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8.レベッカが増殖する恐怖の瞬間に立ち会う
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翌日、寮長のイライザ・ネイトリッジとの顔合わせで判明したのは⋯⋯4人の部屋の内装を手配した張本人で、レベッカタイプの女性だと言うことくらい。
「王妃様からわたくしが直接頼まれて、お部屋の準備を致しましたの。聖王国の聖女様に相応しく、皆さんに合うお部屋を準備したのですけれど、気に入っていただけたかしら?」
気の強そうなイライザは、緑がかったシルバーブロンドをハーフアップにして、クリノリンスタイルのデイドレスを身に纏っていた。
「学園では制服もありますけれど、それ以外は自由ですの。ただ、低位貴族の方などは⋯⋯それなりのドレスしか準備できない方もおられますから、ご無理はなさらないでね」
ロクサーナの全身をチラッと横目で見たイライザが扇子で口元を隠した。
「当然ですわ。あまり貧相なら私から注意しておきますね。王太子殿下の婚約者様にご不快なものを見せては、聖王国の恥になりますもの」
と言うレベッカは、イライザよりも派手なドレス姿。ピンクブロンドの髪に合わせたつもりなのか淡いグリーンのドレス姿で、ダイヤモンドとエメラルドのネックレスをつけている。
(学園の寮で羽飾り付きのファシネーターとか⋯⋯やっぱりレベッカは強者だわ~)
ファシネーターはリボンや羽飾りで飾られた小さな帽子のような物で、櫛やヘアクリップで留めつける。
「レベッカとお呼びしても良いかしら。そのファシネーター、寮の中では少し派手だけれど、とっても素敵だわ。わたくしの事はイライザと呼んでも良くてよ」
「ありがとうございます。この国でイライザ様のような方にお会いできるなんてとっても嬉しいです。この後、私のお部屋でお茶でもいかがですか? 珍しいお菓子を準備していますの」
「是非、レベッカとはゆっくりお話ししてみたいと思っていたの。良かったらサブリナとセシルも一緒にいかがかしら?」
「ありがとうございます。私達はまだ部屋の片付けが残っておりますので、今日のところは遠慮させていただきたいと思います」
さも残念そうな顔で断りを入れたサブリナは、小さく会釈してロクサーナに笑顔を向けた。
「そう、残念だけれどまたお声をかけて差し上げるわ。皆さん、参りましょう」
イライザとレベッカが並んで階段に向かう後ろを、取り巻きの女子生徒がいそいそと付き従った。
サブリナのキラキラ部屋に腰を据えた3人⋯⋯。
「アレはないわ~。マジ無理。4人いてひとりだけ誘わないとか、マジあり得ない」
セシルがプルプルと震えながらスカートを握りしめた。
「セシル、皺になっちゃうわよ。アイロンかけるの苦手でしょ」
(中々興味深いじゃん。イライザは単に爵位だけで判断したみたいだよね。となると、昨日の大臣の『スケジュール』を立てたって言うのは⋯⋯)
「王家や貴族も酷かったけど、あの公爵令嬢も超最悪じゃん! 入学前だけど国に帰りたくなってきた。この国に住むとかマジあり得ない!」
「王子殿下の側近候補とか、高位貴族の子息とかにお会いすれば気が変わるかもしれないわよ?」
サブリナがそんな台詞を吐くのは、セシルがイケメンに弱くて惚れやすいから。
「ロクサーナだけ誘わなかったのって⋯⋯やっぱり爵位の問題かしら」
「それだったら私んちも子爵家だし、大して変わんないよ」
「でもほら、セシルのお家が商会も持ってるのは有名だもの⋯⋯光属性で実力も本物だし、王国の希望に一番合ってるんじゃないかしら」
「ないない、この国がどうだか知らないけどさ、王族と低位貴族との婚姻なんてないって」
(個人の能力とかまで報告してるのか、ジルベルト司祭に確認しとかなくちゃ)
「ロクサーナ、元気出して! あんな人達とのお茶会なんて絶対につまんないからさ」
「え? あ、ごめん。ダブルレベッカの圧でクラクラしてさ、ちょっとぼうっとしてた」
「ダブルレベッカって、ぴったりのネーミング!」
「王太子が遊学からお戻りになられないのって、イライザ様との婚約がお嫌だからって噂は本当かもしれないわね」
「ええっ! 婚約確定じゃないんだ。その割には態度デカくない? 『王妃様から直接わたくしが~』なんて」
「マウントをとったって感じじゃないかな。イライザ様がこのまま王太子妃になれば、第二王子と結婚した人は義妹になるわけだし。それか、イライザ様が婚約に危機感を覚えてるなら『早めに片付けよう』とかもアリだよな~」
グレイソン王太子がフリーになる前にアーノルド王子に聖女を宛てがい、残りの候補者を聖王国に帰してしまえば、危険が減ると考えている可能性がないとは言えない。
「王国がどっちの王子でも良いから、治療魔法使いを捕まえろとか言い出すかもって事?」
「王太子と第二王子じゃ妃の条件とか、大きく変わるけど⋯⋯なくはないと思う。聖王国との繋がりってだけでも大きいじゃん」
「うっわあ、最悪。第二王子はイマイチです~って言ったら、王太子ならどう? とかって言い出す可能性ありって事?」
その時は、あのイライザの逆鱗に触れると同時に、イライザを気に入ってる王妃からも虐められる可能性大。
「あー、こんな話なんて受けるんじゃなかった~」
「セシルはなぜこの話を受けたの?」
「私の担当って北の方じゃん。父さんがうるさいんだよね」
光属性を持つ聖女や聖女見習いはどこでも 引手数多。セシルが担当する地域には帝国が含まれているので、依頼中に帝国に拉致されるのではないかと不安視していると言う。
「で、別の地域を見に行ってみたいなぁって思ってたからさ。婚約は気に入った人がいたときだけでいいって言うし、無料なら超お得だしね。サブリナは?」
「私は⋯⋯セシル達に比べると治癒魔法は全然だけど、この国って魔物の被害もあるでしょ? 討伐にも参加できれば、私くらいの治癒魔法でも役に立てるんじゃないかと思ったの」
「そうか! サブリナの闇属性は強力だもんね。大型の魔物にも効果絶大の攻撃力もデバフもあるし。
光属性って『いいよね~』とか『羨ましい』とか言われる事が多いけど、他の属性と比べるとしょぼくない?
