【三章完結しました】チートは無いけどAIがある!社畜OLの異世界立身出世録

星 見人

文字の大きさ
10 / 179

第10話 【社畜式プレゼンバトル!ブラック商会への宣戦布告】

しおりを挟む

 「ボスっ!大変だよ~!」

 朝の村、、
 ゴブ次郎が青ざめた顔で駆け込んできた。

「トーレル商会から連絡がきた!
 カンザ商会の奴らが“うちの商品に難癖つけて”営業妨害してきやがったみたいだ!」

『はい。ミサト。内容確認。“ふわもち蜂蜜パンはゴブリンが作っているから品質が劣る”と中傷されているようです』

「あちゃ~…やっぱりね……きたか、“ブラック商会”の常套手段ってやつね」

 カンザ商会、、
 長年、都市の“村パン市場”を牛耳っていた既得権益商会。
 新規参入者が出るたびに、悪質な妨害や中傷で潰してきたという。

「うっふっふ!でも、今度ばかりは好きにさせないよ。 相手が悪かったね~☆“元ブラック企業魂”で正面突破してやる!」

「ボス。オレたち、ボスが言ったこと、全部現場で実践してきた。
 ボスが胸を張ってプレゼンすりゃ、オレたちの仕事も胸を張れるんだ!頑張ってくれっ!」
 ミサトは少しだけ目を細め、ゴブ次郎の肩をポンと叩いた。

「ありがとう……絶対に通すよ!
 うちの社員馬鹿にしてタダで済むと思うなよ…!」
 ミサトは拳を握り、トーレル商会に向かって行った。

◇◇◇

 午後、、トーレル商会本店の商談室。
 カイルとカンザ商会幹部・ドランが睨み合っていた。

「うちが扱う商品にケチをつけるとは、随分強気じゃないか?ドラン?」
「いえいえ…私共は事実を申し上げただけです。
 “ゴブリンが作った商品”など、気持ち悪くて消費者は不安に思いますからなぁ…はははっ」

 その瞬間、会議室のドアが勢いよく開いた。

「失礼しま~す。“蜂蜜パン事業部主任”のミサトで~す!」
「てめぇか?……新参者が、生意気な!」
 ドランが毒気を飛ばすが、ミサトはニッコリ笑って返した。

 、、ミサトの心の中では、昔の自分が蘇っていた。

 “根性が足りない”
 “数字が悪いのはお前のせいだ”
 “替えはいくらでもいる”

 ブラック企業社畜時代、毎日のように言われ続けた罵倒の数々。

「あはは、、嫌なの思いだしちゃったな……
 でもね、今度は違う。今度こそ、私が“数字”で叩き潰す番だから☆!」
『はい。ミサト。プレゼン資料、戦闘態勢に入ります』

 リリィのサポートのもと、ミサトは堂々と“社畜式プレゼン”を開始した。

◇◇◇

「まず、問題になってる“ふわもち蜂蜜パン”の品質維持工程ですが、、
 私共の村ではゴブ次郎を主任に据えた“工程管理システム”により、ミス発生率は旧村パンの1/10にまで低減しています」

「は?はっ?ゴブリンに管理業務ができるか!」

「はい。できます。うちの現場で“報・連・相”が徹底されてますから。
 むしろカンザさんとこの“ブラック現場”のほうがミスが多いんじゃないんですか?」

「そして、次に、顧客満足度調査。
 試食販売イベントでのリピート率、、
 うちの商品は85%。
 カンザ商会の既存パンは……58%。
 ふふっ、数字は正直ですね!」

 ドランが顔を真っ赤にする。

『はい。ミサト。効いてます、効いてます。一気にいけます』

 会議室にざわめきが走った。
 最初は冷笑していた商人たちの顔が、徐々に真剣に変わっていく。

「あっ?そういえばなんか思い出しちゃいました…。
 カンザ商会の下っ端さんが配送中にうちの荷台にちょっかい掛けてきた件がありましたねぇ?」

「……なっ……」

「“おっと、足が滑った~”とか言いながら荷車を蹴飛ばして、車輪を壊して帰っていった“腕利きの現場マン”が御社にはいたらしいですね~?
 でもウチのゴブ次郎主任が現場判断で即座に修理対応しちゃったんですけど……
 あれって、御社の“教育方針”なんですか?
 まっ、うちとしてもあれは事故ということで片付けるつもりですけど…!」

 会議室がシーンと静まり返る。

「ゴブリン以下の“現場対応力”って、結構致命的ですよね??
 あの時の我が社は現場主任のゴブ次郎が、“止まらない現場”を見せつけてくれましたからね~」

「て、てめぇ……」

『はい。ミサト。クリーンヒット。痛快です、ミサト。現場対応能力のマウンティング、成功しました』

「何より、“現場で働く者を大事にしない企業”の商品なんて、誰が信用するんでしょうね?」
 ドランが口を開こうとするが、その言葉をカイルが手を翳して一蹴し、ミサトに続けさせた。

「最後に、、
 うちのゴブリン社員たちは、“休日制度”と“適正賃金”を保証された“ホワイト企業”の労働者です。
 彼らは誇りを持って働いてます!!
 ブラック企業の安売りパンとは違います!
 今度うちの社員を侮辱したら、、
 “わかってますよね”……?」
 
 またドランが口を開こうとする前に、、
 カイルが腕を組んで言い放った。
「ドラン、カンザ商会の上に言っておけ。
 “市場は時代と共に変わる”とな。
 今後の契約は“蜂蜜パン事業部”優先で行くとな!」

「ぐぬぬっ!貴様ら……覚えてろよ!」
 捨て台詞を吐き、ドランは会議室を去った。

 ミサトは微笑み、、
「あはは、捨て台詞まで悪党だな~」

◇◇◇

「ボス~!すっげぇよ……正面突破で黙らせちまった」
「社畜は“数字と実績”で相手を叩き潰すのが基本だからね!」
『はい。ミサト。ミサトのプレゼン力、異世界トップクラスです』

 カイルがニヤリと笑う。

「あっはっは!お前ら……トーレル商会に正式雇用するのもアリだな」
「いいえ、私たちは“独立系企業”で行きます。 “ホワイトな会社”を広めたいんで!」

 カイルは豪快に笑った。

「あははっ!面白い女だ。好きに暴れてみろよ! どこまで行くのか楽しみだよ!」

 ミサトの異世界ホワイト革命は、まだ始まったばかりだった。


          続
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!

たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。 途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。 鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒! 素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。 裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!

異世界にアバターで転移?させられましたが私は異世界を満喫します

そう
ファンタジー
ナノハは気がつくとファーナシスタというゲームのアバターで森の中にいた。 そこからナノハの自由気ままな冒険が始まる。

神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。  現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!  の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては…… (カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています) (イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

竜の国のカイラ~前世は、精霊王の愛し子だったんですが、異世界に転生して聖女の騎士になりました~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
辺境で暮らす孤児のカイラは、人には見えないものが見えるために悪魔つき(カイラ)と呼ばれている。 同じ日に拾われた孤児の美少女ルイーズといつも比較されていた。 16歳のとき、神見の儀で炎の神の守護を持つと言われたルイーズに比べて、なんの神の守護も持たないカイラは、ますます肩身が狭くなる。 そんなある日、魔物の住む森に使いに出されたカイラは、魔物の群れに教われている人々に遭遇する。 カイラは、命がけで人々を助けるが重傷を負う。 死に瀕してカイラは、自分が前世で異世界の精霊王の姫であったことを思い出す。 エブリスタにも掲載しています。

処理中です...