと思うけど……今……今日は…もう母上に会うのは無理かな…」
「え?無理?って…ひょっとして、ハルさん、怪我でもしたの!?大変!医者を────」
「怪我はしてない。それは絶対にないから大丈夫だ!寧ろ、誰も呼ばない方が良いから!」
「はい?」
怪我をしてないなら良いけど…誰も呼ばない方がいいとは?今はまだ夕方前。今日はもう会えないとは?
「父上が、国王陛下と地方の視察に行ってて5日間邸に帰って来れなかったんだ。」
ー視察?5日間?ー
「で、今日父上が帰って来るって言う日の朝に、ミヤ様と母上と俺はイーレンにやって来たんだ。」
ーうんうん。昨日の早朝、転移魔法陣で来てたよねー
「だから、父上が母上と会うのは1週間ぶりなんだ。」
ー“亭主元気で留守が良い”と言うやつだろうか?ー
「父上は…母上の事が……好き過ぎるんだ。」
ーん?ー
「きっと、父上は、母上がイーレンに行っていると聞いて、国王陛下から連休をもぎ取って、その視察帰りにそのままここに転移して来て……それがさっきの登場になったんだと思う。」
ーえ…そんな事…できるの?ん?ー
「えっと…ごめんなさい。それと、ハルさんと今日はもう会えないとは…どう言う関係が?セオ君のお父さんが凄いとしか─────あ……」
「「…………」」
ー“溺愛”とか…言うやつ……だ!ー
「勿論、他国に来ている母上が心配だったからもあるから、直接ここに転移して来たんだろうけど。転移して来てみれば、アレだろう?きっと……父上は……今日はそのまま母上を閉じ込めると思う。」
ーなるほど…“溺愛”だー
「うん。分かった。それじゃあ、お礼は明日にします。うん。えっと…仲が良いのは、良い事だね!私の日本の両親も仲が良くて、その…私も見てて恥ずかしいな…って思う事もあったけど、見てて嬉しくもなったし、私にもそんな未来があればなぁ─って、思ったりした事もあったから。」
「翠も?」
「だって、この世界では政略結婚なんて当たり前の様にあって、私は無能とは言え王族だから、いつかは望まない結婚をさせられるのかな─って。だから、好きな人と結婚できるだけでも幸せだと思うし、愛されて結婚できるなら、更に嬉しい事…じゃない?」
「なるほど…」
「セオ君?」
何故か、真剣な顔をして暫く黙り込むセオ君。
「なら、俺も、翠を甘やかしても良い─と言う事か?」
「ん?何か言った?」
「いや、何も。」
ボソッと、何かを呟いたセオ君の言葉を、ちゃんと聞いておけば良かった─と後悔?する事になるのは、まだまだ先の事だった。
『ふむ。“カルザイン”の愛情は、なんとも重いモノだな?』
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❋エールを頂き、ありがとうございます❋
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