治癒以外は補助魔法が多くて攻撃力弱いし。対アンデット用みたいな感じだもん」
「オレリア様みたいだと可哀想だけど、セシルは光属性単体だから羨ましいって思う人は多いと思うわ」
原因は分かっていないが、光属性持ちが同時に別の属性を持つと、魔法の威力が上がりにくくなる人が多い。
ダンゼリアム王国方面担当のひとり、風属性と光属性を持つオレリア・ブームもいまだに中級魔法までしか使えない。
「ロクサーナはどうなの? 聖女認定されてるって事は光属性があるんだよね」
「う、うん」
「凄いじゃん! エリアヒールも使えるって事だよね。私も魔力がもっと多ければなぁ。修練しても全然増えないから、一生見習いのままで終わりそうだよ」
「セシルは贅沢言い過ぎだわ。私なんてヒールミストで限界なのよ」
「でも、水属性って一番汎用性が高いじゃん。サブリナは上級魔法まで使えるし。その上、希少な闇属性もあるから最高だよ。私の自慢の友達だもん」
「それは、その。ありがとう?」
「なんで疑問形かなあ。でも、魔法士の中でサブリナが一番って思ってるからね。って事で、夕食の時間だね!」
「王妃様からわたくしが直接頼まれて、お部屋の準備を致しましたの。聖王国の聖女様に相応しく、皆さんに合うお部屋を準備したのですけれど、気に入っていただけたかしら?」
気の強そうなイライザは、緑がかったシルバーブロンドをハーフアップにして、クリノリンスタイルのデイドレスを身に纏っていた。
「学園では制服もありますけれど、それ以外は自由ですの。ただ、低位貴族の方などは⋯⋯それなりのドレスしか準備できない方もおられますから、ご無理はなさらないでね」
ロクサーナの全身をチラッと横目で見たイライザが扇子で口元を隠した。
「当然ですわ。あまり貧相なら私から注意しておきますね。王太子殿下の婚約者様にご不快なものを見せては、聖王国の恥になりますもの」
と言うレベッカは、イライザよりも派手なドレス姿。ピンクブロンドの髪に合わせたつもりなのか淡いグリーンのドレス姿で、ダイヤモンドとエメラルドのネックレスをつけている。
(学園の寮で羽飾り付きのファシネーターとか⋯⋯やっぱりレベッカは強者だわ~)
ファシネーターはリボンや羽飾りで飾られた小さな帽子のような物で、櫛やヘアクリップで留めつける。
「レベッカとお呼びしても良いかしら。そのファシネーター、寮の中では少し派手だけれど、とっても素敵だわ。わたくしの事はイライザと呼んでも良くてよ」
「ありがとうございます。この国でイライザ様のような方にお会いできるなんてとっても嬉しいです。この後、私のお部屋でお茶でもいかがですか? 珍しいお菓子を準備していますの」
「是非、レベッカとはゆっくりお話ししてみたいと思っていたの。良かったらサブリナとセシルも一緒にいかがかしら?」
「ありがとうございます。私達はまだ部屋の片付けが残っておりますので、今日のところは遠慮させていただきたいと思います」
さも残念そうな顔で断りを入れたサブリナは、小さく会釈してロクサーナに笑顔を向けた。
「そう、残念だけれどまたお声をかけて差し上げるわ。皆さん、参りましょう」
イライザとレベッカが並んで階段に向かう後ろを、取り巻きの女子生徒がいそいそと付き従った。
サブリナのキラキラ部屋に腰を据えた3人⋯⋯。
「アレはないわ~。マジ無理。4人いてひとりだけ誘わないとか、マジあり得ない」
セシルがプルプルと震えながらスカートを握りしめた。
「セシル、皺になっちゃうわよ。アイロンかけるの苦手でしょ」
(中々興味深いじゃん。イライザは単に爵位だけで判断したみたいだよね。となると、昨日の大臣の『スケジュール』を立てたって言うのは⋯⋯)
「王家や貴族も酷かったけど、あの公爵令嬢も超最悪じゃん! 入学前だけど国に帰りたくなってきた。この国に住むとかマジあり得ない!」
「王子殿下の側近候補とか、高位貴族の子息とかにお会いすれば気が変わるかもしれないわよ?」
サブリナがそんな台詞を吐くのは、セシルがイケメンに弱くて惚れやすいから。
