神様自学

天ノ谷 霙

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あの夢と記憶 香

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俺は小さい頃、近くに住んでいた女の子と仲が良かった。その子は幼稚園の時に引っ越していった。名前も顔も、微かにしか覚えていない。けれど、またいつか会えたら良いなぁ…って、思っていた。
小学校、中学校とたくさんの出会いをして恋もした。仲の良い友達も出来た。今は高校の友達とよく一緒にいるけれど、何か変な感じがした。その変な感じが、ある日夢となって現れた。

『…え、か……くん…、み…は、と…いっ…うの…』
遠くてよく聞こえない。長い茶色がかった黒髪が印象的な女の子。ところどころ、赤茶色も混ざっている。ふわふわとした感覚が、俺を襲う。
なんて言ったの?
俺は口を動かしたが、声となっては現れなかった。くらくらとしてきて、やけに暑い気がした。夏場の脱水症状みたいな感覚。
『ばいばい』
その言葉ははっきり聞こえたのに、その後に続いた言葉は聞こえなかった。

ドタァアン!!
大きな音がした。目を開けると目の前には自分の足と天井があって、背中が急角度で支えられていた。
「どうしたの!?」
母さんが慌ててエプロンと髪を乱しながら俺の部屋にノックもせず入ってきた。そして、俺を見て言葉も出ないようだった。呆れているようだ。
それもそのはず、俺はベッドから滑り落ちていて、毛布は体に巻き付いた状態だった。
「……」
母さんは何も言わずにドアを閉め、朝食作りに戻って行った。
「いっ…たぁ…」
朝から醜態を見せてしまった、と思いながら時計を確認する。時刻は5時2分を指していた。いつもより遅い起床に、思わず溜め息が出る。あの不確かな夢を見ると時間を過ぎてしまうのだ。そんな朝だった。俺は階段を降りて、用意された朝食を食べる。いつも通り安心する、美味しい味だが、母さんにはそんなこと言わない。恥ずかしいし。そういえば潮賀くんとか言う人は母親にも敬意を払い、敬語らしい。同級生にも敬語で、癖らしい。俺はちょっと苦手かな。とはいえ隣のクラスだから体育は同じだし、たまに関わるのでもう少し話して見ないとな、と思いながら牛乳を飲む。最近は嫌いな人も増えているみたいだが、爽やかな朝の味がする。
朝食を終え、身支度を済ませると母さんも準備を始める。俺の家は共働きで、父さんは単身赴任をしているので1ヶ月に1度くらいしか会わない。両親は仲がとても良いので、その1ヶ月に1度の帰りの内、2、3回に1回は2人で外に出かける。俺は別に構わないのだが、たくさん土産を買ってくるので、消費するのが大変になる。
なんて色々考えながら、俺は玄関の扉を開けた。
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