終焉列島:ゾンビに沈む国

ねむたん

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旅館の探索は続いていた。

俺たちは井戸を後にし、さらに旅館の奥へと足を進める。

「ここ、本当に広いな……」

安田が呆れたように言う。

「改築を繰り返したせいで、構造がややこしくなってるな」

斉藤が地図と照らし合わせながら、迷わないよう慎重に進む。

「この先は?」

藤木がふすまをそっと開けると、埃っぽい空気が流れ込んできた。

「……宴会場か」

広間には、古びた座卓が乱雑に置かれたままになっていた。

「何か使えそうなものは?」

俺たちは慎重に室内を調べる。

テーブルの上には、酒瓶や湯呑みがそのまま残っている。

棚を開けると、埃を被った食器や調理器具が出てきた。

「鍋、包丁、まな板……これは使えそうだな」

高橋が調理器具を集めながら言う。

「燃料さえあれば、簡単な調理はできるな」

「こっちには座布団が大量にある」

安田が部屋の隅を指さす。

「防寒には使えるか」

「まあ、ないよりはマシだな」

一通り室内を調べ、俺たちは次の部屋へと向かう。

廊下を進むと、階段が現れた。

「二階に行くか?」

藤木がふと足を止める。

「まだ一階を調べきってない。先にこっちを確認しておこう」

斉藤が周囲を見渡しながら言う。

その先には、もうひとつ大きな部屋があった。

俺がふすまを開けると、室内はひんやりとした空気に包まれていた。

「……ここは?」

藤木が慎重に足を踏み入れる。

「風呂場だな」

部屋の奥には、錆びた蛇口と古びた浴槽があった。

「五右衛門風呂か……」

俺は浴槽の縁を指でなぞる。

「薪があれば使えそうか?」

「長年放置されてたからな……まず掃除しないと無理だろう」

高橋が風呂の底を覗き込む。

「でも、風呂が使えるのはデカいぞ。お湯を確保できれば、衛生環境は改善する」

「薪はどこかにあるかな……?」

安田が周囲を見回す。

「たぶん、別の倉庫か裏手にあるだろうな」

「それも後で探そう」

風呂場を出て、次の部屋に向かう。

旅館の奥へと進むにつれ、建物の老朽化が激しくなっていくのが分かる。

「ここ、床が抜けそうだな……」

藤木が注意深く足元を確かめながら進む。

「気をつけろよ」

斉藤が声をかけたその瞬間、

ギシッ……

突然、足元の床が沈んだ。

「……っ!」

藤木が咄嗟に後ろへ飛びのいた。

次の瞬間、バキッ という音とともに床の一部が崩れ落ちた。

「危ねえ……!」

安田が息を呑む。

「やっぱり、老朽化が進んでるな……」

「足元、気をつけろ」

高橋が慎重に進みながら、周囲の様子を見渡す。

その先には、完全に閉鎖されたエリア へ続く扉があった。

「……ここ、通れるのか?」

俺が試しに押してみるが、扉はびくともしない。

「板で打ち付けられてるな」

「ここは増改築の影響で使われなくなったエリアか……?」

藤木が扉をじっと見つめる。

「この先に何があるんだろうな……」

俺たちはしばらくその扉を見つめていたが、ひとまず探索を続けることにした。

旅館はまだ、全容を見せていなかった。
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