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第10話 【社畜式プレゼンバトル!ブラック商会への宣戦布告】
しおりを挟む「ボスっ!大変だよ~!」
朝の村、、
ゴブ次郎が青ざめた顔で駆け込んできた。
「トーレル商会から連絡がきた!
カンザ商会の奴らが“うちの商品に難癖つけて”営業妨害してきやがったみたいだ!」
『はい。ミサト。内容確認。“ふわもち蜂蜜パンはゴブリンが作っているから品質が劣る”と中傷されているようです』
「あちゃ~…やっぱりね……きたか、“ブラック商会”の常套手段ってやつね」
カンザ商会、、
長年、都市の“村パン市場”を牛耳っていた既得権益商会。
新規参入者が出るたびに、悪質な妨害や中傷で潰してきたという。
「うっふっふ!でも、今度ばかりは好きにさせないよ。 相手が悪かったね~☆“元ブラック企業魂”で正面突破してやる!」
「ボス。オレたち、ボスが言ったこと、全部現場で実践してきた。
ボスが胸を張ってプレゼンすりゃ、オレたちの仕事も胸を張れるんだ!頑張ってくれっ!」
ミサトは少しだけ目を細め、ゴブ次郎の肩をポンと叩いた。
「ありがとう……絶対に通すよ!
うちの社員馬鹿にしてタダで済むと思うなよ…!」
ミサトは拳を握り、トーレル商会に向かって行った。
◇◇◇
午後、、トーレル商会本店の商談室。
カイルとカンザ商会幹部・ドランが睨み合っていた。
「うちが扱う商品にケチをつけるとは、随分強気じゃないか?ドラン?」
「いえいえ…私共は事実を申し上げただけです。
“ゴブリンが作った商品”など、気持ち悪くて消費者は不安に思いますからなぁ…はははっ」
その瞬間、会議室のドアが勢いよく開いた。
「失礼しま~す。“蜂蜜パン事業部主任”のミサトで~す!」
「てめぇか?……新参者が、生意気な!」
ドランが毒気を飛ばすが、ミサトはニッコリ笑って返した。
、、ミサトの心の中では、昔の自分が蘇っていた。
“根性が足りない”
“数字が悪いのはお前のせいだ”
“替えはいくらでもいる”
ブラック企業社畜時代、毎日のように言われ続けた罵倒の数々。
「あはは、、嫌なの思いだしちゃったな……
でもね、今度は違う。今度こそ、私が“数字”で叩き潰す番だから☆!」
『はい。ミサト。プレゼン資料、戦闘態勢に入ります』
リリィのサポートのもと、ミサトは堂々と“社畜式プレゼン”を開始した。
◇◇◇
「まず、問題になってる“ふわもち蜂蜜パン”の品質維持工程ですが、、
私共の村ではゴブ次郎を主任に据えた“工程管理システム”により、ミス発生率は旧村パンの1/10にまで低減しています」
「は?はっ?ゴブリンに管理業務ができるか!」
「はい。できます。うちの現場で“報・連・相”が徹底されてますから。
むしろカンザさんとこの“ブラック現場”のほうがミスが多いんじゃないんですか?」
「そして、次に、顧客満足度調査。
試食販売イベントでのリピート率、、
うちの商品は85%。
カンザ商会の既存パンは……58%。
ふふっ、数字は正直ですね!」
ドランが顔を真っ赤にする。
『はい。ミサト。効いてます、効いてます。一気にいけます』
会議室にざわめきが走った。
最初は冷笑していた商人たちの顔が、徐々に真剣に変わっていく。
「あっ?そういえばなんか思い出しちゃいました…。
カンザ商会の下っ端さんが配送中にうちの荷台にちょっかい掛けてきた件がありましたねぇ?」
「……なっ……」
「“おっと、足が滑った~”とか言いながら荷車を蹴飛ばして、車輪を壊して帰っていった“腕利きの現場マン”が御社にはいたらしいですね~?
でもウチのゴブ次郎主任が現場判断で即座に修理対応しちゃったんですけど……
あれって、御社の“教育方針”なんですか?
まっ、うちとしてもあれは事故ということで片付けるつもりですけど…!」
会議室がシーンと静まり返る。
「ゴブリン以下の“現場対応力”って、結構致命的ですよね??
あの時の我が社は現場主任のゴブ次郎が、“止まらない現場”を見せつけてくれましたからね~」
「て、てめぇ……」
『はい。ミサト。クリーンヒット。痛快です、ミサト。現場対応能力のマウンティング、成功しました』
「何より、“現場で働く者を大事にしない企業”の商品なんて、誰が信用するんでしょうね?」
ドランが口を開こうとするが、その言葉をカイルが手を翳して一蹴し、ミサトに続けさせた。
「最後に、、
うちのゴブリン社員たちは、“休日制度”と“適正賃金”を保証された“ホワイト企業”の労働者です。
彼らは誇りを持って働いてます!!
ブラック企業の安売りパンとは違います!
今度うちの社員を侮辱したら、、
“わかってますよね”……?」
またドランが口を開こうとする前に、、
カイルが腕を組んで言い放った。
「ドラン、カンザ商会の上に言っておけ。
“市場は時代と共に変わる”とな。
今後の契約は“蜂蜜パン事業部”優先で行くとな!」
「ぐぬぬっ!貴様ら……覚えてろよ!」
捨て台詞を吐き、ドランは会議室を去った。
ミサトは微笑み、、
「あはは、捨て台詞まで悪党だな~」
◇◇◇
「ボス~!すっげぇよ……正面突破で黙らせちまった」
「社畜は“数字と実績”で相手を叩き潰すのが基本だからね!」
『はい。ミサト。ミサトのプレゼン力、異世界トップクラスです』
カイルがニヤリと笑う。
「あっはっは!お前ら……トーレル商会に正式雇用するのもアリだな」
「いいえ、私たちは“独立系企業”で行きます。 “ホワイトな会社”を広めたいんで!」
カイルは豪快に笑った。
「あははっ!面白い女だ。好きに暴れてみろよ! どこまで行くのか楽しみだよ!」
ミサトの異世界ホワイト革命は、まだ始まったばかりだった。
続
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