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夕飯時、俺たちは新しく手に入れた山菜やキノコを使った料理を囲みながら、賑やかに食事を楽しんでいた。
「いや~、行者ニンニクってすげぇな!」
安田が勢いよくご飯をかき込む。「ガーリック炒め、マジでうますぎる!」
「だろ? でも、これ食べると翌日めっちゃ臭うから気をつけなよ」
田辺さんが茶碗を持ち上げながら笑う。
「もう臭くなってもいい! こんなにうまいなら毎日でも食いたい!」
「そういやさ、みんな色々あったと思うけど、こうやって落ち着いて飯食えるのも久しぶりじゃね?」
俺がそう言うと、藤木が頷いた。
「たしかにな。ショッピングモールにいた頃は食料はあったけど、こんな落ち着いた飯じゃなかった」
「お、ショッピングモールの話、聞かせてよ」
田辺さんが箸を置いて興味津々に身を乗り出す。
「いや~、最初はマジで天国かと思ったんだよ。食料はあるし、広いし、ゾンビも入ってこないし。でも……人間が増えすぎると、やっぱ問題が起きるんだよな」
藤木はため息をつく。
「まぁ、橘ってカリスマ気取りのビジネスマンがいて。最初は頼りになったんだけど、どんどん独裁的になっていって……。そのうち、気に入らないやつは追い出すようになったり、食料の配分を仕切りだしたり」
「ふむ、そりゃあ人間関係が一番の問題になるよねぇ」
田辺さんはしみじみと頷いた。「私は山で一人だったから、その辺のゴタゴタには巻き込まれなかったけど、人間って群れると難しいもんだねぇ」
「だよな……」
「そっちはどうだった? 高橋くん、最初の頃はどんな感じだったの?」
「……俺?」
高橋が箸を止める。
「あんまり喋らないからさ、気になってたんだよね」
「まぁ、特に派手なことはないけど……。最初にゾンビを見たのは、満員電車の中だった」
「満員電車!?」
「それ、めっちゃ最悪な状況じゃね?」
安田が箸を止めて驚く。
「まぁ、今思えば完全に終わってたな。駅で倒れてたやつが急に起き上がって、いきなり人に噛みついたんだよ。最初は『何やってんだコイツ』って感じだったけど、次の瞬間、噛まれたやつが叫びながら暴れだして……」
「うわぁ……」
「それで電車の中、大パニック。ドアが開いた瞬間に、俺はとっさに飛び降りた。周りの奴らも逃げようとしてたけど……もう何人か噛まれてたからな。たぶん、あの車両にいた連中はほとんど……」
高橋はそこまで言うと、ゆっくりと息を吐いた。
「……まぁ、あの時は運が良かったってだけだな」
「やべぇ……」
安田がゾッとした顔をする。
「都会ならではの地獄だったねぇ……」
田辺さんは眉を寄せた。「私は山にいたから、ゾンビを目にすること自体ほとんどなかったよ。でも……それで正解だったのかもしれないねぇ」
「おばちゃんは、ずっと一人で山に?」
「まぁね。若い頃に旦那を亡くしてさ、それで山に籠もっちまったんだよ」
「えっ」
俺たちは思わず手を止めた。
「未亡人か……」
斉藤がぽつりと呟く。
パシッ
「ぐっ……!」
即座に高橋がこづく。
「痛ぇ……」
「お前……場を考えろよ」
「すまん……」
斉藤は反省したようにお茶を啜る。
「まぁ、いいけどねぇ」
田辺さんはケラケラと笑った。「そう、未亡人よ。若くして一人になっちゃったもんだからさ、しばらくは落ち込んでたけど、なんだかんだで山の暮らしが合っちゃってねぇ」
「おばちゃん……強ぇな……」
安田が感心したように言う。
「まぁね。でも、一人はやっぱり寂しいもんだよ。だから、こうしてあんたたちと一緒にいられるのは、悪くないね」
俺たちは顔を見合わせ、自然と笑みがこぼれた。
「いやぁ、田辺さんがいてくれて、ほんと助かってるわ」
「料理も知識も、頼りになるからな」
「ははは、そう言ってくれると嬉しいねぇ。じゃあ、明日も頑張って食糧確保しようじゃないか!」
「おう!」
俺たちは酒もないのに杯を交わすように茶碗を掲げ、賑やかに夕飯を終えた。
この旅館での暮らしが少しずつ形になってきた。まだまだ不安なことは山ほどあるが……今はこの時間を大切にしたいと思った。
「いや~、行者ニンニクってすげぇな!」
安田が勢いよくご飯をかき込む。「ガーリック炒め、マジでうますぎる!」
「だろ? でも、これ食べると翌日めっちゃ臭うから気をつけなよ」
田辺さんが茶碗を持ち上げながら笑う。
「もう臭くなってもいい! こんなにうまいなら毎日でも食いたい!」
「そういやさ、みんな色々あったと思うけど、こうやって落ち着いて飯食えるのも久しぶりじゃね?」
俺がそう言うと、藤木が頷いた。
「たしかにな。ショッピングモールにいた頃は食料はあったけど、こんな落ち着いた飯じゃなかった」
「お、ショッピングモールの話、聞かせてよ」
田辺さんが箸を置いて興味津々に身を乗り出す。
「いや~、最初はマジで天国かと思ったんだよ。食料はあるし、広いし、ゾンビも入ってこないし。でも……人間が増えすぎると、やっぱ問題が起きるんだよな」
藤木はため息をつく。
「まぁ、橘ってカリスマ気取りのビジネスマンがいて。最初は頼りになったんだけど、どんどん独裁的になっていって……。そのうち、気に入らないやつは追い出すようになったり、食料の配分を仕切りだしたり」
「ふむ、そりゃあ人間関係が一番の問題になるよねぇ」
田辺さんはしみじみと頷いた。「私は山で一人だったから、その辺のゴタゴタには巻き込まれなかったけど、人間って群れると難しいもんだねぇ」
「だよな……」
「そっちはどうだった? 高橋くん、最初の頃はどんな感じだったの?」
「……俺?」
高橋が箸を止める。
「あんまり喋らないからさ、気になってたんだよね」
「まぁ、特に派手なことはないけど……。最初にゾンビを見たのは、満員電車の中だった」
「満員電車!?」
「それ、めっちゃ最悪な状況じゃね?」
安田が箸を止めて驚く。
「まぁ、今思えば完全に終わってたな。駅で倒れてたやつが急に起き上がって、いきなり人に噛みついたんだよ。最初は『何やってんだコイツ』って感じだったけど、次の瞬間、噛まれたやつが叫びながら暴れだして……」
「うわぁ……」
「それで電車の中、大パニック。ドアが開いた瞬間に、俺はとっさに飛び降りた。周りの奴らも逃げようとしてたけど……もう何人か噛まれてたからな。たぶん、あの車両にいた連中はほとんど……」
高橋はそこまで言うと、ゆっくりと息を吐いた。
「……まぁ、あの時は運が良かったってだけだな」
「やべぇ……」
安田がゾッとした顔をする。
「都会ならではの地獄だったねぇ……」
田辺さんは眉を寄せた。「私は山にいたから、ゾンビを目にすること自体ほとんどなかったよ。でも……それで正解だったのかもしれないねぇ」
「おばちゃんは、ずっと一人で山に?」
「まぁね。若い頃に旦那を亡くしてさ、それで山に籠もっちまったんだよ」
「えっ」
俺たちは思わず手を止めた。
「未亡人か……」
斉藤がぽつりと呟く。
パシッ
「ぐっ……!」
即座に高橋がこづく。
「痛ぇ……」
「お前……場を考えろよ」
「すまん……」
斉藤は反省したようにお茶を啜る。
「まぁ、いいけどねぇ」
田辺さんはケラケラと笑った。「そう、未亡人よ。若くして一人になっちゃったもんだからさ、しばらくは落ち込んでたけど、なんだかんだで山の暮らしが合っちゃってねぇ」
「おばちゃん……強ぇな……」
安田が感心したように言う。
「まぁね。でも、一人はやっぱり寂しいもんだよ。だから、こうしてあんたたちと一緒にいられるのは、悪くないね」
俺たちは顔を見合わせ、自然と笑みがこぼれた。
「いやぁ、田辺さんがいてくれて、ほんと助かってるわ」
「料理も知識も、頼りになるからな」
「ははは、そう言ってくれると嬉しいねぇ。じゃあ、明日も頑張って食糧確保しようじゃないか!」
「おう!」
俺たちは酒もないのに杯を交わすように茶碗を掲げ、賑やかに夕飯を終えた。
この旅館での暮らしが少しずつ形になってきた。まだまだ不安なことは山ほどあるが……今はこの時間を大切にしたいと思った。
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