「ロクサーナだけ誘わなかったのって⋯⋯やっぱり爵位の問題かしら」
「それだったら私んちも子爵家だし、大して変わんないよ」
「でもほら、セシルのお家が商会も持ってるのは有名だもの⋯⋯光属性で実力も本物だし、王国の希望に一番合ってるんじゃないかしら」
「ないない、この国がどうだか知らないけどさ、王族と低位貴族との婚姻なんてないって」
(個人の能力とかまで報告してるのか、ジルベルト司祭に確認しとかなくちゃ)
「ロクサーナ、元気出して! あんな人達とのお茶会なんて絶対につまんないからさ」
「え? あ、ごめん。ダブルレベッカの圧でクラクラしてさ、ちょっとぼうっとしてた」
「ダブルレベッカって、ぴったりのネーミング!」
「王太子が遊学からお戻りになられないのって、イライザ様との婚約がお嫌だからって噂は本当かもしれないわね」
「ええっ! 婚約確定じゃないんだ。その割には態度デカくない? 『王妃様から直接わたくしが~』なんて」
「マウントをとったって感じじゃないかな。イライザ様がこのまま王太子妃になれば、第二王子と結婚した人は義妹になるわけだし。それか、イライザ様が婚約に危機感を覚えてるなら『早めに片付けよう』とかもアリだよな~」
グレイソン王太子がフリーになる前にアーノルド王子に聖女を宛てがい、残りの候補者を聖王国に帰してしまえば、危険が減ると考えている可能性がないとは言えない。
「王国がどっちの王子でも良いから、治療魔法使いを捕まえろとか言い出すかもって事?」
「王太子と第二王子じゃ妃の条件とか、大きく変わるけど⋯⋯なくはないと思う。聖王国との繋がりってだけでも大きいじゃん」
「うっわあ、最悪。第二王子はイマイチです~って言ったら、王太子ならどう? とかって言い出す可能性ありって事?」
その時は、あのイライザの逆鱗に触れると同時に、イライザを気に入ってる王妃からも虐められる可能性大。
「あー、こんな話なんて受けるんじゃなかった~」
「セシルはなぜこの話を受けたの?」
「私の担当って北の方じゃん。父さんがうるさいんだよね」
光属性を持つ聖女や聖女見習いはどこでも 引手数多。セシルが担当する地域には帝国が含まれているので、依頼中に帝国に拉致されるのではないかと不安視していると言う。
「で、別の地域を見に行ってみたいなぁって思ってたからさ。婚約は気に入った人がいたときだけでいいって言うし、無料なら超お得だしね。サブリナは?」
「私は⋯⋯セシル達に比べると治癒魔法は全然だけど、この国って魔物の被害もあるでしょ? 討伐にも参加できれば、私くらいの治癒魔法でも役に立てるんじゃないかと思ったの」
「そうか! サブリナの闇属性は強力だもんね。大型の魔物にも効果絶大の攻撃力もデバフもあるし。
光属性って『いいよね~』とか『羨ましい』とか言われる事が多いけど、他の属性と比べるとしょぼくない?
治癒以外は補助魔法が多くて攻撃力弱いし。対アンデット用みたいな感じだもん」
「オレリア様みたいだと可哀想だけど、セシルは光属性単体だから羨ましいって思う人は多いと思うわ」
原因は分かっていないが、光属性持ちが同時に別の属性を持つと、魔法の威力が上がりにくくなる人が多い。
ダンゼリアム王国方面担当のひとり、風属性と光属性を持つオレリア・ブームもいまだに中級魔法までしか使えない。
「ロクサーナはどうなの? 聖女認定されてるって事は光属性があるんだよね」
「う、うん」
「凄いじゃん! エリアヒールも使えるって事だよね。私も魔力がもっと多ければなぁ。修練しても全然増えないから、一生見習いのままで終わりそうだよ」
「セシルは贅沢言い過ぎだわ。私なんてヒールミストで限界なのよ」
「でも、水属性って一番汎用性が高いじゃん。サブリナは上級魔法まで使えるし。その上、希少な闇属性もあるから最高だよ。私の自慢の友達だもん」
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