神様自学

天ノ谷 霙

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9月1日 探しに

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「眞里阿いる?」
ドアを開けて、私は教室中を見回した。奥の方で台本を読んでいたらしい眞里阿が、笑顔で近付いてくる。
「どうしたの?」
「千夏が採寸したいって。階段降りたところすぐの空き教室にいるよ」
「わかった」
ほわほわとした緩い雰囲気に、つい私の頬も緩む。
「じゃあ行ってくるね」
近距離で手を振って、階段を駆け降りていく。私は眞里阿を見送ったあと、もう一度教室を見回した。
「あれ、利羽ちゃんは?」
「その辺にいない?」
近くにいた紗奈が返事をしてくれた。しかし、その辺と言われてもう一度じっくりと周りを見ても、どこにも利羽ちゃんの姿は無かった。
「…どこ行ったんだろう」
「あ、じゃあ私探してくるよ」
何だか、胸騒ぎがする。
「了解、帰ってきたら連絡するね」
「うん、お願い」
私はさっさと教室を出る。今の時間なら、上の階には部活動の生徒くらいしかいない。もしかしたら、誰もいないかもしれない。隠れ場所には絶好の場所。私は階段を上がって、静かに、気配を消しながら廊下を歩く。
…やっぱり。
1つの空き教室で、さっきの女子3人組の声が聞こえる。
「本当、体弱いとか言ってるくせに」
「蒼くんと王子・姫の関係で出れるからってさぁ…」
「ムカつくよね!失敗しちゃえば良いのに!」
声に乗った苛立ちや悪意。私に聞こえる心の奥の音。
「はぁ…いいなぁ…王子の蒼くんなんて…」
「ぜぇったいっカッコいいよねぇ…!」
「あー、やっぱ蝶野むかつく!病気で出れなくなっちゃえば!!」
はっきりと名前を言って、敵意をむき出しにしているのが分かった。利羽ちゃんは、元々体が弱かったせいで目立つ。体育もたまにドクターストップをかけられている。それである程度成績が下がるのは仕方ないが、それでも良い成績をキープしている。そのせいか、どうやら僻みを受けやすいらしい。
やかましいなぁ。他人の事を見ないで、嫉妬心で動いて良いことなんて何も無いのに。
私は、すぅっ…と大きく息を吸った。
「利羽ちゃーん!!」
空き教室の中で、焦ったような声がした。私は一度奥の方まで行ってから、もう1階上に上がった。探している、というアピールの大声を出し続ける。
迂闊に陰口叩けなくなったでしょ。
そんな事を考えながら、あたりを見回す。しかし、いない。どこに行ったんだろう。
すると胸ポケットに入れておいた携帯が震えた。
『図書室の奥にいるわ。探して貰っちゃって、ごめんね』
差出人は、利羽ちゃんだった。
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