9 / 179
第9話 【ゴブリンたちのはじめての休日!社畜式ホワイト革命】
しおりを挟む都市での営業成功から数日後、、
ミサトはゴブ次郎たちゴブリン部隊を呼び集めた。
「は~い、みんな集合!今日は“お休み”です!」
「お休み……?」
「お休みって…仕事じゃないのか?今日はパンコネないのか??」
ゴブリンたちはポカンとした顔で見合わせる。
「あれ~?もっと狂喜乱舞して喜ぶと思ってたんだけど……もしかして、ゴブたち、“休む”って概念が無いのかい??」
「えっ?そりゃあ……今まで“働かなくてもいい時間”なんて、考えたこともなかったからなぁ…休んでたら飯食えなかったし…」
「……やっぱり、どぎついブラック環境出身か……」
ミサトは頭を抱えた。
この異世界でも“労働者が休む”という意識はまだまだ低いらしい。
「いいかい、ゴブたち、休むのも仕事のうちなんだよ」
「「「ふぁっ!?」」」
「働き詰めでボロボロになっても、良い仕事はできない。むしろ怪我につながるんだ。
“休息”を取って、リフレッシュして、また元気に働く、、それが“ホワイト職場”ってやつだよ!」
「ボス、、……なんかそれ、すっげー贅沢な響きがするよ!!」
「贅沢でいいんだよ!あとでちゃんと有給もあげるから、ブラックに魂売っちゃダメだよ!」
◇◇◇
こうして、ゴブリンたちにとって“人生初の休日”が始まった。
村の広場では、ゴブリンたちが思い思いに時間を使っている。
「おぉぉい、見ろよ、これが“昼寝”ってやつか?
うっひゃー!なんてお日様が気持ちいいんだぁ~!」
「エルナちゃん、オレにも“編み物”教えてくれよ!」
「ゴブ次郎君、パン作りじゃなく“釣り”ってのも楽しいぞ!」
ミサトはその様子をベンチに座って眺めていた。
「うん!いいねぇ~……これだよ、これこれっ!
本来、働くってのは“ちゃんと休める”から頑張れるんだよ。休みに贅沢したいから働く。これでいいんだよ!」
『はい。ミサト。ミサトの労働理念、着実に浸透しています』
「これをさ、都市でも広めたいよね~。
働き詰めで潰れる職人や、搾取される労働者を一人でも減らすために」
ふと、ゴブ次郎が麦茶のジョッキを手にやってきた。
「ボス。オレたち……“休む”ってのがこんなに幸せなことだとは思わなかった。
こりゃ、働くのも楽しくなるわけだ」
「そうでしょ~?休みの日は“好きに過ごす”んだよ」
「じゃあさ……次の休み、オレたちで“ゴブリン料理大会”とかやっちゃってもいいかい?」
「うん!もちろん大歓迎!経費から材料費出すよ!」
ゴブリンたちは満面の笑みを浮かべた。
◇◇◇
昼下がり、、
村の広場ではゴブリンたちが“人間の村人たち”と一緒に遊んでいた。
「おい!じいさん、これが“編み棒”か。オレにも貸してくれよ!」
「おう、ゴブ次郎君、お前さんは力加減が難しそうだが、まぁやってみんさい!」
「よーし、見てろよ、オレの手仕事!」
隣では、エルナが子供たちと“石投げ遊び”をしている。
「エルナちゃん、ゴブ蔵たち、石投げ上手くなったよ!」
「えへへ、そう。ミサトさんに“遊びも全力”って教わってたからね!」
ミサトはその光景を見て、心の中でガッツポーズ。
「よ~しよし、労働だけじゃなく、“地域交流”も大事。現場と地域の信頼はセットで築くのが鉄則だからね!」
その瞬間、耳元に“リリィの声”が聞こえた。
『はい。ミサト。さすが“社畜式地域振興プロジェクト”担当。村民アンケートでも好感度は急上昇です』
「リリィ、それ“社畜”に何でも冠つければいいってもんじゃないからね?」
『はい。ミサト。では、“社畜式お昼寝タイム”でも推進しますか?』
「あははっ!それいいね~♪むしろゴブ次郎が今、全力でお昼寝をしようとしてるんだけど……あれはホワイト職場の鑑だよ」
『はい。ミサト。人類史に残る“働かせ方改革”ですね。ゴブリン版の、、。後でゴブリン取扱説明書に載せましょう』
ミサトが肩を揺らして笑っていると、村の老婆が話しかけてきた。
「ミサトさんよ、ゴブリンたちが変わったのはあんたのおかげだねぇ」
「いえいえ、彼らが頑張ったからなんですよ。
私はちょっと“お節介なマネージャー”しただけです」
「へぇ……立派な若者だこと。
この村じゃ“休む”なんて贅沢なこと、誰も考えたことがなかったよ」
「これからは“しっかり働いて、しっかり休む”。
それが“うまく回る村”の秘訣ですよ」
老婆は目を細めた。
「いいねぇ。あんたに次の村長の座、譲りたくなるよ」
「いやいや…それは勘弁してください!」
『はい。ミサト。ミサトを村長候補リストに追加登録しました』
「ふぁっ?!勝手に登録するなぁぁ!!」
◇◇◇
その日の夕暮れ、、
ミサトはゴブ次郎たちと並んでベンチに座っていた。
「オレたちってさ、今まで“生きるために働く”だけだったけどさ、“楽しく生きるために働く”のもアリだなって、今日初めて思ったよ」
「あははっ!それが本当の働き方なんだって、ゴブ次郎」
『はい。ミサト。ホワイト職場伝説、異世界でも展開中』
「はは、……なんか私、“とんでもない異世界改革”しちゃってる?」
『はい。ミサト。次は“異世界労基署”を作りますか?』
「あははっ!リリィ、それ、真面目に考えてたんだよね……」
ミサトとゴブ次郎、そしてリリィの掛け合いは、夕焼けの空に溶けていった。
その日の夜、、
ゴブリンたちは“休んだ分だけ、明日はしっかり働こう”と誓っていた。
『はい。ミサト。ホワイト労働革命ミッション進行中です』
「異世界でもブラック企業をぶっ壊す……
私の“異世界社畜リベンジ”はまだまだこれからだね!」
ミサトの瞳には、次なる目標、、
“都市のブラック商会打倒”への炎が宿っていた。
続
31
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!
たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。
途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。
鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒!
素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。
裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!
神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~
於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。
現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!
の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては……
(カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています)
(イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
竜の国のカイラ~前世は、精霊王の愛し子だったんですが、異世界に転生して聖女の騎士になりました~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
辺境で暮らす孤児のカイラは、人には見えないものが見えるために悪魔つき(カイラ)と呼ばれている。
同じ日に拾われた孤児の美少女ルイーズといつも比較されていた。
16歳のとき、神見の儀で炎の神の守護を持つと言われたルイーズに比べて、なんの神の守護も持たないカイラは、ますます肩身が狭くなる。
そんなある日、魔物の住む森に使いに出されたカイラは、魔物の群れに教われている人々に遭遇する。
カイラは、命がけで人々を助けるが重傷を負う。
死に瀕してカイラは、自分が前世で異世界の精霊王の姫であったことを思い出す。
エブリスタにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる