65 / 84
65
しおりを挟む
夜が更け、燻製の香ばしい匂いが旅館にほんのりと残っている。干し肉を使った燻製は無事に完成し、これでしばらくの食料は確保できた。
「これで、少しは安心だな」
藤木が満足そうに言いながら、出来上がった燻製を手に取る。しっかりと水分が抜けて硬くなり、保存性は抜群だ。
「まぁ、何があるかわからねぇし、気を抜かずにいこうぜ」
高橋が燻製を慎重に収納しながら言う。
「そうだねぇ。でも、これだけ食料があれば、しばらくは安泰だよ」
田辺さんが微笑んだ、その時だった。
チリン……チリン……
「……ん?」
俺たちは顔を見合わせる。
チリン、チリン……チリン……
旅館の外から、小さな鈴の音が聞こえる。
「……やべぇぞ」
安田が緊張した声を漏らす。
鈴の音は、旅館の周囲に張り巡らせた罠。ゾンビが近づけば、それに触れて音を鳴らす仕掛けになっている。
チリン……チリン……チリンチリン!
「まずいな、あちこちから鳴ってる」
藤木が窓の外をそっと覗く。
月明かりの下、旅館の庭に数体のゾンビがうごめいている。
「どっから湧いたんだよ……」
斉藤が低く唸る。
「くそ、対応できるか?」
俺たちはすぐに武器を手に取る。刺股、木製の棍棒、農具、そして雪かき用のスコップ。それぞれが持ち場に散らばろうとしたその時、さらに鈴の音が増えた。
チリンチリンチリンチリン!!!
「……ダメだ、多すぎる」
「このまま対応しようとしても、手が回らねぇぞ!」
高橋が冷静に判断する。
「じゃあ、一旦退避だ。土間に集まるぞ!」
俺は即座に決断を下す。
「井戸があるし、水と食糧の確保はできる。下手に分散するより、土間に籠城して様子を見るほうがいい!」
「了解!」
俺たちは食料を抱え込み、武器を手にして土間へと急いだ。
旅館の外では、ますます鈴の音が激しくなっていた。
土間に駆け込むと、まず俺たちは周辺の部屋の防備を固めることにした。
「ここを拠点にするなら、できる限り入り口を封鎖しないとまずいな」
藤木が周囲を見回しながら言う。
「土間の入口、襖じゃなくて古い木戸だな。これならある程度の強度はある」
高橋が木戸を押しながら確認する。
「とはいえ、これも完全じゃない。補強するぞ」
「周辺の部屋の襖や障子もできるだけ塞いでおこうかねぇ」
田辺さんが手際よく、近くにあった家具を動かし始める。
「押し入れの中に古い木板がある! 使えそうだ!」
安田が見つけた木板を運び、斉藤が素早く立てかけて固定していく。
「土間の窓も塞いだほうがいいな。外から入られると厄介だ」
「ここは増改築で半分埋まってるから、完全な侵入口にはなりづらいけど……油断はできねぇな」
高橋が板を打ち付けながら言う。
その間に、俺たちはリュックに食糧を詰めておいた。
「燻製は優先的に詰めるぞ。これさえあれば、しばらくは食い繋げる」
藤木が、燻製肉を慎重に包んでリュックに入れる。
「水も汲んどいたほうがいいな」
「井戸の水、バケツで引き上げるぞ!」
俺と安田で素早く井戸の水を汲み、ポリタンクや空のペットボトルに移す。
「よし、最低限の物資は確保したな」
「武器も手元に置いとけよ!」
それぞれが武器を手にする。刺股、スコップ、金属バット、農具。
外では、鈴の音がさらに激しくなっていた。
「……こりゃ相当な数が集まってるな」
斉藤が息を詰めながら言う。
「しばらくはここに篭るしかなさそうだな」
俺たちは息を整えながら、暗闇の中で武器を握り締め、じっと外の様子をうかがった。
「これで、少しは安心だな」
藤木が満足そうに言いながら、出来上がった燻製を手に取る。しっかりと水分が抜けて硬くなり、保存性は抜群だ。
「まぁ、何があるかわからねぇし、気を抜かずにいこうぜ」
高橋が燻製を慎重に収納しながら言う。
「そうだねぇ。でも、これだけ食料があれば、しばらくは安泰だよ」
田辺さんが微笑んだ、その時だった。
チリン……チリン……
「……ん?」
俺たちは顔を見合わせる。
チリン、チリン……チリン……
旅館の外から、小さな鈴の音が聞こえる。
「……やべぇぞ」
安田が緊張した声を漏らす。
鈴の音は、旅館の周囲に張り巡らせた罠。ゾンビが近づけば、それに触れて音を鳴らす仕掛けになっている。
チリン……チリン……チリンチリン!
