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35 チートな魔法使い
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ハルさんに会えたのは、セオ君の予想通り、翌日の昼食を終えた後だった。
そのハルさんは、顔を少し赤くしながら「昨日、直ぐに来れなくてごめんね?えっと…シルヴィは起きてる?」と言いながら、私の部屋にやって来てくれた。
居た堪れない!─と言った感じなんだろう。本当に、成人した2人の親なんだろうか?もう、可愛いしかないハルさん。
『母上の周りには過保護しかいないから、今回の事も……周りを落ち着かせる事の方が大変だと思う。』
と、遠い目をしていたセオ君だけど、過保護になる気持ちも分からなくもない。既に、こんな無能な私でさて、「ハルさんを守らなければ!」と、思ってしまうのだから──は、置いといて…。
「はい、本当についさっき、目が覚めたところで、フェンリルが側に居てくれています。」
「フェンリル?あ、ネージュね?ネージュがフェンリルだって事、忘れかけてた。」
えへっ─と笑うのが似合うアラフィフは、ハルさんだけだと思う。
そのハルさんを、シルヴィとフェンリルの居る寝室へと案内すると、そのフェンリルは嬉しそうにハルさんに駆け寄り、今はハルさんに撫でられるがままになっている。シルヴィに至っては、寝起きにも関わらず、何故かビシッ─と背筋を綺麗に伸ばしてお座りをしている。なんとなく緊張している様にも見えるのは、やっぱり、伝説級の魔獣、フェンリルが同じ部屋に居るからだろうか?
ハルさんは、一頻りフェンリルを撫で倒した後、「あ、ごめんなさい!」と言って、慌ててシルヴィの元へと駆け寄り、「撫でても良い?」とシルヴィに一言声を掛けてから、シルヴィを撫で始めた。
撫でられているシルヴィは─と言うと、相変わらず背筋をビシッと綺麗に伸ばしたまま、微動だにせずジッとしている。
「?」
それ程迄に、このフェンリルに緊張しているんだろうか?チラリと、私の横に居るフェンリルを見ると、そのフェンリルは愉快そうな目をしてハルさんとシルヴィを見ている。
「うーん…やっぱり、まだ魔力が馴染んでない感じだね。大丈夫?」
「うん。15年だからね……うんうん。それだともっと時間が掛かると思うよ?もともと、イーレンには魔素が少ないみたいだし…。うん。だね。」
ーん?ー
「うん。シルヴィが良いなら、してあげるよ?」
ーんん??ー
「してみる?」
「……えっと……フェンリル…さん?」
『ん?我の事か?我が名は“ネージュ”だ。お前は“小さき騎士”の番となる者であろう?ならば、我が名を呼ぶ事を許すぞ?』
“小さき騎士”とか“番”とか、色々と訊きたい事もあるけど、今は取り敢えず───
「じゃあ…ネージュさん。あの…ひょっとして、ハルさんって、シルヴィと会話してますか?」
『しているな。』
ーマジか…ー
いや、知ってた。ハルさんがチートだって知ってた。
不思議だった。どうしてシルヴィも私と一緒に日本に行っていた事を知っていたのか。私をずっと護ってくれていた魔獣だと知っていたのか。
きっと、シルヴィが“従の枷”の力に抗いながら、ハルさんと会話していたからだ。
「ハルさんは…本当に凄いんですね。」
『あぁ、主は本当に凄いだろう?』
ふふん─と、得意気に口角を上げて笑っているネージュさん──の尻尾が異常な程に振られている。“自分の主が褒められて嬉しい”と言ったところだろう。
「名を交わさないと…会話はできないんでしょうか?」
『我が主は例外として、名を交わせば会話はできるな。ただ、お前の魔力は少ない上珍しい故、ハティと名を交わすのは難しいだろうな。』
魔力の相性もあるけど、名を交わすには、お互いの魔力が同等に近ければ近い程良いらしい。私の魔力は少なく、シルヴィは魔力が馴染んで落ち着けば、それなりの魔力量と大きさなんだそうだ。
『後で主に相談してみれば良い。名を交わすのは無理でも、何か方法があるかも知れぬぞ?』
「はい。後で…相談してみます。」
何となく、ハルさんならできそうだなぁ─と思いながら、私はハルさんとシルヴィのやり取りを見つめていた。
******
「一気に魔力の流れを戻せば、その分負担も大きくなるから、3日ほど掛けて馴染ませる事にしたの。」
と、ニッコリと笑いながら説明してくれたのはハルさん。
「と言う事は、最低3日はここに居ると言う事か?」
「そうなりますね。」
そのハルさんの答えに、眉間に皺を寄せているのは、セオ君の父であるエディオル=カルザインさんだ。
きっと、すぐにでもウォーランド王国に連れて帰るつもりだったんだろう。
「なら、俺も残る。」
「え?ディ、仕事は?まぁ、ここからでも行ける事は行けるけど。」
「大丈夫だ。ランバルトから1週間の休みをもらってあるから。」
「“もぎ取った”の間違いだろう……」と呟いたのはリュウさんだ。
シルヴィの治療が終わった頃、丁度良いタイミングでリュウさんとエディオルさんとセオ君がやって来た。
やって来た理由は、清水さんを含めてこれからどうするのかを話し合う為、ハルさんと私を迎えに来たと言う事だった。
「聖女が、吉岡翠とも話がしたいと言っているらしい。」
「………」
どうやら、やっぱり……おとなしく日本に還るつもりはないようだ。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(ˊ∀ˋ*)ꕤ*.゚
そのハルさんは、顔を少し赤くしながら「昨日、直ぐに来れなくてごめんね?えっと…シルヴィは起きてる?」と言いながら、私の部屋にやって来てくれた。
居た堪れない!─と言った感じなんだろう。本当に、成人した2人の親なんだろうか?もう、可愛いしかないハルさん。
『母上の周りには過保護しかいないから、今回の事も……周りを落ち着かせる事の方が大変だと思う。』
と、遠い目をしていたセオ君だけど、過保護になる気持ちも分からなくもない。既に、こんな無能な私でさて、「ハルさんを守らなければ!」と、思ってしまうのだから──は、置いといて…。
「はい、本当についさっき、目が覚めたところで、フェンリルが側に居てくれています。」
「フェンリル?あ、ネージュね?ネージュがフェンリルだって事、忘れかけてた。」
えへっ─と笑うのが似合うアラフィフは、ハルさんだけだと思う。
そのハルさんを、シルヴィとフェンリルの居る寝室へと案内すると、そのフェンリルは嬉しそうにハルさんに駆け寄り、今はハルさんに撫でられるがままになっている。シルヴィに至っては、寝起きにも関わらず、何故かビシッ─と背筋を綺麗に伸ばしてお座りをしている。なんとなく緊張している様にも見えるのは、やっぱり、伝説級の魔獣、フェンリルが同じ部屋に居るからだろうか?
ハルさんは、一頻りフェンリルを撫で倒した後、「あ、ごめんなさい!」と言って、慌ててシルヴィの元へと駆け寄り、「撫でても良い?」とシルヴィに一言声を掛けてから、シルヴィを撫で始めた。
撫でられているシルヴィは─と言うと、相変わらず背筋をビシッと綺麗に伸ばしたまま、微動だにせずジッとしている。
「?」
それ程迄に、このフェンリルに緊張しているんだろうか?チラリと、私の横に居るフェンリルを見ると、そのフェンリルは愉快そうな目をしてハルさんとシルヴィを見ている。
「うーん…やっぱり、まだ魔力が馴染んでない感じだね。大丈夫?」
「うん。15年だからね……うんうん。それだともっと時間が掛かると思うよ?もともと、イーレンには魔素が少ないみたいだし…。うん。だね。」
ーん?ー
「うん。シルヴィが良いなら、してあげるよ?」
ーんん??ー
「してみる?」
「……えっと……フェンリル…さん?」
『ん?我の事か?我が名は“ネージュ”だ。お前は“小さき騎士”の番となる者であろう?ならば、我が名を呼ぶ事を許すぞ?』
“小さき騎士”とか“番”とか、色々と訊きたい事もあるけど、今は取り敢えず───
「じゃあ…ネージュさん。あの…ひょっとして、ハルさんって、シルヴィと会話してますか?」
『しているな。』
ーマジか…ー
いや、知ってた。ハルさんがチートだって知ってた。
不思議だった。どうしてシルヴィも私と一緒に日本に行っていた事を知っていたのか。私をずっと護ってくれていた魔獣だと知っていたのか。
きっと、シルヴィが“従の枷”の力に抗いながら、ハルさんと会話していたからだ。
「ハルさんは…本当に凄いんですね。」
『あぁ、主は本当に凄いだろう?』
ふふん─と、得意気に口角を上げて笑っているネージュさん──の尻尾が異常な程に振られている。“自分の主が褒められて嬉しい”と言ったところだろう。
「名を交わさないと…会話はできないんでしょうか?」
『我が主は例外として、名を交わせば会話はできるな。ただ、お前の魔力は少ない上珍しい故、ハティと名を交わすのは難しいだろうな。』
魔力の相性もあるけど、名を交わすには、お互いの魔力が同等に近ければ近い程良いらしい。私の魔力は少なく、シルヴィは魔力が馴染んで落ち着けば、それなりの魔力量と大きさなんだそうだ。
『後で主に相談してみれば良い。名を交わすのは無理でも、何か方法があるかも知れぬぞ?』
「はい。後で…相談してみます。」
何となく、ハルさんならできそうだなぁ─と思いながら、私はハルさんとシルヴィのやり取りを見つめていた。
******
「一気に魔力の流れを戻せば、その分負担も大きくなるから、3日ほど掛けて馴染ませる事にしたの。」
と、ニッコリと笑いながら説明してくれたのはハルさん。
「と言う事は、最低3日はここに居ると言う事か?」
「そうなりますね。」
そのハルさんの答えに、眉間に皺を寄せているのは、セオ君の父であるエディオル=カルザインさんだ。
きっと、すぐにでもウォーランド王国に連れて帰るつもりだったんだろう。
「なら、俺も残る。」
「え?ディ、仕事は?まぁ、ここからでも行ける事は行けるけど。」
「大丈夫だ。ランバルトから1週間の休みをもらってあるから。」
「“もぎ取った”の間違いだろう……」と呟いたのはリュウさんだ。
シルヴィの治療が終わった頃、丁度良いタイミングでリュウさんとエディオルさんとセオ君がやって来た。
やって来た理由は、清水さんを含めてこれからどうするのかを話し合う為、ハルさんと私を迎えに来たと言う事だった。
「聖女が、吉岡翠とも話がしたいと言っているらしい。」
「………」
どうやら、やっぱり……おとなしく日本に還るつもりはないようだ。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(ˊ∀ˋ*)ꕤ*.゚
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