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1月21日 知らないこと
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朝から机に突っ伏して、深い溜め息を吐く。私の前の席を借りて、由芽が座った。
「おめでとう夕音ちゃん、長年の片想いが叶ったね」
「そうなんだけど…って!?何で知ってるの!?」
揶揄うような由芽の言葉に飛び起きると、肩肘を付いた悪戯っぽい表情が視界に入った。
「私の情報網舐めないでくれる?と言いつつ、カマ掛けただけだけどね」
「何でこのタイミングでそんな完璧なカマ掛けが出来るの…?」
「朝から思い悩んだ表情ってことは、朝か昨日の放課後に何かあったって事でしょ?昨日榊原くんと帰ったところを見てるし、朝も一緒に登校して来たし、つまり榊原くんと何かあったとしか思えない。しかも榊原くんは嬉しそうだったから喧嘩ではない。となれば、その辺かなって。半分勘だけど」
「探偵にでもなれば良いと思うよ、由芽」
私は再度溜め息を吐いて、体を起こした。わくわくしている由芽に全て話してしまった方が楽だと思ったから。私は騒がしい教室に紛れる程度の声で、昨日のことを話した。口をついて出てしまった告白に、「嫌われてると思っていた」と安堵されたこと。登下校は幼馴染と共にするものではないと言うと、なら恋人になれば良い?と予想外の反応を返されたこと。恋人とは好きな人同士でなるものだと必死に説明しても、頑として譲ってくれなかったこと。お陰で交際が開始したとはいえ、全くそんな気分になれないこと。様々な頭痛の種を打ち明けた。私の説明に最初は口角を上げていた由芽が、段々と気の毒そうな顔に変わっていくのもなかなかに精神的にくるものがあった。
「榊原くんは私も読めないのよね」
「由芽が?」
問いかけると、小さく頷いて困ったような表情を浮かべた。
「特筆することも、弱みと取れる情報もない。強いていうなら夕音の好きな人、ぐらいのものだったわ」
「それもそれで…」
「逆に言えば、私にそれくらいしか情報を掴ませてくれなかったってことよ」
由芽の悔しそうな声に、私は目を丸くする。そういえば羅樹と長い付き合いである私も、羅樹が苦手なものや嫌いなものにあまり心当たりが無かった。流石に嫌いな食べ物とかその辺りは知っているが、由芽が知りたいのはそういった、聞けば高確率で答えてくれるような情報ではないだろう。どちらかと言うと隠し事に興味を持つタイプであるから。
「隠し事…」
自分の思考に引っ掛りを覚え、繰り返す。
「夕音?」
由芽が掴めないということは、隠し事が存在しないということだろうか。それとも由芽にすら分からないように、巧みに隠しているのだろうか。増幅していく違和感が、背筋を凍らせていく。
私、羅樹について、まだ知らないことがある。
その当たり前の筈の事実が、何故だか酷く重くのしかかってきた。
「おめでとう夕音ちゃん、長年の片想いが叶ったね」
「そうなんだけど…って!?何で知ってるの!?」
揶揄うような由芽の言葉に飛び起きると、肩肘を付いた悪戯っぽい表情が視界に入った。
「私の情報網舐めないでくれる?と言いつつ、カマ掛けただけだけどね」
「何でこのタイミングでそんな完璧なカマ掛けが出来るの…?」
「朝から思い悩んだ表情ってことは、朝か昨日の放課後に何かあったって事でしょ?昨日榊原くんと帰ったところを見てるし、朝も一緒に登校して来たし、つまり榊原くんと何かあったとしか思えない。しかも榊原くんは嬉しそうだったから喧嘩ではない。となれば、その辺かなって。半分勘だけど」
「探偵にでもなれば良いと思うよ、由芽」
私は再度溜め息を吐いて、体を起こした。わくわくしている由芽に全て話してしまった方が楽だと思ったから。私は騒がしい教室に紛れる程度の声で、昨日のことを話した。口をついて出てしまった告白に、「嫌われてると思っていた」と安堵されたこと。登下校は幼馴染と共にするものではないと言うと、なら恋人になれば良い?と予想外の反応を返されたこと。恋人とは好きな人同士でなるものだと必死に説明しても、頑として譲ってくれなかったこと。お陰で交際が開始したとはいえ、全くそんな気分になれないこと。様々な頭痛の種を打ち明けた。私の説明に最初は口角を上げていた由芽が、段々と気の毒そうな顔に変わっていくのもなかなかに精神的にくるものがあった。
「榊原くんは私も読めないのよね」
「由芽が?」
問いかけると、小さく頷いて困ったような表情を浮かべた。
「特筆することも、弱みと取れる情報もない。強いていうなら夕音の好きな人、ぐらいのものだったわ」
「それもそれで…」
「逆に言えば、私にそれくらいしか情報を掴ませてくれなかったってことよ」
由芽の悔しそうな声に、私は目を丸くする。そういえば羅樹と長い付き合いである私も、羅樹が苦手なものや嫌いなものにあまり心当たりが無かった。流石に嫌いな食べ物とかその辺りは知っているが、由芽が知りたいのはそういった、聞けば高確率で答えてくれるような情報ではないだろう。どちらかと言うと隠し事に興味を持つタイプであるから。
「隠し事…」
自分の思考に引っ掛りを覚え、繰り返す。
「夕音?」
由芽が掴めないということは、隠し事が存在しないということだろうか。それとも由芽にすら分からないように、巧みに隠しているのだろうか。増幅していく違和感が、背筋を凍らせていく。
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その当たり前の筈の事実が、何故だか酷く重くのしかかってきた。
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