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3月10日 友達だから
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亜美の空気に溶けるような吐露は、きっと誰にも言いたくなかった本音だろう。私に話してしまったのは優しさか、恋使の力に由来するものか。少なくとも友達だからという理由ではないだろう。私は亜美と友人だと思っているが、今、亜美の中で私は爽との思い出の場所を奪った悪人だ。例え亜美がそう認識していなかったとしても、人に備わった嫉妬という機能は、どれだけ大切な人であったとしても憎しみの感情を喚起させるものだから。私はそれを悲しいとは思わない。少し苦い気持ちにはなるけれど、それは亜美がそれだけ爽を大切に思っていることの裏返しだ。爽が今まで抱いてきた苦しみが、想いが、一方通行でなかったことの証明だ。
「どうしよう…」
亜美の素直な気持ちが零れる。
「あたし、ごめん、ごめんね、あたし、爽ちゃんも、夕音も、だいすきなのに、こんなこと言われても困るよね、ごめん、ごめんね」
涙声で紡がれる謝罪も、本心なのだろう。だからこそ相反する感情が整理出来なくて苦しい。私は亜美の背中を摩りながら、ポツリと呟いた。
「いいよ。大丈夫だよ、亜美」
亜美が弾かれるように顔を上げる。困惑の視線と私の視線が交差して、私は安心させるように微笑んだ。
「本音を全部言えることだけが友達の条件じゃないと思うよ。隠したいことは隠すし、嫌いなところは嫌いで良いと思う。それでも、それでも一緒にいると落ち着くとか、良いなって思うところが嫌いなところを上回る相手が、友達なんだと思うよ」
だから、その嫉妬や苦しみの感情を抱え込まないで。
人が他人の全てを受け入れられて愛せるのならば、そんな感情はきっと最初から実装されていない。それらを無視せず受け入れて、それでも尚余りある相手への好きという想いが、関係を維持するのに必要なのだ。全てを好きになる必要なんてない。全てを受け入れる必要なんてない。ただ少しだけ、好きという気持ちが嫌いを上回ればいい。それだけできっと、友達でいたいと感じるから。
「謝らなくていい。困らなくていい。私は大丈夫。私は亜美のこと、友達だってわかってるから。だから安心してその感情を預けて」
亜美はその大きな瞳を更に見開いて、ポロポロと涙を零した。けれど先程のような苦しそうな表情ではない。驚きに思わず零れたかのような、太陽にキラキラと反射した綺麗な涙だった。
「ヤキモチくらいで怒ったりしないよ。それくらい爽が大切ってことでしょ。それくらい私のことも大切だと思ってくれている、そういうことでしょ」
嫉妬する対象が大切なだけではこんなに苦しまない。私のことも大事に思ってくれているからこそ、嫌うのも嫌われるのも嫌だと思っているからこそ、苦しいのだ。だから構わない。私はそうやって私のことを大切にしてくれる亜美が好きだから。
「大丈夫だよ、亜美。大丈夫」
ひくっと亜美の喉が動いて、それから堰を切ったように泣き出した。今度は声を押し殺すことなく、私に預けるようにして、亜美は泣いた。
「どうしよう…」
亜美の素直な気持ちが零れる。
「あたし、ごめん、ごめんね、あたし、爽ちゃんも、夕音も、だいすきなのに、こんなこと言われても困るよね、ごめん、ごめんね」
涙声で紡がれる謝罪も、本心なのだろう。だからこそ相反する感情が整理出来なくて苦しい。私は亜美の背中を摩りながら、ポツリと呟いた。
「いいよ。大丈夫だよ、亜美」
亜美が弾かれるように顔を上げる。困惑の視線と私の視線が交差して、私は安心させるように微笑んだ。
「本音を全部言えることだけが友達の条件じゃないと思うよ。隠したいことは隠すし、嫌いなところは嫌いで良いと思う。それでも、それでも一緒にいると落ち着くとか、良いなって思うところが嫌いなところを上回る相手が、友達なんだと思うよ」
だから、その嫉妬や苦しみの感情を抱え込まないで。
人が他人の全てを受け入れられて愛せるのならば、そんな感情はきっと最初から実装されていない。それらを無視せず受け入れて、それでも尚余りある相手への好きという想いが、関係を維持するのに必要なのだ。全てを好きになる必要なんてない。全てを受け入れる必要なんてない。ただ少しだけ、好きという気持ちが嫌いを上回ればいい。それだけできっと、友達でいたいと感じるから。
「謝らなくていい。困らなくていい。私は大丈夫。私は亜美のこと、友達だってわかってるから。だから安心してその感情を預けて」
亜美はその大きな瞳を更に見開いて、ポロポロと涙を零した。けれど先程のような苦しそうな表情ではない。驚きに思わず零れたかのような、太陽にキラキラと反射した綺麗な涙だった。
「ヤキモチくらいで怒ったりしないよ。それくらい爽が大切ってことでしょ。それくらい私のことも大切だと思ってくれている、そういうことでしょ」
嫉妬する対象が大切なだけではこんなに苦しまない。私のことも大事に思ってくれているからこそ、嫌うのも嫌われるのも嫌だと思っているからこそ、苦しいのだ。だから構わない。私はそうやって私のことを大切にしてくれる亜美が好きだから。
「大丈夫だよ、亜美。大丈夫」
ひくっと亜美の喉が動いて、それから堰を切ったように泣き出した。今度は声を押し殺すことなく、私に預けるようにして、亜美は泣いた。
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