「まずいな、あちこちから鳴ってる」
藤木が窓の外をそっと覗く。
月明かりの下、旅館の庭に数体のゾンビがうごめいている。
「どっから湧いたんだよ……」
斉藤が低く唸る。
「くそ、対応できるか?」
俺たちはすぐに武器を手に取る。刺股、木製の棍棒、農具、そして雪かき用のスコップ。それぞれが持ち場に散らばろうとしたその時、さらに鈴の音が増えた。
チリンチリンチリンチリン!!!
「……ダメだ、多すぎる」
「このまま対応しようとしても、手が回らねぇぞ!」
高橋が冷静に判断する。
「じゃあ、一旦退避だ。土間に集まるぞ!」
俺は即座に決断を下す。
「井戸があるし、水と食糧の確保はできる。下手に分散するより、土間に籠城して様子を見るほうがいい!」
「了解!」
俺たちは食料を抱え込み、武器を手にして土間へと急いだ。
旅館の外では、ますます鈴の音が激しくなっていた。
土間に駆け込むと、まず俺たちは周辺の部屋の防備を固めることにした。
「ここを拠点にするなら、できる限り入り口を封鎖しないとまずいな」
藤木が周囲を見回しながら言う。
「土間の入口、襖じゃなくて古い木戸だな。これならある程度の強度はある」
高橋が木戸を押しながら確認する。
「とはいえ、これも完全じゃない。補強するぞ」
「周辺の部屋の襖や障子もできるだけ塞いでおこうかねぇ」
田辺さんが手際よく、近くにあった家具を動かし始める。
「押し入れの中に古い木板がある! 使えそうだ!」
安田が見つけた木板を運び、斉藤が素早く立てかけて固定していく。
「土間の窓も塞いだほうがいいな。外から入られると厄介だ」
「ここは増改築で半分埋まってるから、完全な侵入口にはなりづらいけど……油断はできねぇな」
高橋が板を打ち付けながら言う。
その間に、俺たちはリュックに食糧を詰めておいた。
「燻製は優先的に詰めるぞ。これさえあれば、しばらくは食い繋げる」
藤木が、燻製肉を慎重に包んでリュックに入れる。
「水も汲んどいたほうがいいな」
「井戸の水、バケツで引き上げるぞ!」
俺と安田で素早く井戸の水を汲み、ポリタンクや空のペットボトルに移す。
「よし、最低限の物資は確保したな」
「武器も手元に置いとけよ!」
それぞれが武器を手にする。刺股、スコップ、金属バット、農具。
外では、鈴の音がさらに激しくなっていた。
「……こりゃ相当な数が集まってるな」
斉藤が息を詰めながら言う。
「しばらくはここに篭るしかなさそうだな」
俺たちは息を整えながら、暗闇の中で武器を握り締め、じっと外の様子をうかがった。
10
あなたにおすすめの小説
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
If太平洋戦争 日本が懸命な判断をしていたら
みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら?
国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。
真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。
破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。
現在1945年中盤まで執筆
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
百の話を語り終えたなら
コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」
これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。
誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。
日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。
そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき——
あなたは、もう後戻りできない。
■1話完結の百物語形式
■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ
■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感
最後の一話を読んだとき、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる