514 / 812
1月30日 デートの開始!
しおりを挟む
朝、鏡を見て金の髪を見つめる。それを丁寧に編み込み、ハーフアップを作った。腰まで伸びた長い髪が、波打って柔らかく揺れる。Vネックのセーターとチェックのミニスカートにタイツ、いつも通りキャメルのボアニットコートを羽織り、チョコレート色のショートブーツを履く。
今日は羅樹とデートだ。由芽に言われた通り外堀から埋めていこうと思って、誘ったのだ。付き合ってはいるが、恐らく羅樹から私に向けられるものは恋情ではなく──、いやこれ以上は考えるのをやめよう。せっかくのデート前に暗い顔なんてしたくない。私は切り替えるように頬を叩いて、玄関を出る。羅樹もちょうど出てきたようで、すぐに合流した。羅樹もいつもよりお洒落な気がする。白のニットセーターに紺がかった黒のジャケット。デニムのボトムズと黒のスニーカー。チェックのマフラーを巻いている姿はいつもより格好良く見えて、もう既に心臓が保たなそうだ。
羅樹は私の姿を見て目を丸くした。ちょっと頬を膨らませている。
「どうしたの?」
「髪、下ろしてるから。他の人に見られちゃう」
子供っぽく言われたその言葉が独占欲に感じて、私の心臓は大きく脈動する。そんな気持ちを持ってくれるなんて思っていなかったから、嬉しくて。私はくすくすと笑って羅樹に寄り添った。
「じゃあ羅樹の彼女だって分かるように、今日はずっと一緒に居てよ」
内心不安に思いながら、悪戯っぽく問い掛ける。驚かれたら冗談だよ、って言えるように。ドキドキしながら羅樹の顔を見上げると、羅樹は目を丸くした後でふにゃりと笑った。
「そうだね。その手があったか」
「えっ」
「ん?どうしたの?」
そんな風に肯定されると、否定された時の準備をしていた私の気持ちは空回りして、余計にドキドキしてしまう。恥ずかしくて顔を俯かせると、羅樹は私の手をそっと取って指を絡ませて来た。
「えっ!?」
「あれ?恋人繋ぎってこうじゃなかったっけ?」
「え、あ、合ってるけど…」
まるで恋人のようなやり取りだ。いや恋人なのだけど。未だに実感のない私は、羅樹と重ね合わせた手に心臓の高鳴りを抑えることが出来ない。ぎゅっと握られた手を始め、身体中が熱を帯びる。嬉しさに頬が緩みそうなのを必死に堪え、真っ直ぐ前を見つめた。
「今日は水族館に行くんだよね!楽しみだなぁ…ってあれ?どう行くんだっけ?」
「水族館までの案内は任せて。とりあえず駅に行くよ」
「うん!頼もしいなぁ」
にこにこと笑う羅樹に、得意げな表情を見せて。私は羅樹の隣を並んで駅までの道を歩いた。
今日は羅樹とデートだ。由芽に言われた通り外堀から埋めていこうと思って、誘ったのだ。付き合ってはいるが、恐らく羅樹から私に向けられるものは恋情ではなく──、いやこれ以上は考えるのをやめよう。せっかくのデート前に暗い顔なんてしたくない。私は切り替えるように頬を叩いて、玄関を出る。羅樹もちょうど出てきたようで、すぐに合流した。羅樹もいつもよりお洒落な気がする。白のニットセーターに紺がかった黒のジャケット。デニムのボトムズと黒のスニーカー。チェックのマフラーを巻いている姿はいつもより格好良く見えて、もう既に心臓が保たなそうだ。
羅樹は私の姿を見て目を丸くした。ちょっと頬を膨らませている。
「どうしたの?」
「髪、下ろしてるから。他の人に見られちゃう」
子供っぽく言われたその言葉が独占欲に感じて、私の心臓は大きく脈動する。そんな気持ちを持ってくれるなんて思っていなかったから、嬉しくて。私はくすくすと笑って羅樹に寄り添った。
「じゃあ羅樹の彼女だって分かるように、今日はずっと一緒に居てよ」
内心不安に思いながら、悪戯っぽく問い掛ける。驚かれたら冗談だよ、って言えるように。ドキドキしながら羅樹の顔を見上げると、羅樹は目を丸くした後でふにゃりと笑った。
「そうだね。その手があったか」
「えっ」
「ん?どうしたの?」
そんな風に肯定されると、否定された時の準備をしていた私の気持ちは空回りして、余計にドキドキしてしまう。恥ずかしくて顔を俯かせると、羅樹は私の手をそっと取って指を絡ませて来た。
「えっ!?」
「あれ?恋人繋ぎってこうじゃなかったっけ?」
「え、あ、合ってるけど…」
まるで恋人のようなやり取りだ。いや恋人なのだけど。未だに実感のない私は、羅樹と重ね合わせた手に心臓の高鳴りを抑えることが出来ない。ぎゅっと握られた手を始め、身体中が熱を帯びる。嬉しさに頬が緩みそうなのを必死に堪え、真っ直ぐ前を見つめた。
「今日は水族館に行くんだよね!楽しみだなぁ…ってあれ?どう行くんだっけ?」
「水族館までの案内は任せて。とりあえず駅に行くよ」
「うん!頼もしいなぁ」
にこにこと笑う羅樹に、得意げな表情を見せて。私は羅樹の隣を並んで駅までの道を歩いた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる